ODA(政府開発援助)

政策評価法に基づく事前評価書

平成27年6月8日

評価年月日:平成27年4月21日
評価責任者:国別開発協力第1課長 宮下 匡之

1.案件名

1-1.供与国名

カンボジア王国

1-2.案件名

カンポット上水道拡張計画

1-3.目的・事業内容

 本計画は,カンポット市において上水道施設システムを拡張することにより,安全な水へのアクセス率向上を図り,もって住民の都市生活環境の向上を通じた社会開発の促進に寄与するもの。供与限度額は29.85億円である。

1-4.環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 カンボジア側において、浄水場建設予定地の取得手続き、敷地整地、電力引込、初期環境影響評価(IEIA)の承認取得、不発弾・地雷調査と安全対策の実施、取水許可の取得、本事業で建設される上水道施設の運転・維持管理のための職員の新規採用、給水栓接続の推進活動、貧困層給水管接続の実施、銀行取極の実施などが適切に行われることが必要。

2.無償資金協力の必要性

2-1.必要性

  • (1)カンボジアでは、内戦後我が国及び他ドナーの支援により、プノンペン都では給水サービスは24時間給水を実現し、給水率は90%、無収水率は6%(2010年)にまで向上したが、他都市のアクセス率は依然低く、給水サービスの質も低く課題を抱えている。
  • (2)カンボジア政府は「第三次四辺形戦略」及び「国家戦略開発計画(NSDP:2014-2018)」において、2025年に都市部での安全な飲料水へのアクセス率を100%にすることを目指し、工業・手工芸省(MIH)主導で地方都市の上水道施設整備を重要課題として進めている。
  • (3)カンポット州の州都であるカンポット市(2013年給水区域内人口50,375人)では、内戦により浄水場が破壊され、1993年にオランダのNGOの支援により、河川の原水を直接配水する簡易なシステムとして復旧、2006年にアジア開発銀行(ADB)の支援により既存浄水場の全面的な改修・建て替えが実施された。しかし、いまだ浄水場の供給力不足や配水管網の整備不足、一部配水管の老朽化により給水率は47%にとどまり、給水サービスに課題を抱えている。また、同市は海沿いにあるために一部地下水が飲料用として適さないため、住民の多くが井戸を使用することができず、安定した水源を持つ上水道施設の拡張が急務となっている。

2-2.効率性

  • (1)技術協力との連携
     カンポット水道局は、技術協力プロジェクト「水道事業人材育成プロジェクト・フェーズ2」(2007-12)により既存施設の適切な運転・維持管理能力が強化されている。これを基礎に施設拡張にあたり増員される施設運用職員に対してソフトコンポーネントにより技術指導を行う予定である。また、現在「水道事業人材育成プロジェクト・フェーズ3」(2012-2017)により、カンポット市水道局の組織運営能力を強化中である。
  • (2)他ドナー事業との整合性の確保
     カンポット市の上水道セクターに関わっている他機関は、GRET(仏NGO)及びADBである。
     GRETの給配水管整備の対象区域については調整を行い重複を避けた計画としている。ADBの支援も計画されているが、既存施設のリハビリ事業のため施設能力の拡張は検討されていない。
  • (3)ソフトコンポーネント
    • (ア)浄水施設運転維持管理研修(取水設備、浄水設備、送水設備)では、カンボジア水質基準を遵守した浄水を安定的に給水するために必要な、新施設に対応する薬品注入量の設定やろ過池の洗浄方法等の浄水技術に関する研修等を実施する。
       また、新規設備となる塩素漏洩検知設備、中和設備に関する研修等を実施する。
    • (イ)配水施設運転維持管理研修では、新施設のもとで実施される配水量管理(漏水モニタリング)および事故対応に関する研修を実施する。
    • (ウ)生産管理研修では、薬品等の在庫管理、浄水処理に伴って発生する汚泥の処理処分計画等、水道施設を効率的に運転するための研修を行う。また、生産された浄水をより多くの住民に配るための接続促進や浄水の効果的な利用(節水)を含め水道事業を継続的かつ健全に運営していくために必要となる研修も行う。

2-3.有効性

  • (1)2013年実績と比べて2021年には、給水人口が約24,000人から約56,000人に、日平均給水量(m3/日)が約4,000m3から約10,000m3に、家庭用給水栓数(軒)が約4,800軒から約11,400軒にそれぞれ改善される見込み。
  • (2)これまで雨水等を利用していた住民の公衆衛生環境の改善及び水不足の不安の解消、既存給水区域の漏水状況の改善、給水栓の水圧不足の改善、貧困層の水へのアクセスの促進。

3.事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)カンボジア政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)