ODA(政府開発援助)

平成27年5月18日

評価年月日:平成27年5月12日
評価責任者:国別開発協力第二課長 花尻 卓

1.案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

オディシャ州送電網整備計画

(3)目的・事業内容

 インド東部のオディシャ州全域において,送電線及び変電所設備の整備等を実施することにより,同州の電力系統の安定化,送電ロス率の低減及び電力の安定供給の達成を図り,もって同州及びインド東部地域の経済発展に寄与するもの。

  • (ア)主要事業内容
    • (a)送電線の敷設に伴う資機材の調達,土木工事,据付け等
    • (b)変電所の新設に伴う資機材の調達,土木工事,据付け等
    • (c)コンサルティング・サービス
  • (イ)供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    217.87億円 0.80% 20(6)年 一般アンタイド

    (注)金利は,一般条件(固定・オプション1)を適用。コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

  • (ア)EIA(環境影響評価)
     本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)」に掲げる影響を及ぼしやすいセクター・特性や影響を受けやすい地域に該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断されるため,同ガイドラインに掲げるカテゴリBに該当する。本計画における森林伐採規模は9.8haであるが,事業開始までに森林クリアランスが取得される予定である。また,送電ルートは,国立公園等の影響を受けやすい地域に該当しないように選定される。
  • (イ)用地取得
     本計画に必要な用地85.31haのうち,2.27haについては民間保有地の取得を伴うが,実施機関が市場価格より高値で取得することを土地所有者(1世帯)とすでに合意済みであり,JICAガイドライン,インド国内法及び実施機関が定める補償方針に従い手続が進められる。また,残りについては政府等所有地を活用する。なお,本計画は,住民移転は伴わない。
  • (ウ)外部要因リスク:特になし。

2.資金協力案件の評価

(1)必要性

  • (ア)開発ニーズ
     インドでは,近年の急速な経済成長に伴い,エネルギー消費の増加が続く一方,供給能力は需要の拡大に追いついていない。さらに,送配電ロス率も,高い状況となっている。本計画の対象地であるオディシャ州でも産業化が急速に進んでおり,今後,大幅な電力需要の増加が予想されている。したがって,インドにおいては新規電源開発と並び,送配電網の整備及び送配電ロス率低減は急務であり,オディシャ州でも,発電容量を増強する計画であるが,これに対応する送電網の整備及び送配電ロスの低減が急務となっている。以上の現況から,送電線及び変電所設備の整備等を実施することにより,同州の電力系統の安定化,送電ロス率の低減及び電力の安定供給の達成に資する本計画のニーズは大きい。
  • (イ)我が国の基本政策との関係
     2006年6月に策定された「国別援助計画」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(a)経済成長の促進,(b)貧困・環境問題の改善及び(c)人材育成・交流拡大を掲げている。本計画は,送電網の整備を通じた電力の安定的・効率的供給を図るという観点から,インドの経済発展に資する案件として,上記(a)に合致するものである。

(2)効率性

 送電線及び変電所の一部について最新技術(低ロス電線,屋外ガス絶縁開閉装置(GIS)変電所)を仕様とすることにより,事業効果の増大を図る。また,同技術の導入に当たり,仕様書の作成,調達監理,工事等においてインド側実施機関を支援することで,これら技術を運用できる体制を構築する。

(3)有効性

 本計画の実施により,オディシャ州の電力系統の安定化,送電ロス率の低減及び電力の安定供給の達成を図り,同州及びインド東部地域の経済発展に寄与することが期待される。運用・効果指標として,設備稼働率,送電端電力量(完成2年後(2022年)見込み:3万6,340GWh(基準値(2013年):2万2,865GWh)),送電損失率(同:3.65%(基準値(2013年):3.79%))等を設定している。

3.事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,インド国別評価報告書国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開くその他国際協力機構から提出された資料。

 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。

 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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