ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成27年4月21日
評価年月日:平成27年3月20日
評価責任者:国別開発協力第一課長 宮下 匡之
1 案件概要
(1)供与国名
モンゴル国
(2)案件名
新ウランバートル国際空港建設計画(第二期)
(3)目的・事業内容
本計画は,ウランバートルに新空港を建設することにより,首都空港の安全性・信頼性の改善及び利便性の向上を図り,もってモンゴルのさらなる経済発展に寄与することを目的とするもの。
- (ア)主要事業内容
- 土木工事(空港建設)
- コンサルティング・サービス
- (イ)供与条件
供与限度額 金利(注) 償還(うち据置)期間 調達条件 368.5億円 0.10% 40(10)年 日本タイド
本邦技術活用条件(STEP)(注)コンサルティング・サービス部分は0.01%
(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (ア)EIA(環境影響評価):2007年6月にモンゴル政府の承認済み。
- (イ)用地取得及び住民移転:対象用地はすべて国有地であり,住民移転は発生しない。
- (ウ)外部要因リスク:特になし。
2 資金協力案件の評価
(1)必要性
- (ア)開発ニーズ
モンゴルでは,航空需要が急増する一方で,現行のウランバートル国際空港は,南と東が山に囲まれているため,離着陸が北西方向に限られており,また,気象条件によっては,離着陸が制限されるため,同空港の利用可能時間は平均約86%にとどまり,ICAO(国際民間航空機関)が基準としている95%を大きく下回っている。また,滑走路が短く,同空港を離発着できる航空機の機種や機体重量(搭載燃料量)が大幅に制限されているため,現在,同空港を利用している航空機の航続距離は極めて短く,遠距離飛行が困難となっている。このような状況を踏まえると,本案件のニーズは大きい。 - (イ)我が国の基本政策との関係
我が国が2012年5月に策定した「対モンゴル国別援助方針」において,(a)鉱物資源の持続可能な開発とガバナンスの強化,(b)全ての人々が恩恵を受ける成長の実現に向けた支援,(c)ウランバートル都市機能強化を掲げている。本計画は,我が国の知見及び技術を活用したウランバートルにおけるインフラ整備支援の一環として実施されるものであるという観点から,同国の上記(c)に資するものであり,我が国の援助重点分野とも一致する。
(2)効率性
過去の類似案件の事後評価等から,空港の事業主体が持続的・自立的に空港施設運用を行っていくためには組織運営面,人材・技術面,財務面を強化していくことが必要との提言が得られていることを踏まえ,本事業では新空港供用開始に向け,運営・維持管理能力強化を目的とした技術協力を実施中。
(3)有効性
本案件の実施により,国際空港としての利便性の向上及び航空輸送の信頼性・安全性の向上が期待できる((年間旅客数(うち国際線)(万人):47(34)(2005年実績値)→165(138)(事業完成2年後:2019年),天候要因による遅延・キャンセル(%):2.3(2005年実績値)→0.5(事業完成2年後:2019年))。さらに,長期的には,モンゴル経済の持続的発展ひいては我が国との二国間関係の促進に寄与することが期待される。
3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用
要請書,これまでの国際協力銀行環境社会配慮ガイドライン,その他国際協力機構より提出された資料。
案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要(国別約束情報(年度別交換公文(E/N)データ)),借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース及び事業事前評価表
を参照。
なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。