ODA(政府開発援助)

平成31年2月27日

評価年月日:平成31年2月7日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件名

1-1 供与国名

ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)

1-2 案件名

ラカイン州,カチン州及びシャン州北部における人道状況への対応計画(WFP連携)

1-3 目的・事業内容

 本計画は,2017年8月末にラカイン州で発生した襲撃事件の影響を受けた人々やコミュニティ及びカチン州・シャン州北部で発生している国軍と少数民族武装勢力との衝突の影響を受けた国内避難民に対し,食糧安全保障(食料配給やフード・フォー・アセット事業等),栄養(妊婦,授乳期の女性,栄養不良児への栄養補助食提供等)及び教育(学校給食提供等)分野での支援を行い,もって人道状況の改善及びミャンマー国民の生活の向上に寄与する。供与限度額は12億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 ラカイン州,カチン州及びシャン州北部の治安情勢や政治状況は変化しやすいと想定され,本計画の実施に当たり,国際機関及びミャンマー政府との定期的な意見交換を通じて,我が国として必要な助言・措置を継続的に実施していくことが不可欠。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ミャンマー(一人あたり国民総所得1,190ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,後発開発途上国に分類される。
  • (2)ミャンマーのラカイン州北部のマウンドーでは,2017年8月25日にアラカン・ロヒンジャ救世軍(ARSA)による治安部隊襲撃事件が発生し,当該襲撃をきっかけに,迫害の恐れや家屋の焼失等によって多数の避難民が発生し,治安情勢が急激に悪化した。この襲撃事件に端を発する人道危機的状況により,約70万人が避難民としてバングラデシュに流出した他,ミャンマー国内に留まっている避難民や住民については,長引く避難生活や,著しく経済活動等が停滞した生活環境の中,栄養,保健・衛生,住環境が悪化している。今後,バングラデシュに流出した避難民の本格帰還が始まれば,それら避難民への人道・開発支援も必要になる。
  • (3)また,カチン州・シャン州北部では,昨今,国軍と少数民族武装勢力との衝突が激化し,両州で約10万人の国内避難民が厳しい環境下にあり,人道状況は急激に悪化している。そのため,時機をとらえた人道上必要な食糧,保健,栄養,水・衛生及び保護に資する支援は死活的に重要な状況にある。
  • (4)本計画は,少数民族地域における人道状況の改善に資するものであり,我が国の対ミャンマー経済協力方針の重点分野の一つである「国民の生活向上のための支援(少数民族や貧困層支援,農場開発,地域開発を含む)」に合致する。
  • (5)2018年9月の河野外務大臣とアウン・サン・スー・チー国家最高顧問との会談及び10月の安倍総理大臣と同顧問との会談において,我が国は引き続きラカイン州問題の解決支援にあたっていくことを表明している。本計画は,ミャンマー政府が進めるラカイン州,カチン州及びシャン州北部の安定化及び発展に向けた取組を後押しするものとして実施するものである。本計画は,こうした会談のフォローアップの観点からも意義が大きく,二国間関係の強化にも資する。

2-2 効率性

 本計画は,UNHCR,UNDP,WFP,UNFPA及びUN Habitat等の関連する国連機関と連携して実施する予定であり,現地日本大使館は,定期的に関連機関との合同会議を実施し,情報共有を行い,関連事業が相互補完されるよう調整することとしている。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待される。

  • (1)定量的効果:事業実施後の2020年に,ラカイン州で食料支援等を受ける住民数は約32万人,カチン州で食料支援等を受ける住民数は約11万人,シャン州北部で食料支援等を受ける住民数は約7万人となる見込み。
  • (2)定性的効果:2017年8月末に発生したラカイン州北部での襲撃事件及びカチン州・シャン州北部で発生している国軍と少数民族武装勢力との衝突の影響を受けた国内避難民に端を発する人道危機の影響を受けている住民の生活環境が向上する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ミャンマー政府からの要請書
  • (2)WFPからのプロジェクト・プロポーザル
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