ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
平成31年1月9日
評価年月日:平成30年11月8日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井関 至康
1 案件名
1-1 供与国名
コートジボワール共和国(以下,「コートジボワール」という。)
1-2 案件名
第二次日本・コートジボワール友好交差点改善計画
1-3 目的・事業内容
本計画は,アビジャン市において,日本・コートジボワール友好交差点の第二次計画による同交差点立体交差の双方向化を通じて交通容量の更なる増強を図ることにより,市中心部と郊外を往来する交通の円滑化を図り,もってコートジボワールの経済成長の加速化に寄与するもの。供与限度額は50.27億円。
1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点
- (1)本計画の環境社会配慮カテゴリ-分類はBであり,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)」に掲げる道路セクターのうち大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。
- (2)事業実施の条件として,本計画対象交差点付近の地下埋設物が移設されること,また本計画に先行して実施中の無償資金協力案件「日本・コートジボワール友好交差点改善計画」(2015年6月25日交換公文署名)が円滑に実施されることが必要である。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)コートジボワール(一人あたり国民総所得1,540ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,低中所得国に分類される。
- (2)コートジボワールは,西アフリカのフランス語圏8か国が加盟する西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)経済の約4割を占める西アフリカ地域の大国である。また,UEMOA加盟国含め15か国が加盟する西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)経済圏の安定・発展・地域統合の鍵を握るという重要性に鑑み,我が国としては,依然として2011年4月の内戦終結からの復興期にある同国への支援を通じ,同国の社会安定,貧困削減,格差是正を行う必要がある。また,同国は国際社会において我が国の基本的立場を支持する友好国でもある。
- (3)コートジボワールの道路インフラは,1970年代以降,旺盛な外国投資に支えられて整備が進められたが,その後の混乱・内戦により,新規の道路建設や維持管理は停滞した。その間にも進行した都市化に加え,紛争後の高度経済成長を背景に,同国の最大都市アビジャンを中心とする大アビジャン圏全体で交通量がその容量を上回り,市内随所で慢性的に渋滞が発生している。
- (4)コートジボワール政府は,2016年に「第二次国家開発計画(2016年~2020年)」を策定し,道路整備や維持管理の促進等による調和のとれたインフラ整備に係る取組を進めており,同計画の中で実施対象となっている交差点(ソリブラ交差点)の改善は優先事業として位置付けられている。また,我が国が策定を支援した「大アビジャン圏都市整備計画」においても,同交差点改善を高優先度プロジェクトとして位置付けている。
- (5)2014年1月の安倍総理大臣のコートジボワール訪問時に発出された共同声明において,本計画対象交差点(ソリブラ交差点)の高架橋建設に関する支援検討を表明しており,その後,協力準備調査を通じて検討した結果,平成27年度無償資金協力「日本・コートジボワール友好交差点改善計画」の実施を決定した。同計画により,現在一層目こ道橋(一方向)の整備等を実施中であるが,今後も急速に増大が見込まれる交通需要に中期的に応えていくため,二層目こ道橋(双方向)の整備が必要とされている。
- (6)我が国は,TICAD VIの機会に,日本企業の関心の高い西アフリカ「成長の環」広域開発,都市開発(都市交通の整備等)等の分野において,質の高いインフラ投資を実施することを表明しており,本計画は同表明の達成に貢献するものである。
- (7)なお,2015年10月,安倍総理大臣とヴァルス仏首相との会談後に発出された「アフリカにおける持続可能な開発,保健及び安全のための日仏計画」では,アフリカの持続可能な都市に関する日仏協力のパイロット都市としてアビジャンを選定し,日本は運輸・交通,フランスは水,衛生,廃棄物処理及びエネルギーを中心に協力を進めていくこととなっており,本計画はコートジボワールにおける日仏連携の推進にも貢献するものである。
2-2 効率性
- (1)一層目で設置したジスカールデスタン通り南の迂回路を二層目でも継続利用することにより,工事費用を節減した。
- (2)二層目こ道橋構造は,一層目と同様に連続桁を基本として,伸縮装置等の交換等が必要な箇所が少なくなるよう維持管理性に配慮した設計とした。
2-3 有効性
本計画の実施により,2017年実績値に比べて計画完成3年後の2025年までに以下のような成果が期待される。
- (1)交差点流入交通量(乗用車換算台/日)が11,000台(100,000台→111,000台),旅客輸送量(万人/年)が490万人(11,486万人→11,976万人),貨物輸送量(万トン/年)が184万トン(1,532万トン→1,716万トン)増加する。また,マルコリ交差点-ボワニ橋間の走行時間が,AMピーク時では9分(24分→15分),PMピーク時では6分(15分→9分)短縮する。
- (2)旅客輸送及び物流の定時性が確保されるとともに,交通の利便性及び交差点の安全性が向上する。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)コートジボワール政府からの要請書
- (2)「第二次日本・コートジボワール友好交差点改善計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)