ODA(政府開発援助)

平成30年11月8日

評価年月日:平成30年8月13日
評価責任者:国別開発協力第三課長 井関 至康

1 案件名

1-1 供与国名

ウガンダ共和国(以下「ウガンダ」という。)

1-2 案件名

アタリ流域地域灌漑施設整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ウガンダのアタリ流域地域において,灌漑施設及び付随する施設の建設を通じ,安定的な灌漑用水の供給を図り,もってコメ増産を通じた農民の所得向上に寄与するもの。供与限度額は27.90億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画の環境社会配慮カテゴリ-分類はAであり,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げる影響を受けやすい地域に該当する。本計画は,施工業者及び農業畜産省が工事中の大気質,騒音・振動,水質,生態系,廃棄物等についてモニタリングを実施する。工事前の用地取得及び補償等については,農業畜産漁業省が水・環境省等と協力してモニタリングする。供用後は,農業畜産漁業省が水・環境省や県政府と連携しながら,水質,生態系,生計回復等についてモニタリングを実施する。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ウガンダ(一人あたり国民総所得630ドル)は,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,後発開発途上国に分類される。
  • (2)農業は,ウガンダのGDPの約22%及び全輸出額の54%を占め,雇用人口の57%を抱える同国の基幹産業である。ウガンダ政府は,「第二次国家開発計画」(NDPII,2015/16~2019/20)において,農業開発を優先開発課題の一つに位置づけている。農業分野の五カ年開発計画である「農業戦略計画」(2015/16~2019/20)では,「競争力,収益力,持続性」の実現を目標に掲げ,貴重な商品作物であるコメの集約的な栽培等の促進など,自給的な農業から商業的な農業への転換を促している。
  • (3)ウガンダの灌漑可能面積(約50万ヘクタール)に対して,これまでに開発された灌漑面積は,約1.4万ヘクタール(2010年時点)に留まっており,ウガンダ政府は近代的な灌漑技術の導入を通じた中・大規模灌漑施設への投資を促進する方針を打ち出し,元来水稲栽培が盛んであった東部地域において,中・大規模灌漑施設の改修や開発を進めてきた。しかし,行政・農家の双方における人材不足や施設設計の不備などの要因により,ウガンダ政府が目指すような持続的な灌漑整備が進んでいない。そのため,ウガンダ政府は我が国に対して,商業的な農業への転換に寄与する中・大規模灌漑施設整備に係る支援を要請した。
  • (4)本計画は,ウガンダの開発課題及び開発政策並びに我が国の援助方針に合致し,SDGsゴール2(飢餓をゼロに)にも貢献すると考えられる。また,環境及び維持管理の容易性にも配慮した日本の設計技術の活用が予定されており,無償資金協力により本計画の実施を支援する必要性は高い。
  • (5)日・ウガンダ間では,大統領の訪日などハイレベルの交流が続いており,また,国際社会においても協力関係がある中,同国との二国間関係の一層の強化を図ることは有意義である。

2-2 効率性

  • (1)我が国が2014年から2016年まで実施した開発協力調査型技術協力「ウガンダ中央部・東部地域灌漑地区開発計画プロジェクト」の結果,調査対象の10地区の中から,豊富な水資源を有し,単位面積当たりの農作物の生産性,工事費及び維持管理費について,他の地域と比べて優位性のあるアタリ流域地域を本計画の対象地域に選定した。
  • (2)建設資材について,一般的な資材は現地調達とすることで,コスト削減を図る。
  • (3)JICAは,2003年以降一貫してウガンダのコメ振興を研究・普及の両面から支援しており,ア 技術協力「コメ振興プロジェクト」(2011~2019),「湿地管理プロジェクト」(2011~2016)による技術支援,イ 個別専門家「農業計画アドバイザー」(2017~2019)派遣によるウガンダ全体の灌漑開発にかかる政策・制度面での環境整備,ウ 個別専門家「灌漑開発アドバイザー」(2017~2019)の技術指導による人材育成を行うなど,他の案件との連携を図り,無償資金協力の開発効果を一層増大させる取組を行っている。

2-3 有効性

  • (1)定量的効果
    本計画の実施により,2025年までに,コメ栽培面積が現面積の約2倍になり,コメ生産量は拡大する。
  • (2)定性的効果
    本計画の実施により,農民組織主体の維持管理体制が構築され,持続的な運用が可能になる。また,アタリ流域地域及びその周辺地域における食料供給の安定化及び農民の所得向上が期待される。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ウガンダ政府からの要請書
  • (2)「アタリ流域地域灌漑施設整備計画」協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)「ウガンダ中央部・東部地域灌漑地区開発計画プロジェクト」報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (4)ウガンダ国別評価(第三者評価)報告書(2017年度)
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