ODA(政府開発援助)

平成30年11月5日

評価年月日:平成30年7月19日
評価責任者:国別開発協力第三課長 大場 雄一

1 案件名

1-1 供与国名

レソト王国(以下「レソト」という。)

1-2 案件名

中等学校整備計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は,障害を持つ生徒が在籍する老朽化した中等学校4校に対し,障害を持つ生徒に配慮した学習環境を整備することにより,インクルーシブ教育(注)の推進を図り,もってレソトにおける人材育成と社会的基盤の強化に寄与する。供与限度額は18.64億円である。

(注)インクルーシブ教育とは,人間の多様性の尊重等の強化,障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ,自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下,障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組み。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 環境社会配慮カテゴリーはCであり,本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月)上,環境への望ましくない影響は最小限であると判断される。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)レソトは,周囲を南アフリカ共和国によって囲まれた内陸国で,総人口は220万人であり,1人あたりの国民総所得(GNI)は1,210米ドルであり,OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上,低中所得国に分類されている。天然資源に乏しい同国にとって人材育成の重要性は高い。
  • (2)レソト政府は,長期国家計画(Vision 2020)において,民主的で平和かつ安定した国造り,及び経済的な繁栄実現のための教育開発を最重要項目として挙げている。また,同政府は教育分野長期計画(2016~2026)の戦略目標の一つとして,質が高くインクルーシブな中等教育へのアクセスを掲げ,既存校にインクルーシブ教育の環境を整えることを施策としている。
  • (3)同国において重度障害児童を受け入れている学校は,現在4校のみであるが,これら4校はいずれも老朽化が問題となっているほか,障害者を受け入れるための設備が十分でなく,障害者の校内移動,トイレ等の施設利用に困難が生じている。中には,健常者を含めれば施設のキャパシティを上回る生徒が就学している学校もあるなど,施設整備の必要性が高く,特に,バリアフリー化等,障害者に配慮した施設仕様にすることの必要性は高い。
  • (4)我が国は,対レソト国別援助方針において,安定的民主国家・経済立国を目指した経済成長や貧困削減に向けての支援を基本方針とし,「人材育成と社会的基盤の強化」のための支援を重点分野として定めており,本計画と合致している。
  • (5)レソトは2007年に在京レソト大使館を開設するなど,我が国との協力関係の強化に努めており,近年も,国王の訪日などハイレベルの交流が続き,また,国際社会においても協力関係があり,同国との二国間関係の一層の強化を図ることは有意義である。
  • (6)我が国は第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)において,平和と安定の実現に向けた基礎造りとして教育及び職業訓練に取り組む旨表明しており,本計画はこれを具現化するものである。

2-2 効率性

  • (1)当初,先方政府から本計画対象の4校を含む計12校への支援要請がされたが,先方政府のインクルーシブ教育方針にも鑑み,障害者受入れ実績のある4校に絞りこんだ。
  • (2)機材に関しては,先方政府のインクルーシブ教育方針及びカリキュラムのもと,対象校の運営上不可欠なものを選定した。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待される。

  • (1)障害のある生徒にとってバリアの少ない学習環境が整備され,学習の質と意欲が向上する。
  • (2)本計画の対象校におけるインクルーシブ教育の質が向上する。
  • (3)本計画の対象校がインクルーシブ教育推進のためのモデル中等学校となることにより,レソトにおける同教育の普及に貢献する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)レソト政府からの要請書
  • (2)協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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