ODA(政府開発援助)

平成30年10月30日

評価年月日:平成30年10月18日
評価責任者:国別開発協力第二課長 門脇 仁一

1 案件概要

(1)供与国名

インド

(2)案件名

北東州道路網連結性改善計画(フェーズ3)(第一期)

(3)目的・事業内容

 インド北東州地域におけるアッサム州ドゥブリとメガラヤ州プルバリを結ぶ橋梁等(総延長約20キロメートル)を建設することにより,同地域の域内外との連結性の強化を図るとともに,もって同地域内の経済発展を促進するもの。
 今次は,本計画の第一期として2023年3月までの資金需要に対応するもの。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)新橋等建設
    • (イ)コンサルティング・サービス(施工監理等)
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    254.83億円 1.5% 30(10)年 一般アンタイド

    (注)コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

EIA(環境影響評価)
 本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)に掲げる道路セクター及び影響を及ぼしやすい特性に該当するため,カテゴリAに該当する。本計画に係る環境影響評価(EIA)報告書は,インド国内法上作成が義務付けられていないものの,実施機関である国道インフラ開発公社により,2018年5月に作成済みである。
用地取得及び住民移転
 本計画では,137.43ヘクタールの用地取得,615人の住民移転を伴い,同国国内手続き及び住民移転計画に沿って取得が進められる。本計画に係る住民協議では,事業実施に対する特段の反対は確認されていない。
外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 インドにおいて,道路は鉄道と並び国内の物流の大部分を支える重要な輸送手段として,旅客輸送の85.2%,貨物輸送の62.9%を担っている。人口増加・経済成長に伴い,自家用車両の保有割合の増加が今後も見込まれる中で,旅客及び貨物の輸送効率の改善が大きな課題となっている。主要幹線道路は整備が進みつつある一方で,他地域と比較して山岳部が多い北東州地域における全道路の舗装率は28.5%(全国平均:63.4%),国道における2車線以上道路の比率は53.0%(同77.9%)となっており,道路整備の遅れが顕著である。
 北東州地域は自給型農業と公共事業が主産業で,一人当たりGDP(2014~2015年)は82,649インドルピーと,全国平均の98,293インドルピーと比較して低く,地域格差が大きな国内問題となっている。本計画が対象とする区間は現在,インドを横断する東西回廊と北東州地域を結ぶ道路(国道127B号線)の連結が欠けている部分となっており,経済発展の妨げになっている。増加する交通需要への対応と域内外の産業への投資を促進するに際し,北東州地域では経済活動の基盤となる道路や橋梁の整備をはじめとする道路網改善が必要となっている。インド政府においても北東州地域の地域開発,特に道路網の整備は重点政策の一つとなっている。以上から,インドの開発政策とも高い整合性を有している。
我が国の基本政策との関係
 インドの人口の約3割が依然として貧困状態にあること,電力,運輸等の経済インフラが絶対的に不足していることなどの開発ニーズを踏まえて2016年3月に策定された「対インド国別援助方針」においては,今後の対インドODAの重点目標として,(ア)連結性の強化,(イ)産業競争力の強化及び(ウ)持続的で包摂的な成長への支援を掲げている。
 本計画は,インド北東州地域におけるアッサム州ドゥブリとメガラヤ州プルバリを結ぶ橋梁等(総延長約20キロメートル)を建設することにより,同地域の域内外との連結性の強化を図るとともに,もって同地域内の経済発展を促進するものであることから,上記(ア)に合致する。
 また,2017年9月の安倍総理大臣のインド訪問時には「両国のパートナーシップを新たな次元に引き上げるべく協力することを決定」するとともに,日本の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とインドの「アクト・イースト政策」の連携に向けた取組の強化を誓うなど両国の関係強化が着実に進んでいる中,円借款を始めとするODAを通じて,経済・社会開発を進めるインドの取組を支援することは,こうした日印二国間関係の更なる強化につながる。

(2)効率性

 雨季・乾季を考慮した施工時期の妥当性を実施機関及び施工監理コンサルタントが確認することで,妥当な工期で建設でき,自然災害による事業実施への影響を最小限に抑えることができることから,本計画では雨季を考慮した施工スケジュールを作成し,妥当な施工スケジュールで進めることについて実施機関と合意済みである。また,安全管理については施工監理コンサルタントの確認及び技術協力等にて実施機関及びコントラクターを支援することによって,自然災害による影響を最小限に抑えられるように協議している。

(3)有効性

 運用・効果指標(いずれも事業完成2年後(2030年)の見込み)として,対象区間の旅客数は新たに年間約295万人を見込み,平均所要移動時間は最寄りの迂回路経由による約8時間13分(2017年実績値)から約23分に短縮される見込みである。
 また,定性的効果として,対象区間の移動快適性向上及び当該地域の経済発展に寄与する。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,インド国別評価報告書(2017年度)国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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