ODA(政府開発援助)

平成30年5月18日

評価年月日:平成30年4月18日
評価責任者:国別開発協力第一課長 岡野 結城子

1 案件名

1-1 供与国名

ソロモン諸島(以下,「ソロモン」という。)

1-2 案件名

ホニアラ国際空港整備計画(以下,「本計画」という。)

1-3 目的・事業内容

 本計画は,ソロモンの玄関口であり国内の離島を結ぶハブ空港であるホニアラ国際空港にて,駐機エプロンの拡張,関連誘導路・航空灯火の設置,旅客ターミナルの改修,洪水対策等,施設及び関連機材の整備を行うことにより,同空港の安全性の向上及び将来的な航空需要の増加への対応を図り,もってソロモン諸島の経済・社会インフラ整備を通じた脆弱性の克服に寄与する。供与限度額は,43.64億円。

1-4 環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 ソロモン政府により,工事作業や移設に必要な敷地の確保及び必要なユーティリティの移設が本計画開始までになされる必要がある。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)ソロモン諸島は約1,000の島々よりなる島嶼国であり,ホニアラ国際空港は同国とオーストラリアやパプアニューギニア,フィジー等の近隣諸国を結ぶ国際線の発着空港(週40便離発着)であると同時に,同国内の島々を結ぶ国内線(週130便離発着)のハブ空港として重要な役割を果たしている。2000年の部族間抗争時に約2万人に落ち込んだ国際線利用者も,その後の治安及び経済活動の回復・活性化に伴い,2010年には7万人,2016年は約9万人と着実に伸びている。
  • (2)国の玄関口であり,航空交通・物流の拠点である同空港は,老朽化・劣化が進んでおり,低地にある国内線ターミナル等は雨季の集中豪雨時には床上浸水が発生するなどの問題が生じており,関連施設の新設・改修,洪水・浸水対策等を通じて,安全性の向上と増加する航空需要への対応及び災害時の被害を軽減するための対策を講じることが喫緊の課題となっている。同空港の改修は,ソロモン政府が2016年に発表した新国家計画「国家開発戦略2016-2035(NDS)」における目標の一つ,「生産資源,市場,基礎サービスへのアクセスに焦点をあてた天候に強いインフラ・施設の拡張・改善」に位置付けられ,また,国家交通計画2011-2030や国家インフラ投資計画(2013),民間航空マスタープラン(2007)等のセクター計画においても優先事業と位置付けられており,先方政府の優先度が極めて高い。
  • (3)我が国は対ソロモン諸島国別援助方針において,「脆弱性の克服」を重点分野に定めており,その中でも「基幹経済・社会インフラの整備・維持管理への支援」に力を入れることから,本計画は,我が国の援助方針に合致する。
  • (4)我が国は,ソロモン諸島をはじめとした太平洋島嶼国との関係強化を図るため,3年に1度太平洋・島サミットを開催しており,2015年に開催された第7回太平洋・島サミットで採択された「福島・いわき宣言」の中で,「持続可能な開発」を協力の柱の一つとして位置付けており,本計画はそれを具体化するものである。

2-2 効率性

  • (1)本事業対象施設の運営・維持管理においては,我が国がJICAを通じて実施した2016年度の「空港の建設,運営・維持管理計画策定」に関する研修の受講研修員との連携を図る。
  • (2)同国の航空セクターの主要ドナーであるニュージーランドとも情報交換を密に行い,本計画完成後の施設活用の促進を図る。

2-3 有効性

 本計画の実施により,以下の成果が期待される。

【定量的効果】

  • (1)年間の国際線旅行客数が現在の93,484人(2017年実績値)から,2024年(事業完成3年後)には125,000人となる。
  • (2)年間の航空機発着回数が現在の8,595回(2017年実績値)から,2024年には9,000回となる。

【定性的効果】

  • (1)ホニアラ国際空港における駐機場の混雑を理由とする国際便の遅延や,航空機抵触の可能性が低減し,空港の利便性及び安全性が向上する。
  • (2)洪水による同空港の被害が軽減するなど,自然災害時における円滑な空港運営に寄与する。
  • (3)航空輸送・旅客サービスの向上及び観光業の振興ひいては同国の経済発展に寄与する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)ソロモン政府からの要請書
  • (2)JICAの準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
  • (3)太平洋島嶼国のODA案件に関わる日本の取組の評価(2015年度)
  • (4)太平洋島嶼国国別評価(2008年度)
ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る