ODA(政府開発援助)

平成28年11月16日

評価年月日:平成28年10月4日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

フィリピン共和国

(2)案件名

フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化計画(フェーズ2)

(3)目的・事業内容

 フィリピン沿岸警備隊において使用する船舶2隻を建造し,同警備隊の沖合及び沿岸域内での海難救助や海上法執行等の業務を迅速かつ適切に実施するための能力向上を図り,フィリピン共和国の海上安全の向上に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 船舶2隻
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    164.55億円 年0.1% 40(10)年 日本タイド

    (注)STEP(本邦技術活用条件)を適用。但し,コンサルタント部分は年0.01%

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

 環境影響評価(EIA):本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」上,環境や社会への望ましくない影響が最小限であると判断され,カテゴリCに分類される。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 フィリピン共和国は7,000を超える島々と世界第5位(約3.6万km)の海岸線を有する島嶼国であり,海上輸送は同国の経済・社会発展にとって大きな役割を担っている。近年島嶼国間の旅客・貨物輸送が増加し,これに加え,船舶の老朽化や過剰積載等の不適切な運航,更に近年増加する自然災害の影響等により海難事故のリスクが高まっている。また,近年,人や物の移動の活発化に伴い海上犯罪のリスクも増加しており,密輸,密漁,銃器不法所持,テロ等の脅威に対処するための取り締まり強化が重要な課題の一つとなっている。これらの課題に対応するため海難救助・捜査協力の必要性が高まっており,我が国をはじめとする周辺各国との協力関係が構築されている。
 フィリピン沿岸警備隊(Philippine Coast Guard,以下「PCG」という。)は,運輸省(Department of Transportation,以下「DOTr」という。)傘下の政府機関であり,海上における安全確保,すなわち人命・財産保護のため,海上捜索救助,航行安全管理,海上法執行,海洋環境保全等の業務を担っている。現在,マニラに所在する本庁と全国12管区を拠点にオペレーションを行っているものの,広い海域に比して海上業務の足となる船舶数が不足している。中でも,荒天時の救難活動や沖合・沿岸域での巡回業務に必要な大型の船舶が不足していることから,事故発生時の緊急対応や定期的なモニタリング活動に必要な体制を整備できない状況である。
我が国の基本政策との関係
対フィリピン国別援助方針における以下3つの重点分野のうち,「フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化計画(フェーズ2)」は下記(ア)に該当する。
  • (ア)投資促進を通じた持続的経済成長
  • (イ)脆弱性の克服と生活・生産基盤の安定
  • (ウ)ミンダナオにおける平和と開発

(2)効率性

 本計画では,技術協力プロジェクトや本計画を通じた技術移転や技術指導を実施することでPCGに対する包括的な能力向上支援を行う。また船舶引き渡し後の持続的な運行を確保すべく,主に燃料改善の観点から適切な船舶仕様を検討する。

(3)有効性

 本計画は,海上における安全確保,すなわち人命・財産保護のため,海上捜索救助,航行安全管理,海上法執行,海洋環境保全等の業務を担うための海上業務の足となる船舶数が不足しているPCGの能力向上を図り,もって当該国の海上安全の向上に寄与するもの。また,本邦技術活用により,我が国と同国の二国間関係の緊密化等に貢献することが期待される。運用・効果指標として,年間あたりの船舶運航時間(時間/2隻)は0時間(2015年:実績値)から1200時間(2023年:事業完成2年後目標値),定期巡航数(時間/2隻)は0回(2015年:実績値)から24回(2023年:事業完成2年後目標値)となる見込み。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,フィリピン国別評価報告書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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