ODA(政府開発援助)

平成28年10月3日

評価年月日:平成28年9月29日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

タイ王国

(2)案件名

バンコク大量輸送網整備計画(レッドライン)(第三期)

(3)目的・事業内容

 バンコク首都圏において,大量輸送システムを整備することにより,増加するバンコクの輸送需要への対応と,交通渋滞の緩和及び大気汚染の改善を図り,もって地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事
    • 電気・機械システム
    • 車両調達
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    1,668.60億円 年0.3% 15(5)年 一般アンタイド

    (注)優先条件(環境・気候変動)を適用。但し,コンサルタント部分は0.01%

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

環境影響評価(EIA):本計画は,「環境社会配慮確認のための国債ガイドライン(2002年4月制定)」上,環境・社会に影響を及ぼしやすいセクターに該当するため,カテゴリAに分類される。EIA報告書は,2008年6月に国家環境委員会(NEB)の承認済み。
用地取得及び住民移転:本計画では用地取得の必要はないが,タイ国有鉄道(SRT)の敷地内に存在する非合法建物1,937戸が存在し,2016年4月末現在,このうち1,365戸が補償金を得て移転済。移転に係る協議はSRTにより開催され,移転方針について対象住民から特段の異論は出ていない。
外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
タイのバンコク都を含む首都圏では,人口増加,自動車保有台数の増加,通過交通の増加,街区道路の分断等による非効率な交通システム等により渋滞が深刻化し,大気汚染・騒音等の自動車公害を引き起こしている。
また,タイ政府は,1970年代から大量輸送交通システムの整備を進めており,2010年には「バンコク首都圏大量輸送交通マスタープラン」を策定し,2029年までに12路線の都市鉄道網を整備することとしている。
我が国の基本政策との関係
我が国は,2012年12月に改定した対タイ国別援助方針において,戦略的パートナーシップに基づく双方の利益増進及び地域発展への貢献の推進を基本方針として,持続的な経済の発展と成熟化する社会への対応(環境・気候変動問題等に対する支援)等を重点分野としている。今次案件は,地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与するものであり,同方針に整合する。

(2)効率性

 本事業に関連した新設駅周辺開発,運行地域開発のための技術協力を国別研修を通じて実施することで,本計画での運営・維持管理の効率性の確保を行う。

(3)有効性

 本計画は,道路交通から都市鉄道交通への転換を促し,増加するバンコクの輸送需要への対応と交通渋滞の緩和,及び大気汚染の改善を図り,もって地域経済の発展及び都市環境の改善に寄与するもの。また,長期的には,同国の地域経済の発展及び都市環境の改善,我が国のインフラシステム輸出促進,我が国と同国の二国間関係の緊密化等に貢献することが期待される。運用・効果指標として,旅客輸送量(人キロメートル/日)の目標値(2022年:事業完成2年後)は1,755,000となる見込み。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,タイ国別評価報告書,国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構より提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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