ODA(政府開発援助)

2022(令和4年)年1月28日発行
令和4年1月28日

東京栄養サミット2021開催
世界の栄養課題の改善に大きな前進!

(画像1)栄養改善のためのコミットメント作成ガイド表紙

外務省国際協力局国際保健政策室

栄養改善のためのコミットメント作成ガイド。
栄養改善の取組にどのようなかたちで貢献するかを各国に示してもらうため日本政府が作成、サミット前に各国に共有した。課題状況・情報の徹底、貢献への具体的なマニュアルを詳細に解説し、確実な成果へと結びつけた。

 2021年12月7日及び8日に、東京栄養サミット2021が日本政府の主催により開催されました。栄養サミットは、「成長のための栄養(Nutrition for Growth: N4G)」イニシアティブにより、世界的なスポーツの祭典の機会に地球規模で栄養課題について考え、取り組むために開始されました。このため、オリンピック・パラリンピックの主催国が栄養サミットを開催する慣行となっており、今回の東京栄養サミットは、2013年のロンドン会合、2016年のリオ会合に続き3回目の開催となりました。
 当初、東京栄養サミットは2020年に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2021年に延期されました。今次サミットは、国内の参加者は対面、海外からは全面的にオンライン参加とするハイブリッド形式で実施されました。

栄養サミットで初めて
栄養不良の二重負荷や新型コロナの影響について議論

(写真1)マイクの前に立つ岸田総理 東京栄養サミット2021でスピーチを行う岸田総理(写真提供:内閣広報室)
(写真2)マスク姿で座っている岸田総理とモニター画面に映るコンゴ民主共和国大統領 フェリックス・アントワン・チセケディ・チロンボ・コンゴ民主共和国大統領のスピーチを聞く岸田総理(写真提供:内閣広報室)

 東京栄養サミットは「全ての人に食と健康と繁栄を」をテーマとし、飢餓や貧困による低栄養と、生活習慣病等を引き起こす過栄養の「栄養不良の二重負荷」を栄養サミットで初めて取り上げるとともに、新型コロナウイルス感染症による世界的な栄養状況の悪化に対応すべく、健康・食・強靭性・説明責任・財源確保の5分野を中心に議論を行いました。

(写真3)モニター画面に映るワンダの政府担当者 セッション「栄養に関する取組と効果のための説明責任と財源」に参加したルワンダの政府担当者
(写真4)モニター画面に映る世界栄養報告(GNR)の担当者 同セッションに参加した世界栄養報告(GNR)の担当者

 会合初日のハイレベル・セッションでは、コンゴ民大統領、バングラデシュ首相、東ティモール首相を始めとする約30か国の首脳級・閣僚級や、グテーレス国連事務総長、マルパス世銀総裁やテドロスWHO事務局長等の国際機関の長のほか、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を始め、市民社会、民間企業、学術界の代表等50名以上が発言を行いました。多くの参加者から、「新型コロナウイルスにより一層悪化している栄養問題の解決に向け、今が重要な時期」、「日本による時宜を得た東京栄養サミットの開催に感謝」といった発言がありました。
 2日目のテーマ別セッションでは、モデレーターを務めたヘンリー・ボンス氏のリードのもと、パネルディスカッションが行われました。各国政府、国際機関、市民社会等の幅広い関係者がパネリストとして参加し、若い世代から栄養分野の専門家に向けて質問や意見が述べられるなど、今後取り組むべき方向性について活発な議論が行われました。

(写真3)モニター画面に映る国際連合パレスチナ難民救済事業機関の担当者 コミットメントを発表する国際連合パレスチナ難民救済事業機関の担当者

過去最大の成果を得た東京栄養サミット

 岸田総理大臣からは、成長を妨げる栄養不足と、生活習慣病を引き起こす栄養過多の「栄養不良の二重負荷」が世界共通の課題となっており、さらに、新型コロナ感染症により、特に子どもの栄養状況が一層悪化している旨を述べ、今後3年間で3,000億円以上の栄養関連支援を行うことを発表しました。また、65か国、60の民間企業、58の市民社会を含む215の多様なステークホルダーから支持を得る形で、持続可能な食料システムや気候変動など、世界の人々の栄養改善に向けて国際社会が今後取り組むべき方向性をまとめた成果文書「東京栄養宣言」を発出しました。さらに、66か国の政府、26の民間企業、51の市民社会を含む181の多様なステークホルダーから396のコミットメント(栄養改善のための政策的・資金的意図表明)が提出され、計270億ドル以上の栄養関連の資金拠出が表明されるなど、過去の栄養サミットを上回る成果が得られ、世界が直面する栄養問題の改善に向けた日本政府の積極的な貢献が大きく評価されました。

 東京栄養サミット開催にあたっては、栄養問題に影響を及ぼす幅広い関係者の意見に耳を傾けながら連携して準備を行ってきました。新型コロナウイルス感染症による開催延期等、様々な課題がありましたが、国内外の幅広い関係者が、自らの政策や行動を振り返り、今後取り組むべき目標を具体的に考えて発表しました。関係者の積極的な貢献により、栄養サミットとして過去最大の成果を上げ、成功を収めることができました。
 今回の成果も踏まえ、2024年にフランスで開催される次回の栄養サミット、そしてSDGs達成に向けた取組を推進していきます。

 東京栄養サミットの概要については、以下のURLもご覧ください。

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