ODA(政府開発援助)

2020(令和2年)年6月12日発行
令和2年6月12日

スポーツで国際交流!
ODAでドミニカ共和国の柔道を支援

(画像1)ドミニカ

在ドミニカ共和国日本国大使館

(写真1)整備された柔道器材の様子 整備された柔道器材。
床張り,下敷きクッション,柔道マット,扇風機
(写真2)柔道器材引渡式の様子 2017年,柔道器材引渡式の様子。
サントドミンゴ自治大学柔道場にて

 ドミニカ共和国は,カリブ海で2番目に大きい島であるイスパニョーラ島の3分の2を占め,ハイチ共和国と国境を接しています。九州より少し大きい国土に1,076万人が暮らしています。ドミニカ共和国でスポーツといえば,メジャーリーグや日本で多くの選手が活躍する野球が有名ですが,当地では移住開始から60年以上になる日系人の影響もあり,柔道,剣道,空手などの日本の武道も盛んに行われています。

 そんなドミニカ共和国で,2017年に日本のODA事業「草の根文化無償資金協力」により,当国唯一の国立大学であるサントドミンゴ自治大学の柔道場で使われる,柔道マット,床張り,換気扇,道着などの柔道関連器材が整備されました。

大学に柔道の授業を導入、日本人が指導する

 サントドミンゴ自治大学は,1538年に新大陸で最初に設立された大学である「聖トマス・アキナス大学」を前身とする,非常に歴史のある大学です。この大学は,1966年から授業に柔道を導入し,1972年から同大学柔道部顧問に就任した日系人の故・山下政久氏の指導のもと,幅広い層への柔道普及に取り組んできました。

 2003年には大学に専用の柔道場が整備されましたが,体育館の地下に位置するため高温多湿で換気が悪く,練習や体育の授業を行う環境として劣悪でした。そこで今回のODAプロジェクトにより快適で練習しやすい環境を整備することにしました。練習環境を整備することで柔道部員の能力向上と,授業で柔道を体験する一般学生に柔道本来の魅力を正しく伝え,柔道のより効果的な普及を図ることが目的です。

 柔道器材の整備により,練習環境が格段に良くなった柔道場では,現在,週6日柔道部の練習が行われているほか,学生の体育の授業や児童から社会人までの幅広い年代に対する一般向け柔道教室が開講されています。

  • (写真3)柔道教室の練習の様子1(写真4)柔道教室の練習の様子2
    柔道教室の練習の様子。
    柔道機材の整備により,練習環境が整った

ラテン気質のドミニカ人に,柔道の精神が根付く

(写真5)整列の様子 柔道部練習前の部員の整列の様子
(写真6) JICA海外協力隊員と柔道教室生徒 柔道指導のために派遣された
JICA海外協力隊員と柔道教室生徒

 ドミニカ共和国ではJICA海外協力隊派遣事業による協力隊員が各地のさまざまな分野で活躍していますが,大学の要請により,これまで計4名の柔道隊員が派遣され,柔道部員や柔道教室の生徒に対して柔道の指導が行われてきました。2016年10月から2020年1月までの間は,2名の協力隊員が継続して派遣されたことで,整備された柔道器材は効果的に活用され,現在もしっかりと管理・運用されています。

 大使館員が柔道場を視察した際には,同大学柔道部員から「素晴らしい環境と設備の中で柔道ができることに対して,感謝の気持ちを忘れることなく日々の稽古に取り組んでいます」との声が寄せられました。

 同大学柔道場では柔道部顧問であった日系人の山下氏の指導と協力隊柔道隊員による指導が根付いていて,礼儀や規律を重んじる武道としての精神性を重視している様子が感じられます。ラテン気質のドミニカ共和国では非常に印象的でした。

 現在,国際大会の場でも多くのドミニカ人柔道家が活躍しており,2019年にペルーのリマで開催されたパン・アメリカン競技大会においては,キューバ12個,ブラジル10個に次ぐ5個(金2,銀2,銅1)のメダルを獲得し,2020年東京オリンピック競技大会出場も期待されています。

 また,広島県北広島町では2020年東京オリンピック競技大会のドミニカ共和国柔道および陸上競技選手の事前合宿受入れ等を行うホストタウン(北広島町のホストタウン事業(北広島町ホームページ)別ウィンドウで開く)となったことを契機に,ドミニカ人柔道選手との交流を中心としたさまざまなスポーツ・文化交流が官民一体で行われています。

 日本国大使館も当国において,「Sport for Tomorrow」のスローガンのもと,スポーツ分野における国際協力と国際交流を引き続き実施していく予定です。

 (注)本記事は2020年3月に執筆されました。

コスタリカとのスポーツ交流!
パラ卓球の熱戦を,卓球台で支える日本のODA

(画像1)コスタリカ

在コスタリカ日本国大使館 河本秀夫

 コスタリカは南北アメリカ大陸を結ぶ地峡地帯に位置し,北はニカラグアの国境線,南はパナマの国境線に接する人口約500万人,面積約5万1,000平方キロメートル(ほぼ日本の九州と四国を合わせた大きさ)の国です。

 日本でコスタリカは,2014年に行われたサッカー・ブラジル・ワールドカップでベスト8に輝くサッカー強豪国といったイメージが強いですが,「常設の軍隊を持たない平和な国」,「エコ・ツーリズム発祥の国」,「地球上の全生物の5%が生息する生物多様性の国」といった特徴でも知られています。

日本の卓球台が,パラ卓球国際大会を盛り上げる

(写真1)選手たちの様子 熱戦を繰り広げる選手たち
(写真2)立石アルファ裕一選手 日本からも立石アルファ裕一選手をはじめ,
多くの選手が参加した。

 スポーツを愛する国民性のコスタリカにおいて,2019年12月10日から14日まで,サンホセ市内に所在する国立体育館において,肢体障がい者の国際卓球大会である「コパ・コスタリカ2019パラ卓球大会」が開催されました。

 この国際大会は2020年東京パラリンピックへの出場権獲得に向けた重要な大会でもあったことから,パラ卓球日本代表選手団を送り込んだ日本を含む23の国・地域から,多くの男女パラ卓球代表選手が参加し,熱戦が繰り広げられました。

 大会では肢体障がい者の卓球大会ということから,車いす卓球対応型の13台の卓球台が使用されましたが,これらの卓球台は全て日本政府が平成28年度草の根文化無償資金協力「コスタリカ・オリンピック委員会スポーツ器材整備計画」によって,コスタリカ卓球連盟に供与された卓球台でした。

(写真3)車いす卓球対応型の卓球台 日本から供与された車いす卓球対応型の卓球台が
大会を盛り上げた
(写真4)卓球台に貼られている日章旗ステッカー 卓球台には,日本のODAを示す
日章旗ステッカーが貼られている

 2020年東京パラリンピックへの出場を目指すパラ卓球選手達にとって非常に重要なこの国際大会を,日本政府が供与した卓球台がしっかりとサポートすることで,大会の成功の一助になったことを大変嬉しく思いました。

 大会で使用した13台の卓球台には,コスタリカ卓球連盟によって,それぞれ日章旗のシールが貼り付けられていたこともあって,大会に参加した選手やコスタリカをはじめ各国の卓球連盟の関係者から「この大会の成功は,日本政府が供与してくれた車いす卓球対応型の素晴らしい卓球台のおかげです」との心のこもった御礼の言葉が述べられました。

  • (写真5)選手たちの様子1(写真6)選手たちの様子2
    この大会には,23国・地域から
    約200人の選手の参加がありました

 このODAは,スポーツを通じて国際貢献を行う「Sport for Tomorrow」の考え方に基づき,コスタリカのオリンピック委員会に対して行ったプロジェクト。いずれの器材もそれぞれのスポーツ分野において非常に効果的に活用されており,コスタリカ・スポーツ界の発展に多大に貢献しています。

 (参考)平成28年度草の根文化無償資金協力「コスタリカ・オリンピック委員会スポーツ器材整備計画」別ウィンドウで開く概要

対象 器材の整備・更新例
コスタリカ・卓球連盟 車いす卓球対応型卓球台
コスタリカ・ボクシング協会 ボクシング・リング
コスタリカ・フェンシング連盟 フェンシング・ピステ(競技の行われる床面)
コスタリカ・体操連盟 体操器材
コスタリカ・水泳連盟 シンクロナイズ・ド・スイミング用音響器材

 (注)本記事は2020年3月に執筆されました。

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