ODA(政府開発援助)

2019(令和元年)年9月13日発行
令和元年9月13日

カムズ国際空港,35年後のリニューアル
日本とマラウイ,ODAを通じた長いおつきあい

在マラウイ共和国日本国大使館 経済・開発協力班

  • (画像1)マラウイ共和国

 マラウイの首都リロングウェにある「カムズ国際空港」のターミナルビルが,日本のODAで改修・拡張され,より便利に,より安全になりました。マラウイはアフリカ南東部にある後発開発途上国。国民の8割が小規模農家で,経済基盤が脆弱です。日本政府はマラウイの経済成長のための基盤整備,自律的発展に向けた人材育成を支援しています。

 もともとこのカムズ国際空港は1982年に日本のODA円借款事業により開港されたもの。内陸国であるマラウイにとって,国際空港は,物資の移送,人々の移動に直結し,経済成長を左右する非常に重要な意味をもちます。しかし建設から35年以上が経過し,建物の老朽化や,年々増加する乗客数に対応するための施設不足により手続きに時間がかかるなど,課題が山積していました。また,航空機監視システムが老朽化のため1990年代から運用を停止し,管制官がマニュアルで航空管制を行っており,国際基準に基づいた新しいシステムの整備も必要となっていました。

 そこで,マラウイ政府の要請を受け,今回のODA無償資金協力事業「カムズ国際空港ターミナルビル拡張計画」が2015年からスタート。2019年4月には新ターミナルビル3棟の引渡し式典が行われました。この式典には,ODA円借款事業時のプロジェクトメンバーも参加。日本人プロジェクトマネージャーと,当時のマラウイ航空局側担当者4名が招待され,約35年越しの再会を果たしました。当時を知る彼らは,新棟の完成を祝うとともに,既存のターミナルビルが今もほとんど変わらず,丁寧に維持管理され,使用されていることに感銘し,驚きの声をあげていました。

  • (写真1)前回プロジェクトの関係者たち
    約35年ぶりの再会を果たした前回プロジェクトの関係者た
    ち。日本とマラウイの,人と人のつながりがプロジェクト
    の成果を生んだ(写真提供:株式会社ジャイロス)

 日本企業が多く関わった今回のプロジェクトでも,当時と同様,人と人とのきずなが生まれました。マラウイでは建築市場が小さいため現地の職人が育ちにくく,施工現場では日本の業者が細かく教えなければならないという苦労がありました。一方でマラウイ作業員は素直に技術を学ぶ姿勢を持っており,ODA事業により日本からマラウイへ技術移転が進んだことは,このプロジェクトの成果です。日本から派遣された鉄筋・型枠の職人たちとマラウイ作業員との間で良い信頼関係が築かれ,職人さんの中には日本へ帰国後,親密になったマラウイ人を日本へ呼ぼうと各省庁と掛け合った人もいます。また,マラウイで建築を学ぶ大学生や教授を招いてワークショップを行い,後に学生2名をインターンとして現場で受け入れることにつながりました。

  • (写真2)建設現場で行われたワークショップの様子
    マラウイで建築を学ぶ学生たちを対象に,
    建設現場で行われたワークショップ
    (写真提供:株式会社ジャイロス)
  • (写真3)建設中の空港ターミナルビル
    日本式の設計で鉄筋の組立が行われた建設中の空港
    ターミナルビル(写真提供:株式会社ジャイロス)

 カムズ国際空港は,約2年間の工期を経て,3棟のターミナルビルの増設,航空機監視システムの整備が行われたほか,保安検査エリアなどに最先端機器が導入されました。これにより手続きにかかる時間が大幅に短縮され,それまでの10倍強にものぼる,1時間に500人ほどの対応が可能になったのです。

  • (写真4)新しく整備されたレーダーシステム
    新しく整備されたレーダーシステム。国際基準を,
    満たし航空機監視システムの運用が再開される,
    ことになる。(写真提供:株式会社ジャイロス)
  • (写真5)基礎研修の様子
    日本電気株式会社(NEC)により航空機監視システムの機
    材の導入・据え付けおよびマラウイ人の管制官と技術者に
    対する基礎研修も実施された。(写真提供:JICAマラウイ
    事務所)

 現在空港では既存ターミナルの改修工事が行われています。ODAの円借款事業により1982年に開港されたカムズ国際空港。そして今回,ODA無償資金協力事業により2015年から始まったカムズ国際空港ターミナルビル拡張計画。日本とマラウイの友好と信頼の証でもあるこの空港の事業が数十年先まで継続し,これからも大切に使用されることを願っています。

  • (写真6)荷物ターンテーブルの様子
    今までは1レーンだった手荷物ターンテーブルが2レーンに!
    (写真提供:丸紅プロテックス株式会社)
  • (写真7)日本とマラウイの事業関係者たち
    新しいターミナルビルの前に並ぶ日本とマラウイの
    事業関係者たち(写真提供:株式会社ジャイロス)

ルワンダを通る回廊支援を通じて,
東アフリカの経済発展に貢献

  • (画像1)ルワンダ共和国

 「千の丘の国(The Land of a Thousand Hills)」と呼ばれるルワンダは,アフリカ東部に位置する人口約1,200万人,面積は四国の約1.5倍の小さな国です。1994年のジェノサイド(ルワンダ虐殺)という悲劇を乗り越え,近年,年間約8%の急速な経済成長を遂げています。世界銀行が発行している「Doing Business 2019」では,「ビジネスのしやすさ」がアフリカで2位にランクしており,ルワンダの日系企業もここ3年ほどで7社から26社に増加しています。また,アフリカ有数の良好な治安・安全を武器に,主要な国際会議を積極的に誘致しています。

 ルワンダは,インド洋まで1,400キロメートルの距離に位置する内陸国。ケニア・モンバサ港からウガンダを通過する東アフリカの北部回廊とタンザニア・ダルエスサラーム港から延びる中央回廊の接続地点に位置しています。回廊とは,国・地域の経済活動の中心となる主要道路のことであり,ルワンダにとって東アフリカの大動脈であるこれら2つの回廊はまさに生命線です。成長著しい同国では,北部回廊が通過する首都キガリの交通量が増加し,その対応は喫緊の課題です。日本は,首都の交通量の軽減や輸送力強化につながる道路の改良,また,貿易の円滑化のための人材育成を支援しています。

  • (画像2)位置関係の地図
    北部回廊・中央回廊とルワンダ並びに
    ルスモ国境およびルスモーカヨンザ区間道路の
    位置関係
  • (画像3)位置関係の地図
    キガリ市とンゴマ-ラミロ区間道路の位置関係位置関係

 2014年,日本は中央回廊上のタンザニアとルワンダの国境ルスモにかかる国際橋を掛け替えました。同時に,国境手続円滑化施設の建設と国境管理職員の能力向上の支援も行いました。これにより,国境橋上の重量・速度制限が改善し,輸送コストが減少しました。国境管理の担当者によれば,通行するトラックの量が約2倍になり,従来は数時間かかった入国・通関手続も30分ほどに短縮されたそうです。

  • (写真1)建設したルスモ国境橋
    建設したルスモ国境橋
  • (写真2)国境手続円滑化施設
    国境手続円滑化施設
    (OSBP:ワン・ストップ・ボーダー・ポスト)

 加えて,現在日本はアフリカ開発銀行と協力しつつ,円借款事業を通じてルスモ-カヨンザ区間の道路の改良を支援しています。同様に,今後,世界銀行と役割分担を行い,ンゴマ-ラミロ区間の道路の改良を支援することについても合意しています。これにより,2つの回廊の連結性や輸送力が高まり,企業活動に欠かせない物資の調達など物流の安定や強化につながり,ルワンダのみならず,東アフリカ地域全体に利益を生み出します。

  • (写真3)道路改良の現場の様子
    建設中のルスモ-カヨンザ区間の道路改良の現場

 また,ルワンダでは,高い経済成長を背景として,年間10%以上電力需要の高まりが見込まれており,安定的な電力供給も課題の一つです。首都キガリの電力消費量は同国全体の約64%を占めています。しかし,送配変電網への投資不足や設備の老朽化により,送電ロスが20%以上にのぼります。そのため,日本は2011年から市内の配電網の整備や変電所の容量増強を支援しています。日本の継続的支援は,企業の経済活動や人々の日常生活に欠かせない電力の損失低減と安定的供給に大きく貢献しています。

  • (写真4)集合写真
    建設済みの第二次変電所引渡式(参議院ODA調査団一行とともに)

 このように日本の支援は,ルワンダの国情やニーズに沿った地域密着型の支援という側面だけでなく,より広域的な回廊支援を通じた東アフリカ地域の支援という側面も兼ね備えています。今後とも,このような日本の回廊支援が,ルワンダと東アフリカ地域における日本企業のアフリカ進出につながっていくことが期待されます。

9月最後の土日はお台場に集合!
グローバルフェスタJAPAN2019

国際協力局 政策課 広報班

 29回目を迎える日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタ」が,今年もやってきます!9月28日(土曜日),29日(日曜日)に,「グローバルフェスタJAPAN2019」がお台場のセンタープロムナードで開催されます。
 今年のテーマは「Cheer up the world あなたのチカラを,世界に。」
 国際協力は,エールの贈りあいです。あなたのエールを届けにきてください!

 会場には,250を超えるNGO,国際機関,企業,各国の大使館などが出展します。国際協力の最前線で活躍する人たちの話をまとめて聞くことができるこの機会をお見逃しなく。外務省のブースや写真展もあります!世界各国の料理に舌鼓を打ちながら広いフィールドをアドベンチャーラリーでぐるりと回れば,国際協力のイマをまるごと楽しく学びながら,グローバルフェスタだけのオリジナルグッズをゲットできます。

  • (写真1)昨年の様子
    昨年の様子
  • (写真2)昨年の外務省写真展の様子
    昨年の外務省写真展の様子

 メインステージは,この2日間だけのスペシャルゲストが目白押しです。
「鷹の爪団の 行け!ODAマン」
 9月28日(土曜日)11時00分から11時30分

 シュールなアニメ「鷹の爪団」の吉田くんが変身した外務省オリジナルキャラクター「ODAマン」,もうご存知ですよね!?グローバルフェスタは,着ぐるみのリアルODAマンに出会える貴重なチャンスです!「鷹の爪団」原作者にして声優のFROGMANさんの生アテレコで,日本の政府開発援助(ODA)を体当たりで愉快に説明します。

「テツandトモ」
 9月28日(土曜日)12時30分から13時00分,29日(日曜日)12時15分から12時45分

 結成から21年,子供から大人まで広く親しまれ続けている「テツandトモ」が,グローバルフェスタ限定,知って楽しい,知っておどろく「国際協力なんでだろう?」を軽快なリズムでお届けします!

「笑下村塾の笑って学ぶSDGs」
 9月28日(土曜日)14時00分から14時45分

 最近,意識高い系の人たちの間では常識らしい「SDGs」…でも,実はよく分からない(汗)。そんな人たちにお届けします,思いっきり笑ってSDGsを「自分ごと化」して,今日から一歩踏み出そう!

「国際協力シンポジウム スポーツと国際協力」
 9月29日(日曜日)13時30分から14時00分

 2020年を目前に盛り上がる「スポーツ」は,近年,社会的課題の解決法として脚光を浴びています。スポーツの秘められたチカラ,スポーツを通じた開発について,日本を代表するアスリート,スポーツ指導者,有識者が熱く語ります!

 もう一つのスペシャルステージでもたくさんの企画を実施します。他にも,はがせる絵具でODAマンやSDGsを手や顔にペイントするコーナーや,フライングディスクでゴールを狙う「ディスクゴルフ」体験など,たくさんのフィールドイベントをご用意。会場を回るアドベンチャーラリーをクリアしたら,素敵なプレゼントももらえます!グロフェス後には,グロフェス前とは違う自分にきっと会える!

  • (写真3)昨年のメインステージの様子
    昨年のメインステージの様子
  • (写真4)昨年のスペシャルステージの様子
    昨年のスペシャルステージの様子

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