ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン第382号
ODAメールマガジン第382号では,以下2話をお送りいたします。(肩書きは全て当時のものです)
- 第1話:パラオ共和国より【シリーズ「世界を変える日本の技術」第11弾】
「パラオと日本との共同研究で世界のサンゴ礁を守る」 - 第2話:国際協力局政策課広報班より
「「鷹の爪団の 行け!ODAマン」配信開始」
パラオと日本との共同研究で世界のサンゴ礁を守る
原稿執筆:JICAパラオ支所 中谷誠治 長期派遣専門家(当時)
2013年4月から2018年3月までの5年間,パラオ国際サンゴ礁センターと琉球大学が中心になり,サンゴ礁の生態系を守るための研究プロジェクト(注)が実施されました。このプロジェクトには,さらにパラオ短期大学,東京工業大学,東京大学,鹿児島大学,自然環境研究センターなど多くの研究機関が参加しました。また,琉球大学の中村崇准教授をはじめ,パラオと日本から総勢約60人の研究者や学生などが活動を共にしました。
(注)このプロジェクトは,「サンゴ礁島嶼系における気候変動による危機とその対策」と呼ばれ,国際協力機構(JICA)と科学技術振興機構(JST)が実施する「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」の一環として行われました。
- 高い生物多様性を示す
パラオのサンゴ礁 - 世界遺産に登録されたパラオの島々と
それを取り巻くサンゴ礁
- 世界各地から研究者が訪れるパラオ国際サンゴ礁センター(PICRC)
日本の無償資金協力で建設され,2000年にオープンした
【写真提供:PICRC】
琉球列島やパラオを含む太平洋の低緯度海域の島々にはサンゴ礁が広がり,そこに暮らす人々に貴重な水産物はもちろん,観光資源や防波堤機能など,さまざまな恩恵をもたらしています。しかし今日,サンゴ礁生態系は海水温の上昇や台風の大型化,海洋酸性化などの地球規模の環境変化にさらされるだけでなく,都市・農業開発などによる水質汚染や魚介類の乱獲などのローカルな環境負荷に脅かされています。そこで,日本とパラオの研究者が協力して,これらの問題を研究し,解決策を探る試みがなされました。
- 2016年に開催されたプロジェクトの第4回合同調整会議の参加者
この研究プロジェクトではいくつかのテーマを設けました。まず,サンゴ礁を形作るサンゴや魚のモニタリング,サンゴ礁の生物に影響を及ぼす水質のモニタリング,生物多様性に関する研究,サンゴ礁の経済評価,観光振興に関する研究や,サンゴ礁保全に向けた啓発活動などです。
- 琉球大学研究者によるサンゴの水中観察
これらの活動を通じ,国際的な科学雑誌で論文の掲載や国際学会での発表,パラオ人研究者の修士号取得,地域の公聴会の開催,パラオの自然に関する書籍の出版を含む活発な広報活動など数多くの成果を収めました。こうした活動は外部有識者・専門家から高い評価を得ています。
- 琉球大学研究者とパラオ短期大学学生に
よる生物多様性研究のための
標本処理作業 - 水質調査訓練の様子
さらに,研究成果に基づいた保全に関する政策提言をパラオの上下両院の国会議員に説明することにより,サンゴ礁環境保全に至る道筋を作ることができました。このような成果は,パラオだけでなく,同様なサンゴ礁生態系の危機のもとにある多くの島々にとって役に立つことが期待されます。
- パラオの自然を紹介したプロジェクト成果の一つ,
フィールドガイドブックのパラオ教育相への引き渡し式
「鷹の爪団の 行け!ODAマン」配信開始
原稿執筆:外務省国際協力局政策課広報班
「大いなる!ダイナミックな!アシスト!ODA!」
人気アニメ「秘密結社 鷹の爪団」の主人公吉田くんが,外務省に任命され,ODAマンに大変身!
「ODAってなんじゃ?」な総統に,日本のODAをわかりやすく解説するショートアニメ「鷹の爪団の 行け!ODAマン」が9月21日(金曜日)にリリースされました!特設ホームページでしか見られないプロローグ編と4つのODA事業を解説します。ぜひお見逃しなく!
そのほか,(1)トレインチャンネル(東京メトロ全線で9月24日から10月7日まで),
(2)Twitter,FacebookやYoutubeなどを利用したウェブ広告,
(3)テレビ(9月から10月,BS放送で約50回のスポットCM)の3つの媒体でもご覧いただけます。
鷹の爪団ってなんじゃ?となったらこちらチェック!(鷹の爪団公式ホームページ)
(注)原稿内イラスト提供DLE
最近の開発協力関連トピック
- (1)グローバルフェスタJAPAN2018,いよいよ開幕!
今年の秋はActionの秋!9月29日(土曜日)国際協力の最前線が詰まったお台場で会いましょう! - (2)海外における開発協力広報(現地報道機関に対するプレスツアー)
在外公館では,開発協力を通じた日本の国際貢献について現地の方々に理解してもらうための広報をしています。
このたびパキスタン・カラチ(日本語/英語
)で,現地プレスを招いて開発協力の現場を視察してもらいました。
- (3)ピンクの「さくらバス」,パキスタンの女性を安全に運ぶ
桜が鮮やかに描かれたピンクの「さくらバス」について,パキスタンの多くのメディアが報じました。このバスの寄贈によって,女性が安全に移動できる範囲の拡大,社会進出に寄与することが期待されています。
また,英語版ページを新たに開設し,日本の開発協力の取組を英語でも発信しています。 - (4)ODA出前講座
目黒星美学園高等学校,東京農業大学,高知県黒潮町立佐賀中学校でODA出前講座を実施しました!開催報告とODA出前講座の申請についてはこちらから。