ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン第377号
ODAメールマガジン第377号では,以下3話をお送りいたします。(肩書きは全て当時のものです)
- 第3話:国際協力局政策課広報班より
「グローバルフェスタJAPAN2018 外務省写真展「わたしたちのAction」の展示作品を募集します!」
第1話:モーリタニアより
「モーリタニアを支える日本の漁業支援」
第2話:セントルシアより
「セントルシアにおける日本の開発協力の取組」
モーリタニアを支える日本の漁業支援
原稿執筆:在モーリタニア日本国大使館 向出 萌 三等書記官
モーリタニアは,アフリカの西端に位置する世界最貧国の一つです。
日本が輸入する約4割のタコはモーリタニア産ですが,タコ以外にモーリタニアにまつわる物を日本で目にすることは殆ど無く,残念ながら日本での同国の知名度は高くはありません。
- 首都郊外の様子
(砂漠で水を飲むラクダ) - モーリタニア内陸部の様子(オアシス)
しかし実は,日本は豊かな漁場を持つモーリタニアの水産業発展の可能性を見据え,長年にわたって様々な支援を実施してきました。その結果,モーリタニアでは「日本=友好的なモーリタニアの援助国」との認識が広く定着しており,モーリタニア国民の対日感情は良好です。
モーリタニアにとって,水産業は経済を支えているだけでなく,多くの雇用も創出し,国の持続的成長において大きな役割を担っています。
モーリタニアの総輸出額の約4割は水産物輸出によるものであり,その中でも特にタコの輸出額は大きく,水産物輸出額の約半数を占めます。また,タコ漁は約3万人の直接雇用を生み出しています。
タコの多くは,日本の協力によって伝えられたタコつぼ漁によって漁獲されています。その漁法の簡単さ,導入コストの少なさ,タコの商品価値の高さ等から,タコつぼ漁はモーリタニア北部の漁業都市ヌアディブで急速に普及しました。
一方で,漁民の増加により,タコつぼ漁を中心とする小規模漁業の一大拠点であるヌアディブ漁港は深刻なキャパシティ不足に陥りました。
- 拡張・整備後のヌアディブ漁港
- 積み上げられたタコつぼ
この問題に対処し,日本は経済面や雇用面で重要な役割を果たす水産業を支えるべく,同漁港を二度にわたり拡張・整備しました。
これにより,ピローグ船と呼ばれる小型船が,約3,000隻まで係留することが可能となり,同港の混雑は緩和され,水産業の効率化や漁民の就業環境改善に貢献しました。
同港二度目の工事の竣工式には,大統領,首相,ヌアディブ経済特区総裁他,閣僚数名が参加しました。ヌアディブ経済特区総裁は,モーリタニア政府を代表して,本事業は漁業資源の有効活用促進および貧困層への雇用機会創出等に資する重要な計画であり,同事業の実現に対して日本国民の皆様に感謝の意を示したいと表明しました。
ほかにも日本はこれまで,首都ヌアクショットの魚市場の建設,海洋調査船の供与,輸出促進のための国立水産物衛生検査所の整備等の様々な支援を行っています。
- ヌアクショット魚市場
- 国立水産物衛生検査所内部の様子
これらはモーリタニア人により丁寧に維持管理・活用され,モーリタニアの水産業,ひいては国家経済の発展及びこれらを通じた貧困削減に貢献しています。
セントルシアにおける日本の開発協力の取組
原稿執筆:在トリニダード・トバゴ日本国大使館 小林 真一郎 二等書記官)
島嶼国ゆえの脆弱性への支援
セントルシアを含め,当館が管轄するカリブ地域の9か国はいずれも,小島嶼(とうしょ)開発途上国(SIDS)に分類され,特有の脆弱性を有しています。
これらの小さな島国は人口・経済規模が小さく,観光業,水産業,農業など外的要因に影響されやすい産業が基盤となっています。カリブ地域は,ハリケーンや集中豪雨などの自然災害が頻発し,近年の気候変動によって最も影響を受けやすい,脆弱な地域の一つであると考えられています。
このような背景も踏まえ,2014年7月にトリニダード・トバゴで開催された初の日・カリコム首脳会合において,この地域に対して,「小島嶼国特有の脆弱性克服を含む持続的発展に向けた協力」を実施することを安倍総理が表明しました。
- 2014年7月,日・カリコム首脳会合の様子
【写真提供:内閣広報室】
セントルシアを含むカリブ地域においては,2017年9月,ハリケーン・イルマ及びハリケーン・マリアによる甚大な被害が発生しました。中でも,近隣国のドミニカ国におけるその被害額は国内総生産(GDP)の2倍を超え,同国における家屋の6割が全壊もしくは半壊しました。政府機関も深刻な打撃を受けたことで行政サービスが提供できなくなるなど,「一度のハリケーンにより国全体が壊滅的な被害を受ける」という,小島嶼国の脆弱性が改めて浮き彫りとなる事態が発生しています。
セントルシアに対する支援の特徴
日本政府は,「対セントルシア国別開発協力方針」(平成28年9月)を定め,脆弱性の克服に資する支援(分野:防災,環境,水産等)を実施することとしています。
この方針に従い,防災分野では無償資金協力「カルデサック流域橋梁架け替え計画」を実施しています。この計画は,河川氾濫で被災し寸断されるリスクをなくし,幹線道路交通を確保することで国際空港と首都との交通確保と,大規模災害時の首都の孤立防止を図るものです。
- 「カルデサック流域橋梁架け替え計画」イメージ画像
また,水産分野では無償資金協力「水産関連機材整備計画」を実施し,同国内の水産関連施設の設備更新などによる水産施設の機能維持・改善を図ることで,近年求められている衛生管理の対応が可能となりました。
- 「水産関連機材整備計画」で整備した製氷設備
さらに,日本の技術協力「カリブ地域における漁民と行政の共同による漁業管理プロジェクト」により,専門家派遣を通じて漁業組合の強化支援や持続可能な漁法の開発・普及等を行い,水産業の持続的発展に貢献してきました。
また,青年海外協力隊では,防災,環境,コミュニティ開発,教育など幅広い職種のボランティアを派遣し,環境・防災問題の改善や社会的弱者支援等の脆弱性の克服に貢献する活動を展開しています。
- 日本による水産分野の技術協力の現地関係者たち
- 日本による青年海外協力隊活動の様子
(1)小学校で環境教育を行う様子 - 日本による青年海外協力隊活動の様子
(2)青年海外協力隊員主導による
地域連携の清掃活動
グローバルフェスタJAPAN2018 外務省写真展「わたしたちのAction」の展示作品を募集します!
原稿執筆:国際協力局政策課広報班
9月29日および30日に開催される,国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN2018」において,外務省写真展「わたしたちのAction」に展示する作品を募集します。
国内外で支援する人,される人,様々な立場の人が「国際協力」のアクターとして輝いている姿やその現場,またそうした人々の眼を通した世界を伝える作品をお待ちしています!
- 昨年の最優秀賞受賞作品(NGO部門)
- 昨年の最優秀賞受賞作品(個人部門)
以下の専用サイトにて募集中ですので,皆さま奮ってご応募ください(本年は部門を分けずに受付・審査いたします)。
ご応募いただきました作品より,最優秀賞作品および優秀賞作品を選定し,選定された応募者には副賞が贈呈されます。また,応募サイト上で最も「いいね!」が多かった作品にも副賞を用意しております。詳細は上記の応募サイトをご覧ください。
- 昨年の展示作品
- 昨年の写真展の様子
グローバルフェスタJAPAN2018 外務省写真展作品 募集概要
【応募受付】2018年7月6日(金曜日)12時から8月31日(金曜日)17時まで
【応募専用サイト】グローバルフェスタJAPAN2018 外務省写真展
グローバルフェスタJAPAN2018
【日時】2018年9月29日(土曜日),30日(日曜日)10時から17時まで
((注)写真展は期間中終日開催)
【場所】お台場シンボルプロムナード公園(東京都江東区)
【主催】グローバルフェスタJAPAN2018実行委員会
【共催】外務省,独立行政法人国際協力機構(JICA),特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)
最近の開発協力関連トピック
- (1)「グローバルフェスタJAPAN2018」出展者追加募集中!
日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN」が今年も9月29日(土曜日),30日(日曜日)の二日間,お台場で開催されます。出展募集が延長され,明後日13日(金曜日)まで受付中です!この機会をお見逃しなく! - (2)「グローバルフェスタJAPAN2018」外務省写真展の展示作品を募集中!
今年も「外務省写真展」の作品を募集いたします!テーマは「わたしたちのAction」。
国内外で支援する人,される人,様々な立場の人が「国際協力」のアクターとして輝いている姿やその現場を伝える作品をお待ちしています! - (3)実践女子大学でODA出前講座を実施しました!
国際協力局では,国際協力についてお話しするため,第一線で働く職員を皆さまのもとへ派遣しています!6月20日に実践女子大学で行われたODA出前講座の開催報告がアップされましたので,ご覧ください。申請は,開催希望日の2か月前をめどにこちらから。