ODA(政府開発援助)

ODAメールマガジン第334号

2016年10月12日発行

平成28年10月14日

ODAメールマガジン第334号は,国際協力局政策課から「【イベント報告】「グローバルフェスタJAPAN 2016」大盛況で終了♪」,シリーズ「TICAD VI」第10弾としてカメルーン共和国から「カメルーン発「カイゼン・ミュージックビデオ」秘話」と国際協力局国別開発協力第一課から「日メコン連結性イニシアティブ 生きた連結性」をお届けします。

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【イベント報告】「グローバルフェスタJAPAN 2016」大盛況で終了♪

原稿執筆:国際協力局政策課

10月1日(土曜日)及び2日(日曜日),東京のお台場センタープロムナードにて「グローバルフェスタJAPAN 2016」が開催されました。初日はあいにくのお天気となりましたが,皆様お越し頂きありがとうございました!26回目を迎えた今年のグローバルフェスタは,「for the First Step 新しい目標に向かって」をテーマに,国際協力に関わる269団体(NGO,国際機関,在京大使館,企業など)による様々な企画が行われ,2日間で約10万人にお越しいただき,大盛況のうちに終了することができました。

昨年,「持続可能な開発目標(SDGs)」という世界共通の目標が国連で採択されました。今年のグローバルフェスタは「SDGs」(=新しい目標)に向かって,みんなで一歩を踏み出そう!という思いを込めて,テーマを「for the First Step 新しい目標に向かって」にしました。

  • オープニングセレモニー
  • バルーンリリースセレモニー

オープニングセレモニーでは,ゲストの倉木麻衣さんや広瀬アリスさんが,会場を大いに盛り上げてくれました。開会式では「SDGs」の17のゴールをイメージした色とりどりの風船を,来場者のみなさんと一緒に大空に飛ばし,とても楽しい開会式となりました。
(注)風船は空中で気化するエコ素材を使用。

  • 外務省写真展表彰式
  • エントランスアーチ

開会式に続き,外務省による特別企画である写真展「“誰も取り残さない”世界を願ってleaving no one behind」の表彰式を行いました。個人部門及びNGO部門からそれぞれ上位3点を選出し,賞状と副賞(オリンパス(株)様御提供)が贈呈されました。この写真展では,世界各地で国際協力に取り組む皆様から御応募いただいた100点近くの作品の中から,グローバルフェスタJAPAN 2016実行委員会によって選出された73点の作品を展示し,開発途上国の様子を来場者の皆様に御紹介しました。

  • 個人部門最優秀賞「ポリオのない世界を目指して」
  • NGO部門最優秀賞「これが私の宝物」

また,写真展ブースにTICADコーナーを設けて,8月にケニアで実施されたTICAD VIの成果を写真とパネルで報告し,来場者から多くの反響をいただきました。

  • オリエンタルラジオ×外務省のステージ
  • 国際協力に関連したクイズを出題

初日のメインステージにはオリエンタルラジオが登場!中田さんと藤森さんの海外でのエピソードや,国際協力をテーマにしたクイズを通じて,会場は大盛り上がり!立ち見のお客さんが続出し,大爆笑のステージとなりました。

  • 水運びを体験!
  • 消臭効果がある商品が,本当に臭いを消すか検証
    (結果:臭いは消えたようです)

二日目にはルー大柴さんが「ルー大柴と国際協力をTOGETHERしよう!」に登場!グローバルフェスタの協賛企業が取り組む途上国の支援活動を,ルーさんや会場の皆様に体験してもらいました。ルー語炸裂の楽しいステージとなりました!

TOGETHERしていただいた企業の皆様:味の素,NHK国際放送局,オリンパス,関西ペイント,UCC上島珈琲,ヤマハ発動機(五十音順)

  • SDGsワークショップの様子
  • 会場の様子
    たくさんの来場者で大賑わい

その他,大学生によるアフリカンファッションショーやケニア人女性シンガーとTICAD VI大使によるアフリカについてのミニトークショー,持続可能な開発目標(SDGs)が私達の生活とどのように関わっているかクイズ形式で考えるワークショップなども行われました。

グローバルフェスタを通じて,一人でも多くの方に「国際協力」に関心を持っていただき,大きな第一歩を踏み出すきっかけになったのではと思います。御来場いただきました皆様,御協力いただきました皆様,本当にありがとうございました!!

カメルーン発「カイゼン・ミュージックビデオ」秘話

原稿執筆:在カメルーンJICA専門家(コンサルタント) 門 敦之

皆さん,日本が世界に誇るビジネスの秘訣,「カイゼン」を御存知でしょうか。

「カイゼン」とは,「整理・整頓・清潔・清掃・躾(しつけ)」のそれぞれの頭文字(S)をとった「5S」を含む,モノづくり大国・日本で進化した,職場の環境改善や品質・生産性向上手法,取り組みの総称です。

日本人の多くは家庭や学校などで,小さい頃から「片付けをしなさい」と言われたり,大人になっても断捨離が書籍などで取り上げられたり,整理・整頓の文化が根付いていますが,アフリカなどの途上国では必ずしもそうではありません。ガラクタの山に工具が埋もれていたり,在庫がどこに何個あるのかわからなかったりといった問題を抱えた中小企業が多いのが実情です。

何がどこにいくつあるかをパッと見てわかる様に整理・整頓・視覚化し,習慣づけることでムダを省き,その企業・組織の環境をより良くしていく,それが「カイゼン」の第一歩です。

JICAはすでにエチオピアやタンザニアなどアフリカ20か国で経済・社会発展に貢献する様々な分野での「カイゼン」支援を実施しています。カメルーンでは2014年から開発調査型技術協力として,日本人専門家が現地の公務員や中小企業コンサルタントの卵に「カイゼン」研修を実施しており,「カイゼン」マインドを持った人々が続々と誕生しています。

そのような取り組みの最中,ふとしたきっかけで作成することになった『カイゼン・リズム』のプロモーションビデオ(PV)が,先日お台場で行われた国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN 2016」で公開され,会場を沸かせました。
ここではそのPV制作の裏話を御紹介します。
まずは,下記YouTubeにアクセスして,この歌を聴いてみて下さい。

『カイゼン・リズム』は,カメルーンで活躍中の若手歌手LAROを起用した,日本の5S・カイゼンをテーマにしたダンス・ミュージックで,マコッサと呼ばれる,カメルーンの沿岸部に位置するリトラル地方のリズムがベースとなっています。

  • 日本でJICA研修の受講経験を持つカメルーンの
    女性起業家の工場にて撮影
  • SEIRI・SEITON等「5S」の説明が掲げられているこの看板は,
    企業が自ら負担して製作

LAROは,音楽やアートを扱うカメルーンの中小企業に所属するシンガー・ソングライターで,大学院生でもあります。彼女との出会いは2015年11月頃。カメルーンでカイゼン・プロジェクトを開始した日本人専門家とカメルーンの仲間達が,同国の中小企業100社を調査している時にさかのぼります。売り出し中の彼女のミュージックビデオに魅せられた我々が,カイゼンの曲を作れるかと聞いたところ,喜んで引き受けてくれたのがきっかけです。
もっともLAROのヒット曲はバラードが中心だったので,最初に出てきたサンプル曲も実にゆったりしたバラード調で,ちょっとイメージが合わなかったので,作り直してもらったというエピソードもあります。

このビデオの振り付けは,大学院生で,様々なダンスコンテストで賞をとっている,LAROと同じ会社に所属するインテリ・ダンサーのCARINEによるものです。彼女は,将来カメルーンの子どもたちのために音楽やアートの学校を作りたいとの夢を持っています。

  • 整理・整頓を行う企業の現場の写真が次々に登場。
    こちらは空港の清掃を担う企業の倉庫
  • 歌詞の中に整理・整頓・清掃等の説明が組み込まれており,
    リスナーへの学習効果を促している

ここでテーマとなっている「5S」とは,一般の日本人にとっては「断捨離」や「片付けの魔法」のビジネス版といえば,イメージがしやすいかもしれません。
「5S」や「カイゼン」は欧米やアジアでも爆発的に流行し,様々な本が海外でも出版されています。JICAはアフリカの20か国以上の中小企業や病院,教育機関等で「5S」や「カイゼン」の手法を導入するための人材を育成しています。

8月にケニアで開かれたTICAD VIでも各国から多くの感謝の言葉が寄せられました。カメルーンでは,食品・アパレル・家具・コスメ・医療・電力・金属加工・ホテル等の様々なセクターの小さな企業に,「5S」を始めとする「カイゼン・アプローチ」を導入してもらい,大手の企業に負けない力をつけてもらおうと皆ががんばっています。同国で活動する,ドイツ国際協力公社(GIZ)やフランス開発庁(AFD)のプロジェクト関係者との連携も始まりました。

  • 8週間の厳しい研修後に,大臣(写真左)から
    研修生に修了証書が授与される
  • 日本大使の発案で,トヨタの現地法人も,
    映像の提供や研修の視察に協力してくれることに!

このビデオクリップにはカメルーンのトヨタの代理店であるCAMI-TOYOTAや電動ドリルで有名なMAKITA AFRICA等,日本関連企業が映像の提供に全面的に協力してくれました。
カメルーンのエトゥンディ・ンゴア中小企業・社会経済・手工業省大臣や,在カメルーン岡村大使や梅本JICAカメルーン事務所長も友情出演(?)し,映像を盛り上げてくれています。ポジティブな態度を持とう!と呼びかけるラップのパートは,伊藤JICAカメルーン事務所所員と日本人専門家もレコーディングに参加しているのもカメルーンならではのユニークな点です。

このビデオを作成したのもカメルーンの中小企業。
こうして自分達で撮影した手作り感あふれる映像が,彼らの誇りにつながると信じています。カメルーン発「カイゼン・リズム」のメロディーにのって,アフリカ全土に「カイゼン」が広まり,アフリカ大陸の発展に寄与したいと願っています。

日メコン連結性イニシアティブ 生きた連結性

原稿執筆:国際協力局国別開発協力第一課 松前 秀昭 外務事務官

皆さんは「連結性」という言葉を知っていますか。
町と町,国と国,そういった異なる地域を道路や橋,鉄道などでつなぎ合わせることは,モノやヒトの流通を活発にし,経済の発展を実現するためにとても大切です。
日本は,アジアをはじめとする世界各国で,使いやすく,長持ちし,そして環境にやさしく災害の備えにもなる質の高いインフラの整備を通じて,各地域の域内をつなぎ合わせる,つまり連結性の向上を支援してきました。

今年5月,岸田外務大臣は訪問中のタイのチュラロンコン大学でASEAN向けのスピーチを行い,「生きた連結性」という言葉を提唱しました。「生きた連結性」とは,ただ道路や橋を作って終わり,ということではなく,国境の通関手続をスムーズにしたり,経済特区のような新たな経済活動の拠点を整備したり,あるいは人々の行き来を促進するような協力も一緒に行うことで,域内をつなぎ合わせるインフラが一層活用されるようにし,域内のヒトとモノの流れを活発化していく考え方です。

たとえば,タイの東部とラオスを結ぶ第二メコン国際橋は,日本の支援により2006年に開通し,それまで海上輸送で2週間かかっていたタイの首都バンコクとベトナムのハノイは,最短で陸路3日となりました。通関業務を改善することで物流をさらにスムーズにすることができます。

また,日本の技術を活用した税関システムが導入されるミャンマーのヤンゴンの港では,通関の簡易審査に必要な時間が2時間弱から1分以内にまで短縮されることが期待されています。

  • 第二メコン国際橋
  • ベトナム税関職員の日本での研修

日本はASEAN地域の発展を同じアジアの国として長く支援してきました。ASEANでは,昨年12月に「ASEAN共同体」が発足し,ASEANは一体性を強化してさらなる平和と安定,繁栄を目指しています。その中でもメコン地域は開発が著しいスピードで進んでいる国も多く,ポテンシャルにあふれた地域です。

日本とメコン各国で協力し,こうした「生きた連結性」を実現していく枠組として,岸田外務大臣は5月のスピーチで「日メコン連結性イニシアティブ」を提案しました。本イニシアティブは7月の日メコン外相会議でメコン各国からの賛同を得て正式に立ち上げられ,9月の日メコン首脳会議では,このイニシアティブのもとで優先的に取り組むODAプロジェクトが公表されました。

日本は,この新しいイニシアティブの下,メコン地域において引き続きインフラ整備を進めていくと同時に,通関等の制度改善,周辺開発も同時に進めることで,東西・南部経済回廊がよりスムーズかつアクセスしやすいものとなるよう貢献したいと考えます。また,成長を支える域内の産業人材や人的ネットワークの強化も行っていきます。これらを通じて発展は点から面へと広がり,さらにはASEAN地域全体の統合へとつながっていくことでしょう。日々成長するこの地域から,今後も目が離せません。