ODA(政府開発援助)

OECD開発援助委員会

(DAC:Development Assistance Committee)

令和元年6月10日

1 設立の経緯

 1960年1月,米国の提唱により開発援助グループ(DAG)の設立が決定され,第1回会合が3月ワシントンにおいて開催された。DAGの原加盟国は,米,英,仏,西独,伊,白,ポルトガル,加,及びEC委員会で,我が国も直ちに招待され,我が国はOECDに先立ちDAGに加盟。

 DAGは,1961年9月のOECD発足に伴い,開発援助委員会(Development Assistance Committee)に改組。

2 マンデート(2018年~2022年末)

 DACの目的は,持続的,包摂的かつ持続可能な経済成長,貧困撲滅,途上国の人々の生活水準の改善を含む,2030アジェンダの実施に貢献するため,開発協力・政策を促進すること。この目的を達成するため,DACは以下を行う。

  • (1)ODA及び他の公的・民間資金の流れに関するデータの収集・分析を通じて,透明性のある方法で,持続可能な開発に貢献する資金のモニタリング,評価,報告及び促進を行う。
  • (2)開発協力政策・活動をレビューし,国際的な規範・スタンダードを支持し,ODAの一貫性を守護し,透明性と相互学習を促進する。
  • (3)特に貧困撲滅と持続可能な成長に関係して,DACメンバー国及びそれ以外のドナーの,開発協力におけるイノベーション,インパクト,効果及び成果の向上を支援するために,分析,ガイダンス及びグッドプラクティスを提供する。
  • (4)2030アジェンダの実行を支援しアディスアベバ行動目標(AAAA)に則った開発資金の動員を促進するために,成果を最大化するような開発のグローバルな仕組みについて分析し構築を支援する。
  • (5)持続可能な開発のための国際公共財と政策一貫性の重要性を広める。

3 構成

 OECD加盟国(36か国)中の29か国に欧州連合(EU)を加えた30メンバー。従来,アジアからのメンバーは我が国のみであったが,2010年1月に韓国が加盟。

メンバー

 豪,墺,ベルギー,加,チェコ,デンマーク,フィンランド,仏,独,ギリシャ,ハンガリー,アイスランド,アイルランド,伊,日本,韓国,ルクセンブルク,蘭,NZ,ノルウェー,ポーランド,ポルトガル,スロバキア,スロベニア,スペイン,スウェーデン,スイス,英,米,EU
 (正式メンバーの他,「Associate」「Participant」「Invitee」というステータスがある)

議長

 スザンナ・ムーアヘッド(Susanna Moorehead,前駐エチオピア・ジブチ英国大使兼AU常駐代表)(2019年2月就任)

4 主な活動

(1)各国援助実績の公表

 各国のODA実績を取りまとめ,例年4月に前年の各国実績を公表。そのほか,開発協力の国際的動向,ODA以外の資金の流れなどについても公表。

(2)政策提言

 効果的な開発協力に係る政策につき議論し,提言等を行う。

(3)開発協力相互レビュー(Peer Review

 DACメンバー国の開発協力体制,政策,予算等につきDACメンバー間で相互にレビュー。

5 会合組織等

ハイレベル会合(閣僚級)

 閣僚を含むハイレベルの援助関係者出席の下,重要な開発問題を政策的に討議,コミュニケの採択を行う。1~2年に1回開催。

シニアレベル会合(局長・次長級)

 ハイレベル会合の準備を含め,開発問題を実務的に討議。1年に1回開催。

DAC会合

 定例会合。年間活動計画の策定・実施状況の確認,開発協力相互レビュー,テーマ別討議を行う。

下部機構

 特定のテーマに関し専門的に議論。

  • 統計作業部会(WP-STAT):途上国及び多国間機関への資金の流れの統計報告・集計・ODA定義に係わる問題を扱う。現在ODAの適格性に関する議論及び統計指示書の改定等を行っている。
  • 開発評価ネットワーク(EVALNET):加盟国,多国間援助機関の評価部門間の情報交換・協力(合同評価を含む)を行う。また,評価手法の改善等の検討を行っている。
  • ジェンダー平等ネットワーク(GENDERNET):開発と援助政策全般への女性の参加を支援する措置を含め,開発における性差別の解消の方策を検討。
  • 環境と開発協力ネットワーク(ENVIRONET):持続可能な開発のための一貫したアプローチの促進。環境と開発のリンケージに注目した議論を行っている。
  • ガバナンスネットワーク(GOVNET):開発協力の重要な視点の一つである良い統治と,それを実現するために必要な汚職防止や人権保護に関する協力のあり方を検討。
  • 紛争と脆弱に関する国際ネットワーク(INCAF):開発の阻害要因でもある紛争の予防,紛争後の復興及び脆弱国の開発において開発協力が果たす役割を検討。

6 DACにおける最近の主な議論

  • (1)ODA実績額計上方式の変更:2014年12月のDACハイレベル会合において,従来の純額(ネット)方式に代えて贈与相当額計上方式(Grant Equivalent System:GE方式(注))を標準のODA計上方式として用いることに合意。2018年ODA実績からGE方式による報告が開始されている。

     (注)GE方式は,有償資金協力について,贈与に相当する額をODA実績に計上するもの。贈与相当額は,支出額,利率,償還期間等の供与条件を定式に当てはめて算出され,供与条件が緩やかであるほど(譲許性が高いほど)額が大きくなる。その結果,譲許性の高い有償資金協力の比重が大きい日本の場合,2018年実績額では,従来の純額方式に比べ,約4割大きく計上されることとなった。

  • (2)ODA卒業国のDACリストへの再掲載:2017年10月のDACハイレベル会合において,DACのODA受取国リスト(DACリスト)から卒業した国について,所得水準が世界銀行の高所得水準を下回った場合のDACリストへの再掲載に関するルールについて検討を進めることが合意された。検討の結果,毎年に世界銀行が行う所得水準データ発表において,一人当たり国民所得が高所得水準を下回っている卒業国は,当該国の意向を踏まえた上で,翌年よりODA受取国としてDACリストに再掲載されることとなった。再掲載された国が再度卒業国となるタイミングは,通常の卒業要件と同様,3年毎のDACリスト見直しの際に3年間連続して高所得水準を超えた場合となる。
  • (3)人道・開発・平和の連携:近年世界の紛争や,人道危機が長期化・深刻化する傾向にあることを踏まえ,人道支援と開発協力に平和構築・紛争予防支援等を組み合わせることにより,紛争発生後の対応のみならず紛争の発生・再発予防にも重点を置くべきとの考え方が提唱されている。DACにおいても,下部機構である紛争と脆弱に関する国際ネットワーク(INCAF)を中心に,「人道・開発・平和の連携の一貫性に関するDAC勧告」(注)が準備され,2019年2月のDACシニアレベル会合において全会一致で承認された。

     (注)ドナー及び関係アクターが,より効果的で一貫した人道・開発・平和のための活動,特に脆弱性や紛争に関する活動を行うことを支援するために,連携における調整・計画・資金動員の観点から11の原則を定めたもの。