ODA(政府開発援助)

平成28年9月16日

【日時】2015年7月24日(金曜日)17:00~18:50
【場所】外務省 南庁舎 180号

【議題案】

  1. マスタープラン・ドラフトゼロに関する公聴会
  2. マスタープラン・ドラフトゼロの中身に関する議論

【配布資料】

政府側配布資料:
資料1:
議事次第(PDF)別ウィンドウで開く
資料2:
参加者リスト(PDF)別ウィンドウで開く
資料3:
ナカラ回廊農業開発におけるコミュニティレベル開発モデル策定プロジェクト(PDF)別ウィンドウで開く
NGO側配布資料:
資料4:
「プロサバンナ事業による形だけの公聴会 もう一つの操られた対話プロセス」(日本語仮訳)(PDF)別ウィンドウで開く
資料5:
3カ国市民社会緊急共同声明「プロサバンナ事業マスタープランに関する公聴会無効化の呼びかけ」(日本語訳)(PDF)別ウィンドウで開く
資料6:
マスタープラン・ドラフトゼロ公聴プロセスに関する公式声明(日本語訳)(PDF)別ウィンドウで開く
資料7:
カトリック・ナンプーラ大司教区正義平和委員会並びにADECRU「プロサバンナ事業マスタープラン公聴 会の即時停止と無効化の要求(PDF)別ウィンドウで開く
資料8:
外務大臣・JICA理事長宛 マスタープラン公聴会やり直しの緊急要請(PDF)別ウィンドウで開く
資料9:
公聴会参加報告(PDF)別ウィンドウで開く
資料10:
記事「マレマ郡政府がProSAVANAを拒否した農民らを付きまとい、脅迫」(PDF)別ウィンドウで開く
資料11:
ナカラ回廊農業開発マスタープラン・ドラフトゼロに関する本格的な議論に入る前に(PDF)別ウィンドウで開く
資料12:
マスタープラン・ドラフトゼロ分析(暫定メモ)(PDF)別ウィンドウで開く
【参加者】
一覧参照。外務省2名、JICA 6名、NGO側17名(10団体)

1 マスタープラン公聴会、製粉機強要、人権侵害に関する協議

(1)NGO側から次の指摘と質問・要請がなされた。

今年4月に郡レベルでのマスタープラン(以下、MP)公聴会後、進め方や内容の問題に関する声明が現地で発表され、日本でも指摘してきた(【資料4-9】)。6月にはOMR(農村ウォッチ研究所)のジョアン・モスカ教授、7月にはUNAC(全国農民連合)から3名が来日した。後者のJICA・外務省表敬訪問時には声明(【資料4-5】)が手交され「公聴会の無効化・やり直し」の申入れがされた。これらの声明に対する意見、今後の対応の説明を要請する。
表敬訪問時に、UNAC加盟組織への製粉機強要の問題、公聴会後の地元政府関係者による現地農民への人権侵害・脅迫について言及があり、JICAからは調査が約束された。

(2)JICAからの以下の回答と要請がなされた。

今回の公聴会で不十分な点があったかもしれないが、モザンビーク政府としても3州19郡で合計41回にのぼる意見交換を実施したことは大きな努力だった。そもそも対話する姿勢がなければ、このような公聴会は開催されなかったであろう。対話において、大きな進展といえるほどの成果はないかもしれないが、このような形で対話を行い、前に進んでいくことが重要。違いを認識しつつ現地での対話が上手く進むよう、日本のNGOには現地市民社会との協働を要請する。
声明での法的根拠に関して現地市民社会が言及する「公聴会諸原則」は、個別事業の環境影響評価EIAに関するもので、意見聴取会である本公聴会に適応されない。
参加者の大半を政府職員や与党関係者が占め、疑問を持つ人の発言介入のため招待されたとの指摘だが、名簿で政府関係者は3割程度で半数は農民。但し、名簿に未記載者もいる。
製粉機の強要の可能性について関係者に確認した結果、JICA関係者に脅迫と受け取られるようなやり取りがあったとの認識はしていない。確認結果は以下の通り。
(ア)
UDCM(モナポ郡農民連合)に対して、2014年5~6月、ナンプーラ州農業局(DPA)、及び経済社会農業事務所(SDAE)とJICAコンサルタントのチームが週1回程度、現地を訪問。事業内容を協議し、同年9月に実施意思を最終確認。翌年1月に事業計画の最終化をしたが、翌月17日にUDCMから突然、支援辞退の申し出があった。2年間での返済が不可能であること、原材料の確保が困難であること、貸与条件が不履行になる懸念等が理由として示された。また、UNACナンプーラ州支部(UPC-N)からUDCMに対し、プロサバンナと関係を持たないよう指示があったため、まずは同支部と協議してほしいとの要請があった。
(イ)
同チームは2月21日にUPC-Nを訪問。その際、州内で行う活動についてはUPC-Nに許可要請、報告をするよう依頼を受けた。ナンプーラ州の全ての農民がUPC-Nに加盟しているとの説明があったため、加盟組織リストの提供を依頼したが、拒否された。同日以降、接触しておらず、強要または脅迫の事実はないと理解。

(3)以上の回答を受けて、NGOからの追加の質問と要請があった。

製粉機に関して、3、4月のFAXで、誰にどう確認し誰の認識にどう対応するか具体的な方策の回答、「9月に最終合意」やその他の点の根拠文書の提示を要請した。
意見聴取会だから法的根拠は不要とのことだが、そうであれば公聴会と呼ばないことだ。色々な立場の声を聴き、事業に反映させるプロセスは、法的根拠の有無に関わらず必要。今後MPを策定する上で、根拠を持つ公聴会ではなかったとの印象を持った。
表敬訪問時、公聴会後のマレマ郡での人権侵害(【資料10】)の調査が約束されたが、再度回答を要請。人権侵害の可能性のある側に確認しても、絶対にこれを認めない。訪問時、農民から日本政府の対応が問われたが、これへの回答は今日もない。
農民の国会議員訪問後に説明に来たJICAが、問題はナンプーラ州だけとの説明がされた。事実ではないことを伝えたところ、この議員からは農民の認識を出発点として議論を進めるべきで、お互い現状認識の資料を作成した上での協議の提案をもらった。これを要請する。
全国公聴会で、パシェコ大臣が会場からの問題提起を押し切り、「参加を希望しない者は退出せよ」と発言したそうだが、この事実を確認しているか知りたい(【資料4】)。

(4)以上を受けて、JICAは次のように回答した。

(人権侵害の有無)JICAのコンサルタントと政府関係者に確認した。JICAのコンサルタントは「中立な立場」である必要があり、同コンサルタントが同行して事情を聞いている。同行したJICAコンサルタントはポルトガル語が出来ないため、発言しようとしても脅迫は不可能。一つ一つ確認していくと信憑性があると考え、お伝えしている。
(製粉機)9月の合意段階での書面はない。書面での合意を進めるため、2月に訪問しようとしていたが、結局会っていただけなかった。
農民・市民社会の意見を聞くのが目的である以上、公聴会と呼んでも問題ないと考える。対応が不十分なところがあったかもしれないが、モザンビーク政府としては、一生懸命やったと考える。一部、不規則発言があったかもしれず、その点の正当化はしないが、全ての公聴会で行われたわけではないと考える。
公聴会にJICAは参加しなかったが、現地からの報告等を通じて内容を把握している。

(5)以下の外務省による質問とNGOによる応答があった。

外務省:
公聴会の法的根拠の欠落とは、ルールに沿っていないため法的に無効ということか。公聴会と称して行ったが、原則に沿わないから欠落という指摘か。
NGO:
「公聴会7原則」(【資料5】に明記)と現実が違い、参加者の権利が担保されなかった。

(6)NGOから以下の追加指摘と質問・要請がなされた。

農民自身がJICA関係者の同席する場で脅迫を受けたと述べていることはどうなるのか。製粉機貸与の「合意に至った」というが、4月にUDCMに聞いたところ「俺ら子どもかよ」と、自分たちの声がきちんと受け止められていないことへの落胆が大きかった。
公聴会の冒頭に参加者が名前と所属を述べる際、与党FRELIMO党の青年部(OJM)から来たと表明した人が、名簿にOJMと記載しなかった点は確認済みで、名簿の信憑性は疑問。また、政府関係者が3割というが、これが日本の公聴会ならかなり異常な事態で、一般の人びとの意向・意見を汲み取ったといえるか怪しい。
公聴会の無効化・やり直しに、UNACのみならず国際団体を含む81の団体が賛同している。この声明では(【資料5】)、公聴会について7点、MPの内容について3点の問題指摘があり、最後に3点の要求が出されている。これらの要求への回答を要請する。
本日のJICAの説明では、7点中の数点についてのみ事実認識と違うとされただけだった。では、3点の要求には応じないということか。人権侵害について、認識の違いがあるものの政府として何らかの提案を行うのかも不明である。
対話にはキャッチボールが不可欠で、一部だけに反論するという形ではなく、指摘を受けてこの先どう変更していくのかという返答を彼らは求めているし、私たちも期待している。

(7)以上を受けてJICAから次の回答があった。

公聴会のプロセスについて、我々の中でも認識のギャップがあり、まだ十分に確認できていない。今後ギャップを埋めるための取り組みを考えなければいけない。
プロセスや説明不足の問題、内容の問題など様々あるが、公聴会ででた意見は貴重で、5百を超える。これらを基に現地政府はより丁寧に対話する考えであり、JICAとしてもサポートしていく。
先月、UNACの本部へ行き、今後どのような対話が望むのか、どのような形で進めるべきかを相談した。UNACのような団体の意見を聞きながら、より望ましい形・プロセスで、意見を聴取できるようにしていく。モザンビーク政府とUNACや市民社会との橋渡しをすることをやる時期にある。
(具体的な方策や時期は?)検討中で今の段階では決まっていない。モザンビーク政府がどのように農民と向き合うのかは重要な問題。JICAは、モザンビークの行政に携わる人、農業開発に携わる人が自立的に将来を考え、それに向き合っていくことを支援する立場。「環境社会配慮ガイドライン」にも先方政府のオーナーシップを尊重すると書いてあり、その精神が重要と考えている。
政府関係者が3割という数字自体が問題との指摘があったが、事業の計画側の関係者ではなく、農民に近い立場の普及員、村長・首長など開発の影響を受ける人たちが含まれている。

(8)以上のJICAの回答に対し、NGOとJICAとの間で以下のやり取りがなされた。

NGO:
(一連の問題を)モザンビーク側の問題だと割り切ることはできない。日本がお金を出してMPを策定している以上、日本政府として義務がある。再度住民の意見を聞くべきであり、「いつか分からない」ではなく、いつ頃やるというスケジュールを作って進めていただきたい。
JICA:
モザンビーク側に任せて、我々は関係ないと述べているのではなく、援助機関としての責任は承知している。スケジュール、進め方、農民に対する責任は、JICAと共にモザンビーク政府にある。JICAが優位に立って進めていくのではないとの主旨。いつまでも対話を進められないのは決して望ましい形ではない。JICA・日本政府が対話を促す、UNACを訪問する等、調整・つなぐ役割を担っていく必要があると考えており、責任を放棄することはない。

(9)以上を受けて外務省から以下の意見があった。

地元の農業の発展に貢献したい。モザンビーク政府にも対話を働きかけてきた。やっと公聴会開催に至った。(市民社会は)約1年間、話し合いの土台に応じてくれなかった。
一番の懸念は土地収奪と考え、モザンビーク政府に働きかけ、3カ国で土地収奪はしない、制度が整うまで土地に関係する農業投資はしないと声明も出している。これを説明したい。
公聴会に批判があるかもしれないが、多くは好意的な意見であった。大多数は農業発展をしたいと述べ、100%の人々に無理でも大多数に応える形で日本は支援していきたい。
「説明」と聞こえるものが別のところで「脅迫」と聞こえることがある。モザンビーク政府は説明をしたいと考えており、聞く耳を持つことも必要だと思う。

(10)NGO側・司会から次の指摘がなされた。

大学でもハラスメントの取り扱いで非常に似た問題が生じる。人権侵害を受けていると主張する人の立場に立つことが一番重要で、そこに立脚しないと何も始まらない。政府の同席の下で聴取しても無理で、第三者で国際的な人が入らなければ、身に危害が加えられる恐れが高い。MPに異議を唱えることに対し、生命の危険すら感じるような人権侵害の状況が現地にあることについて認識が不可欠で、その認識なしには大きな間違いを犯すことになる。
公聴会のプロセスにおいて様々な不備があった点についてはJICAも認めている。改善しよりよい対話のあり方を模索する意思があり、やり方について検討中という理解で良いか。

2 マスタープラン・ドラフトゼロの中身に関する議論

(1)NGO側から【資料11】を使って、以下の前提が共有された。

【資料12】は、市民社会関係者、研究者7人よる暫定メモで、議論は入口的なものである。
MP日本語訳にはポルトガル語版と意味が異なる、誤訳の問題ではない部分が散見される。
MPの根拠データ・資料の開示は、コンセプトノートと同様、今回もほとんどない状態のため、評価・分析が非常に難しい。根拠となるデータ・資料の開示を要請。
キーターム(例:小農、家族農業)の定義づけが行われていない。解釈のあり方によってはMPの内容が大きく変化するため、定義明記を要請。

(2)NGO側の専門家(アフリカ農村社会学)から、【資料12を使って】以下の分析結果が紹介された。

第11回ではグーグルで英語訳したものを分析したため限界があった。但し、日本語訳も不明な点が多く、グーグル訳と突き合せても理解不可能だった部分がある。正確な理解と分析ができるよう、改めて日本のコンサルタント作成の素案である英語版全文の共有を要請。
「ドラフトゼロ」との名称から「成長するMP」となるのか確認したい。多少の微修正で最終化され、幕が引かれることを懸念する。
家族小農の多様な要求の声をきちんと聞き入れ、真の意味でインクルーシブなものにしてほしい。公聴会に多額の予算が使われたが、農民・家族小農の理解を得るための努力にお金を使うべきだった。大量のポルトガル語文ではなく、農民が理解できる形・言語でまとめ、ポイントを示したものを配布するべき。また、参考資料の提示が決定的に不足している。
「MPの位置づけ」では、私たちが主張してきた家族小農農業が前面に出てきており、評価しなければならない。しかし、「家族農業の主流化、小農重視」といっているが、これらの基本的な認識枠組みに問題がある。「家族小農の農業=移動耕作=低生産性=遅れた農業」だから「近代化・転換が不可欠」との考えが貫かれている。「家族小農が主体」といいながら、主体でなく、指導を受けて巻き込まれるだけの存在になっているのが最大の問題。
移動耕作と休閑を伴う農業はかなり違うが、「粗放農業」と一方的に捉えている。変化、リスク分散などの取り組みが把握されず、これらの努力が一切このMPには反映されていない。結論として、MPは小農の客体化をしており、書き直しが不可欠。
サブシステンスの農業が、仮訳で「粗放的農業」になっており、「多様な要素を組み合わせて生存のためリスク分散する」という意味が反映されていない。本来の意味を活かさなければ、家族小農の発展には結びつかない。女性農民の役割について記述は増えているが、例えば灌漑野菜生産等は女性に対する過重労働を引き起こしかねない。
家族小農の主体化の方策として「契約農業とバリューチェーンへの統合」でほぼ自動的に幸せになると前提されているが、事例は示されない。契約農業が上手くいっていない報告は沢山ある。契約農業の明文化や遵守に関するモニタリング等の仕組みを含め、強力な介入がないと契約農業は上手くいかない。MPでは具体的な方策の中身がない。
ゾーニング部分に「アグロエコロジー」が採用されているが、定義もなく何の理解に基づくのか疑問。本来のアグロエコロジーの考えにきちんと基づき、再検討する必要がある。
プロサバンナ開発イニシアティブファンド(DIF)の記述がほぼ消えているが、意図が不明。
土地法とDUATに関して、現時点で1997年土地法に基づく権利はすでに認められているのに、それが書かれていないのは何故か。すでに権利があるのにDUATの登録がないため、「未利用」として、投資家のための利用地を作る狙いがあるのではとの懸念が捨てきれない。
土地収奪に関する方針策定が確定するまで新しい投資は行わないとの点は評価したいが、プロサバンナやナカラ回廊開発計画を当て込んで進出するアグリビジネスや地元ビジネスによる土地集積は既に存在。これを農民らは、プロサバンナ事業と関係づけて認識するが、全く責任がないと突っぱねることはできないはず。権利擁護の本気度が非常に重要。
普通の農民が自らの営農を改善する際に、どのような内発的な論理から自立を考え、変化を生み出すのか等の農村や農民の歴史を分かっていないと「対象」で終わり、援助が与える一つのシステムに一方的に巻き込むことになる。MPでは、リーダーシップ発揮者は政府や企業的な組織となっている。家族農業・小農の為と言いながら「やらせる論理」となっている。

(3)以上を受けて、JICAから以下の応答がなされた。

日本語訳が不十分な点は見直したい。現在、モザンビーク政府が認めている訳は日本語版のみであるが、日本語版もJICAの責任で作成し、「一時的な資料」として認めてもらっているのみである。英語版の必要性については同感だが、今までの議論を踏まえると対応が難しい。
出された意見や指摘に感謝。このように、内容に特化した議論・説明の機会を持ちたい。そうすれば、より深く良い内容にしていけると考える。

3 農業発展に関するやり取り

(1)以下のやり取りが、NGOと外務省の間でなされた。

NGO:
外務省から「農業発展をしたい」とあったが、当然農民自身が農業を発展させたいと考えている。しかし、本当に彼らの農業に目を向け、十分理解・尊敬しているか疑問。
外務省:
勿論、尊敬している。御指摘の点はマスタープランの説明の中に入っていると思う。客観的な事実として、モザンビークは世界一貧しく、北部はさらに貧しい。9割以上は農民で、やはり子供を学校へ送り、病人が病院に通うためにもお金は必要。そうした場合にどうしても現在をベースに少しでもお金が入る形の生産が必要で、「今のままでいい」とはならない。

(2)これを受けて、NGOとJICAの間で以下の議論がなされた。

NGO:
彼らは今のままでいいとは言っておらず、問題は「発展」の中身。来日時にも、伝統農業を基盤にそれを発展させていきたい、日本で小規模農民が土地を有効に使い、工夫をしているところから学びたいと述べていた。農民は、非常に理論的、論理的に考えることができる。その彼らの意見を聞くことがベースとなった計画にすべきと繰り返し要請してきた。
JICA:
MPでの農民が客体化されているとの指摘があったが、必ずしもそうだとは思っていない。農民にどういう形の開発を求めているか素直に知りたいと思い、来日時に何度か尋ねたが答えていただけなかった。どういうものを望んでいるのか是非教えてほしい。NGO側の意見も、皆が同じ事を考えているとは思えず、是非その点も聞きたい。
NGO:
農民が答えなかったのは、決して考えを持っていないからではなく、彼らの声が反映されると思える対話の場がこれまでないからと言っていた。そのことをきちんと考えてほしい。
JICA:
現地でそのような場が設けられるべきだと考える。

4 人権擁護についてのやり取り

(1)司会・NGOから以下の問題提起があった。

司会:UNACの3名が来日し、プロサバンナに反対の声を上げたことは現地政府にも伝わっているはず。3人の身の安全を守る方策を強く要請する。
人権NGO:JICAの人権に関する方針や実際の取組みに関する調査を実施した。結果、人権問題に関する議論はこの事業だけで生じているわけではなく、JICA全体としてそのような雰囲気・文化があるといえる。原因の一つには、政府と比べ、現地コミュニティ・住民・NGO・地元メディア・専門家との意見交換の時間が極端に短く、これらの意見を重視する意識が薄いことがある。
現地の発展のための事業であり、新しい大綱でも基本的人権の促進に積極的に貢献と謳われているが、現地住民には人権を脅かすものと見られる事態が生じている。この解決には、人権の優先順位を高くし、相手国での人権上の懸念をもっと理解すること。
この事業の場合、住民が安全に意見を言えるような場を作り、反対意見を出した人の身の安全を守るなどの対策をしてもらいたい。この事業だけでなく、JICA全体として、住民との協議を含む人権の配慮をより積極的に行っていってほしい。

(2)外務省から以下の回答があった。

人権侵害はあってはならず、反対の意見も聞き、それを取り入れて修正していくスタンス。仮に人権侵害が本当ならば、決して許さない。
モザンビーク政府に、土地収奪は絶対にせず、対話をしてくださいと言ってきた。公開書簡についても、きちんと答えるようにした。

(3)司会・NGOから以下の要請がなされた。

モザンビークの3人は、命がけに近い心づもりで来日し、安全に対する不安が残るまま帰国した。(人権侵害は)起きないだろうではなく、日本政府への具体的な予防措置を要請する。

5 意見交換会の意義についての議論と今後

(1)外務省から以下の問題提起があった。

この意見交換会の(MPに関する)議論の効果は何か疑問。我々が理解しても仕方がないと言われる方に対していろいろ御説明しても現場ではどうなるのか。現地の農民にどんな効果があるのか疑問。
モザンビーク政府とUNACの喧嘩をここに持って来て、日本で同じようにやってもしょうがない。そうであるならば、やっても無駄だと思うし、忙しい時間を割いてNGOの方の意見を聞く意味もないと思う。NGOの方の意見を聞くのは重要であるし、実際そうしているし、小農重視のお話を踏まえて、そういうふうに反映した。お互いの立場を一緒に合わせていくというお互いに歩み寄っていく気持ちがないと英語がないから駄目だとか細かい話をどんどん突っ込めば時間がかかる。
学術的な話をしている訳でなくて、ここで歩み寄った結果を、モザンビーク政府と地元農民の間の橋渡しにするために意見交換会をやっているが、そのような気持ちがこの意見交換には欠けている。

(2)NGOからの応答

意味が無いというのはおかしい。日本国民の税金で行われる事業であり、意見は聞くべき。
事業がどうあるべきかについては現地の農民が考えることが不可欠。外部者の役割は、事業に潜む問題点や危険に関し警戒心と疑いをもって問題提起していくこと。実際、それを実践。
協議結果は現地の農民組織やNGOと共有し、農民・小農の要望を聞き、現地調査結果を踏まえて発言している。その観点から良いMPだと納得できればそう伝えるが、「だからやりなさい」と誘導できるわけではない。
「歩み寄りの精神がない」とされるが、プロサバンナは当初全く情報が公開されず不透明だと批判されていた。少しずつでも情報が共有されることでより良い計画にすることを目的にやっており、成果が出来てきていると思う。具体的に提案したら「学術的」というのではなく、NGO側も時間を割いて取り組んでいることを評価すべき。

(3)MPに関する勉強会の開催について、以下のやり取りがなされた。

JICAから別途MPの内容に関する勉強会の開催が提案され、NGO側は前提条件の要請として、根拠となるデータ・資料の開示を要請した。
司会からの提案で、勉強会の開催ありきではなく、まずはその手法・モダリティについて、調整したい旨が述べられた。

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