ODA(政府開発援助)

ODAを活用した地方自治体の海外展開支援

令和元年7月17日

 途上国においては,急速な経済発展が進む中で,都市化の進展と共に,水,エネルギー,廃棄物処理,都市交通,公害対策分野等の都市問題に対応するニーズが急増しています。また,大都市のみならず,地方都市においても様々な問題が増えています。このような中で,水,エネルギー,廃棄物処理,防災等の分野で知見を蓄積している日本の地方自治体が,途上国のニーズにきめ細かに対応することは,途上国の開発にとって大変有益です。地方自治体が国際協力に参画することは,国際協力の「担い手」の拡大やグローバル人材の育成にもつながります。また,地元企業等の海外展開を後押しすることで地域経済の活性化にも貢献することとなります。外務省・JICAは,以下の事業を通じて地方自治体の海外展開を支援しています。

1 地方自治体と連携した無償資金協力

 日本の地方自治体と連携して無償資金協力を行う。具体的には,地方自治体からの無償資金協力事業の提案をJICAが随時受け付け,地方自治体は無償資金協力案件の協力準備調査や本体事業にアドバイザー等として参加。

【事業例】カンボジア「コンポンチャム及びバッタンバン上水道拡張計画」

(1)案件の概要
  • 北九州市は,1999年からカンボジア上水分野で協力事業に貢献し,同国からの信頼を培ってきている。本事業は,同国における優れた省エネ型上水道(適切な配水区の設定と送配水網の整備,モニタリングシステムの設置等)のモデル事業として上水道の施設及び必要機材の整備・供与を行うもの。
(2)成果
  • 本事業により,一日当たりの平均給水量及び給水人口が増加するほか,安全な水へのアクセス率向上及び住民の生活環境向上に寄与。
  • インフラ・システム輸出の拡大及び日本への地域経済の活性等にも寄与。

2 公募型事業における地方自治体の経験・ノウハウを活かした提案の推奨 

 JICAの公募型事業(中小企業・SDGsビジネス支援事業別ウィンドウで開く草の根技術協力別ウィンドウで開くなど)を活用して,環境・エネルギー,水,ICT等の分野に知見を有する,我が国地方自治体の経験・ノウハウを活かした提案を推奨。

【事業例】インド・ベンガルール市都市廃棄物処理技術等普及促進事業

(1)案件の概要
  • ベンガルール市政府関係者を対象に,横浜市が受託企業であるJFEと共に,循環型社会システムの廃棄物収集分別ノウハウとJFEの持つ廃棄物処理技術(ストーカ炉)に係る現地でのセミナーや横浜市での受入れ活動を実施し,今後の焼却炉事業化に向けて理解促進を図るもの。
(2)成果
  • 市民・事業者・行政が協働する横浜市のノウハウと提案企業の技術がシステムとしてベンガルール市に認知され,導入が検討される。

3 地方自治体と連携した草の根技術協力(地域活性化特別枠)

 草の根技術協力(国際協力の意思を持つ日本のNGO,大学,地方自治体及び公益法人等の団体による,開発途上国の地域住民を対象とした国際協力活動を,JICAがODAの一環として支援し,共同で実施する事業)に,地域活性化特別枠を設け,JICAが地方自治体の提案による主体的な活動の提案を審査し,ODAによる実施が妥当であると認める提案について,その事業を共同で実施。

【事業例】サモア・水道事業運営(宮古島モデル)支援協力

(1)案件の概要
  • 沖縄県宮古島市が,草の根技術協力事業を通じて,サモアにおける漏水対策や「生物浄化法(緩速ろ過方式)」を用いた浄水場管理などの水道事業運営を支援。
(2)成果
  • 3年間で宮古島上下水道部の職員を始めとした専門家チームを計5回派遣し,サモアでの自立的な水道事業運営体制確立のための技術指導(沖縄県宮古島市が培ってきた,何層にも重ねた砂利と砂に緩やかな速度で水を通過させ,砂の表面や中の微小な生物が不純物を分解するノウハウ・システム(宮古島モデル))を実施し,病原菌のいない安全でおいしい水が島民に提供できるようになった。“島”の知見を活かし,途上国の開発に貢献。

4 地方自治体連携草の根無償

 外務省では,草の根・人間の安全保障無償資金協力を活用して,日本の地方自治体が途上国で活動するNGO(ローカルNGO及び国際NGO)や現地の地方公共団体等と協力して,途上国の経済社会開発に日本の地方自治体が有する技術及びノウハウを活用することを推進しています(草の根無償の詳細及び申請書については「草の根・人間の安全保障無償資金協力」参照)。

【事業例】ミャンマー「ヤンゴン地域マヤンゴン地区無収水低減計画」

(1)案件の概要
  • ヤンゴン地域マヤンゴン地区において,漏水する上水道配水管の修繕を行い無収水率を減らすため,必要な資機材の整備とあわせ,東京都の監理団体である東京都水道サービス株式会社と民間企業が設立した合同会社による漏水調査,水道管の取替及び修繕等を実施。併せて,ヤンゴン市開発委員会・水衛生局に対し,派遣された日本人技術者による直接指導により漏水箇所の発見や対策についての技術移転を行うもの。
(2)成果
  • 無収水率が低減し,ヤンゴン地域マヤンゴン地区において,安定した水供給が可能となり,当該地区住民の生活環境が改善された。2015年,NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にも取り上げられた。

5 自治体連携強化セミナー

 先進的な取組を行っている地方自治体の海外展開に関する知見を他の地方自治体と共有することを目的として,平成26年11月に,第一回地方自治体による海外展開推進のための自治体連携強化セミナーを実施。平成30年度は自治体間連携セミナーを4件開催。令和元年度も同様のセミナーを開催予定。