ODA(政府開発援助)
事業・運営権対応型無償資金協力
平成27年12月3日
1 事業の目的
開発途上国では,官民連携型の公共事業が推進され,民間企業が中長期的に亘り,事業の運営を担うことで企業が有する技術・ノウハウを活用することが期待されている。事業・運営権対応型無償資金協力は,民間企業が関与して施設建設から運営・維持管理までを包括的に実施する公共事業に無償資金協力を行うことを通じ,日本企業の事業権・運営権の獲得を促進し,我が国の優れた技術・ノウハウを途上国の開発に役立てることを目的とする。
2 事業の仕組み
(1)概要
開発途上国が実施するインフラ事業のうち,商業資金のみではファイナンスが困難な場合に,当該事業に必要な施設・機材・その他サービスに必要な資金を供与する。資金は途上国政府を通じ,事業を担う特別目的会社等に支払われる。
(2)調査段階(調査~事業実施前)
- (1)相手国からの要請に先立ち,民間企業が相手国政府に事業を提案。相手国政府は,右を審査の上,我が国に要請。
- (2)調査において,民間企業のアイデアを取り入れながら事業のコンセプトを確認。民間企業の提案の成熟度に応じ,民間企業の提案を補強する調査と事業性の審査の両方を行う場合と事業性の審査のみを行う場合がある。事業性の審査においては,市場サウンディング等により,競争性・公正性を確保する。
- (3)日本側から途上国政府に対し,調査結果を提出する。その際,途上国政府と我が国政府の間で,調査結果(事業コンセプト,入札図書案等)に合意するための文書(MOU等)を取り交わし,先方政府の関与を確保する。
- (4)交換公文(E/N(注))は,通常どおりの手続に基づいて締結する。E/Nにおける主契約者は日本企業が代表となる特別目的会社(SPC)を想定。免税は我が国無償資金によって提供される生産物・サービスに関連するものとし,詳細は相手国と協議して決定する。
- (5)日本政府から相手国政府に無償資金が供与される。
- (注)調達代理機関実施の場合は,調査の前にE/Nを締結する。
(3)事業実施段階
- (1)途上国政府が両国で合意された事業コンセプトどおりに事業を発注する。基本的に一般競争入札によるものとし,競争性・公正性を確保する。
- (2)SPCが施設建設から運営・維持管理まで中長期にわたり事業の担い手となる。
- (3)我が国無償資金は,本事業に関する生産物・サービスの調達の費用として,相手国政府/地方自治体からSPCに送金される。