ODA(政府開発援助)

平成29年1月31日

原稿執筆:在メキシコ日本国大使館

メキシコと日本は“アミーゴス”

 タコスやテキーラ。ティオティワカン遺跡。カンクンの青空,白砂。メキシコは日本と同様に,多様で豊かな文化,自然を有しています。
 またメキシコは,着実に経済成長を続けています。日本との交流も400年を超える歴史があり,政治・経済・開発協力など様々な分野において,両国間の結びつきは近年一層深まっています。

日本の医療技術をメキシコへ

  TRI法について日本の医師から講義を受けるメキシコ人医師

 こうした中,2014年から2016年にかけて,我が国開発協力の一環として「経橈(けいとう)骨(こつ)動脈カテーテル法による虚血性心疾患治療普及促進事業」(ちょっと難しい名前ですが!)が行われました。
 メキシコでは,狭心症,心筋梗塞などの虚血性心疾患による死亡者は年間約6万人に上り,死因の第2位を占めています。こうした社会問題ともいえる状況下において,患者の身体的・経済的負担を軽減し,社会医療費の削減に資する治療法の導入が強く求められていました。そこで注目されたのが,日本で普及していた経橈骨動脈カテーテル法(手首の血管からカテーテルを挿入して,血流を改善する技術。TRI法と呼ばれています。)です。日本にはTRI法に精通した医師が多いことから,テルモ株式会社の協力を得て,メキシコ,ブラジル,アルゼンチン及びコロンビアの国立病院の医師に対して日本で同技術の研修を行いました。
 その結果,メキシコにおけるTRI法の普及率は,5%(2009年)から現在20%以上に増加しており,日本の医療技術がメキシコの医療水準の向上に大きく貢献しています。

  TRI法の模型実習を行うメキシコ人医師

命のカテーテルは友好の動脈へ

  TRI法普及プロジェクトのセンター開所式。登壇者は山田大使。

 こうした成果を受けて,2014年の安倍総理訪墨時には日墨保健当局間の協力枠組みが定まり,2016年度より新たに技術協力プロジェクト「TRI法に焦点をあてた低侵襲医療技術の普及プロジェクト」が始まりました。これは,メキシコ国立循環器専門病院を拠点として,日本でTRI法を学んだメキシコ人医師が主体となって,TRI法をより一層普及させるためのプロジェクトです。この先進的な二国間医療協力関係は,日本の開発協力のたまものであり,今後メキシコのみならず,中南米全体にTRI法が広まることが期待されています。
 命を救う日本のカテーテルが,太平洋を渡り,メキシコやその他の中南米諸国を繋ぐ友好の動脈になっています。

  メキシコ人医師によるTRI法の説明。聞き手はナロ保健大臣。
  メキシコが新プロジェクトを記念して作成した日墨友好プレート
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