5 西部アフリカ地域
(1)ガーナ
2017年の発足以来、アクフォ=アド政権は、「援助を越えたガーナ(Ghana beyond Aid)」構想を掲げ、外国企業の投資誘致に取り組んでおり、日系企業も多く進出している。
日本とガーナは友好的な二国間関係を有しており、2019年も活発な要人往来が行われた。6月、アクラで第2回日・ガーナ官民インフラ会議が開催され、大塚高司国土交通副大臣が参加した。また、8月のTICAD7には、アクフォ=アド大統領が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。10月の即位礼正殿の儀には、レベッカ・アクフォ=アド大統領夫人が参列し、首席随行員のチャールズ・オウィレドゥ外務・地域統合副大臣は、鈴木外務副大臣と会談を行った。
(2)ギニア
ギニアは、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS13)などの枠組みで地域協力の推進に取り組み、隣接国からの難民を受け入れるなど、西アフリカ地域の安定勢力としての役割を果たしている。一方、10月以降、コンデ大統領の3選を可能とする憲法改正に反対する護憲国民戦線(FNDC)が、デモをギニア全土で地域を問わず、無期限に行うと宣言した。その後も定期的にデモが行われており、デモ参加者と治安部隊の衝突事件も発生した。
8月のTICAD7には、コンデ大統領が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。
(3)ギニアビサウ
3月に国民議会選挙が平和裡(り)に実施され、日本は国連開発計画(UNDP14)と連携し、約100万米ドルの支援を行った。8月のTICAD7には、ゴメス首相が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。その後、ヴァス大統領は独立以降初めて平和裡に任期を全うし、11月に大統領選挙第1回投票、12月に第2回投票が実施された。同大統領選挙に際し、日本はUNDPと連携し、約75万米ドルの支援を行った。
(4)コートジボワール
コートジボワールは、近年、年平均約8%の経済成長率を維持しており、域内物流の拠点として西アフリカ経済を牽引(けんいん)している。
日本は、コートジボワールの独立以降、同国と良好な関係を維持している。8月のTICAD7には、クリバリ首相が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。10月の即位礼正殿の儀参列のためウワタラ大統領が訪日し、安倍総理大臣と首脳会談を行った。
経済面では、同国に対する日本企業による関心は依然として高い。2020年1月13日には、アビジャンにおいて、日・コートジボワール投資協定の署名が行われた。
(5)セネガル
良好な二国間関係を背景に、2019年も活発な要人往来が行われた。1月には第3回アフリカ新興国国際会議に出席するため山田外務大臣政務官が、4月にはサル大統領の就任(再選)式典に出席するため北村誠吾総理特使(衆議院議員)が、また、11月には第6回アフリカの平和と安全に関するダカール国際フォーラム出席のため中谷外務大臣政務官が、各々セネガルを訪問した。
セネガルからは、6月のG20大阪サミットにサル大統領が出席したほか、G20の一連の関連閣僚会合に担当大臣が参加した。また、8月のTICAD7には、サル大統領が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。さらに、11月のG20愛知・名古屋外務大臣会合にはバ外相が出席し、茂木外務大臣との懇談を行った。

(6)トーゴ
2018年12月の国民議会選挙を経て、2019年1月に第2次コミ・クラス内閣が発足した。現在3期目のニャシンベ大統領は、経済成長を通じた貧困削減を目指して投資環境改善にも取り組んでおり、11月にはJICA及びJETROによる日本企業ミッションがトーゴを訪問した。
8月のTICAD7には、ニャシンベ大統領が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を実施した。また、10月の即位礼正殿の儀にも、ニャシンベ大統領が参列した。なお、ニャシンベ大統領は平成時の即位礼正殿の儀にも大統領代理(当時)として参列しており、2回連続での参列となった。
(7)ナイジェリア
アフリカ最大の人口と経済規模を擁するナイジェリアは経済的に高い潜在性を有し、多くの日本企業が進出に関心を有する一方、北東部を中心に「ボコ・ハラム」や「イスラム国(IS)西アフリカ州」(ISWAP15)によるテロが問題となっている。
2月の大統領選挙の結果、現職のブハリ大統領が再選を果たした。ブハリ大統領はナイジェリアを「次なる段階」に導くことをスローガンとし、経済、治安、汚職対策を優先的に取り組む三つの柱として位置付けている。
日・ナイジェリア関係は良好であり、1年を通じて大変活発な要人往来が行われた。6月に開催された民主化記念日式典には武井俊輔総理特使(衆議院議員)が参加し、ブハリ大統領を表敬した。
8月のTICAD7には、ブハリ大統領が出席し、安倍総理大臣と会談を行った。また、11月には大島理森(ただもり)衆議院議長の招待でグバジャビアミラ下院議長が訪日し、安倍総理大臣を表敬した。
(8)ニジェール
ニジェールは、サヘル諸国の一員であるが、近年、大サハラのイスラム国(ISGS16)やISWAPなどによるテロの脅威に直面している。
8月のTICAD7及び10月の即位礼正殿の儀に出席・参列するため、それぞれイスフ大統領が訪日し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。
(9)ブルキナファソ
ブルキナファソでは2015年11月の大統領選挙でカボレ現大統領が選出されて以来、政治情勢は比較的安定している。一方、近年はテロ事案が相次ぎ、2019年1月には東部、北部及び南西部に非常事態宣言が発出され、現在も継続している。
8月のTICAD7には、カボレ大統領が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。また、10月の即位礼正殿の儀にはバリー外務・協力相が参列し、茂木外務大臣と外相会談を行った。
(10)ベナン
ベナンは、2016年3月の大統領選挙で実業家出身のタロン現大統領が選出され、政府の戦略方針である「政府行動計画(PAG)」の下、持続可能な経済・社会的成長を目指している。
8月のTICAD7に出席するため、タロン大統領が訪日し、安倍総理大臣との首脳会談を行い、二国間関係や国際場裡での協力について議論した。
(11)マリ
マリでは2015年に政府と北部武装勢力間で和平・和解合意が署名された。現在、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA17)、フランス軍、G5サヘル合同部隊(ブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア及びニジェールが参加)の一部が同国に展開し、テロの脅威に対処するなどの取組を行っているが、テロ事案が相次ぎ発生している。
このような状況にあるマリに対し、日本は治安維持機材供与、国家警察能力強化、国連機関との連携によるPKO訓練センター支援などを実施している。
8月のTICAD7には、ケイタ大統領が出席し、安倍総理大臣と首脳会談を行った。
(12)モーリタニア
モーリタニアは水産資源に恵まれており、日本は1977年に水産分野の協力を開始し、水産業は同国の主要産業の一つに発展した。特に、同国のタコ輸出の約4割は日本向けとなっている。
2月には、佐藤外務副大臣がモーリニアを訪問し、アジズ大統領を表敬するとともに、日本の支援で建設された小学校などを視察した。

(2月27日、モーリタニア)
また、8月のTICAD7には、シディヤ首相が出席し、安倍総理大臣との首脳会談を行った。また、11月の第6回アフリカの平和と安全に関するダカール国際フォーラムでは中谷外務大臣政務官がガズワニ大統領を表敬した。
13 ECOWAS:Economic Community of West African States
14 UNDP:United Nations Development Programme
15 ISWAP:Islamic State West Africa Province
16 ISGS:The Islamic State in the Greater Sahara
17 MINUSMA:United Nations Multidimensional Integrated Stabilization Mission in Mali