ODA(政府開発援助)

令和7年3月13日

評価年月日:令和6年10月16日
評価責任者:国別開発協力第三課長 東 邦彦

1 案件名

1-1 供与国名

 リベリア共和国(以下、「リベリア」という。)

1-2 案件名

 ジャパン・フリーウェイ延伸計画

1-3 目的・事業内容

 本計画は、ジャパン・フリーウェイ西端とガブリエル・タッカー橋北端までの区間において、既存4車線(片側2車線)を改修することにより、対象区間の円滑かつ安全な道路交通の確保を図り、もってモンロビア首都圏を含むリベリア国内及び隣国との広域な人流・物流の活性化を通じた同国のインフラ整備支援に寄与するもの。
 供与限度額は、27.25億円。

1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点

 本計画は、JICA環境社会配慮ガイドライン(2010年4月制定)に掲げる道路セクターのうち、大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大でないと判断され、かつ、同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性に該当しないため、カテゴリBに該当する。

2 無償資金協力の必要性

2-1 必要性

  • (1)リベリア(一人当たり国民総所得(GNI)730ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類されている。
  • (2)リベリアは西アフリカに位置し、日本との貿易額は西アフリカ諸国のなかでも高い水準にある。また、鉄鉱石、天然ゴム、ダイヤモンドなどの産出国であるとともに、西アフリカの半分近くの森林が同国に集中しており、同国を継続的に支援することは、将来的な我が国の資源外交にも資するものである。同国からは、これまでの道路支援事業に引き続きインフラ協力への期待が表明されてきており、本計画はそれに資するものである。
  • (3)リベリアでは、長年の内戦の結果、首都圏の主要幹線道路の損壊・老朽化が深刻であり、同国の道路舗装率は約6.4%(2019年、公共事業省)に留まっている。加えて、首都モンロビアは年率約3.4%で人口増加(2024年、世界銀行)しており、北部・東部の住宅街が広がりを見せているものの、官庁やオフィス街、商業施設や病院・大学等の公共施設は、メシュラド湿地を挟んだ南部に集中しているため、3つのルートしかない南北縦断道路に交通が集中している。恒常化する交通渋滞や劣悪な道路整備状況は国内輸送費の増大並びに貿易競争力の阻害要因となっており、病院等公共サービスへのアクセスの観点からも道路整備は喫緊の課題となっている。かかる状況を踏まえ、同国政府は「国家開発5か年計画(2018-2023)」において、260キロメートルの都市道路整備を優先課題とし、各ドナー等との連携により整備に取り組んでいる。
  • (4)我が国は、これまでにジャパン・フリーウェイの拡幅や既存舗装の改修など、郊外から市内中心部付近の整備に協力している。他方、同道路の周辺地域では、都市・住宅開発が著しく進行し、交通量が増加傾向にある。この点、本計画は、ジャパン・フリーウェイの西端の交差点、国際港のフリーポートが隣接しているエリアからガブリエル・タッカー橋までの最も渋滞している区間(2.0キロメートル)を改修するとともに、フリーポート交差点から北に約150メートルの未舗装区間の歩道新設と車道舗装を改修することで、ジャパン・フリーウェイ及びフリーポートとモンロビア中心部の間の人流・物流の改善を図り、もって市内中心部から本事業対象区間及びフリーポート、ジャパン・フリーウェイ及び世界銀行により整備が進んでいる道路を経由し、リベリア第2及び第3の都市であるバルンガやカカタ、さらにはギニア国境までの広域な人流・物流の円滑化に資するものである。なお、対象区間が海岸部に近い低地にあること、また、年間平均降雨量約5,200ミリメートル(1991-2020年の平均)の降雨が約6か月間の雨期に集中することから、当該時期は道路の冠水が頻繁に発生し、交通渋滞の悪化と路面の更なる劣化を引き起こしている。そのため、本計画では、道路の長寿命化を目的に、道路の嵩上及び排水施設を付帯した道路改修を想定している。
  • (5)我が国は、対リベリア国別開発協力方針(2019年4月)において、「インフラ整備支援」を重点分野の1つとして定めており、本計画は同方針に合致するとともに、SDGsゴール9(強靭なインフラの構築)にも貢献するものである。また、我が国は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を踏まえた質の高いインフラ投資の推進を支持するとともに、2022年8月に開催した第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)において、「連結性・質の高いインフラ投資」に取り組むことを表明しており、本計画はこうした我が国の重要政策を具体化するものである。

2-2 効率性

 舗装に関して、無筋コンクリートとアスファルトを両方使用するコンポジット舗装を採用し、品質を確保した上で、普通コンクリート、連続鉄筋コンクリート、アスファルトのみの舗装構成よりも総額が安価となるよう努めるなど、コスト縮減を図った。

2-3 有効性

 本計画の実施により、2022年の実績値を基準値として、事業完成3年後の2030年の目標値と比較すると、以下のような成果が期待される。

  • (1)定量的効果
    1. 対象区間の平均走行速度が、17.4キロメートル毎時から40.5キロメートル毎時に増加する。
    2. 対象区間の交通量が、72,651台/日から108,966台/日に増加する。
    3. 道路冠水日数が、66日/年から9日/年に減少する。
  • (2)定性的効果
    1. 排水施設整備により衛生環境が改善し、道路冠水継続時間が減少する。
    2. 3メートルの幅広歩道の整備により、歩行者の車道利用を避けることが可能となり、歩行者の安全性が向上する。また、信号機及び横断歩道の設置により、歩行者の乱横断を避けることが可能となり、歩行者及び車両の安全性が向上する。
    3. 公共事業省による道路維持管理体制が確立する。

3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等

  • (1)リベリア政府からの要請書
  • (2)JICAの調査報告書(JICAを通じて入手可能)
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