ODA(政府開発援助)

令和2年1月14日

評価年月日:令和元年12月26日
評価責任者 国別開発協力第一課長 渡邊 滋

1 案件概要

(1)供与国名

 インドネシア共和国(以下「インドネシア」という。)

(2)案件名

 中部スラウェシインフラ復興セクター・ローン

(3)目的・事業内容

 インドネシア中部スラウェシ州の地震・津波により被害を受けたインフラ・公共施設の再建及び災害に強い強靱な地域づくりに必要なインフラの新設を行い,もって安全で公正な社会の実現に資するもの。

  • ア 主要事業内容
    • (ア)道路・橋梁の再建・補修・新設,海岸堤防の新設等
    • (イ)灌漑施設の再建・改修,河川改修,排水路整備,地下水対策のためのボーリング,土砂対策等
    • (ウ)公共施設の再建等
    • (エ)コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    279.70億円 0.01%(固定) 40(10)年 アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

環境影響評価(EIA):サブ・プロジェクトが環境への影響を持つことが想定されるが,サブ・プロジェクトにカテゴリA案件は含まれないため,本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)(以下「JICAガイドライン」という。)上,セクター特性,事業特性及び地域特性に鑑みて,環境への望ましくない影響が重大でないと判断され,カテゴリBに該当する。
 なお,本計画に係る環境影響評価報告書等は,インドネシア国内法令上,各サブ・プロジェクトの規模や特性に沿って必要に応じて作成され,中部スラウェシ州環境管理局から承認を得る必要がある。
本計画の各サブ・プロジェクトの実施により用地取得及び住民移転の発生が想定されるが,インドネシア国内法令及びJICAガイドラインに沿った住民移転政策ポリシーに従って用地取得・住民移転計画が策定され実施される予定。
外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

  • ア 開発ニーズ
    • (ア)2018年9月28日,中部スラウェシ州の州都パル市の北80kmを震源とするM7.5の地震が発生した。同震災では,主に液状化に起因すると推測される内陸部での地滑り及び沿岸部の津波の影響により,同年11月20日時点で死者2,101名,重傷者4,438名,行方不明者1,373名,住宅破壊約7万戸という,甚大な被害が生じた。
    • (イ)インドネシア政府は我が国からの技術的な助言も活用しつつ復興基本計画を策定し,公共事業・国民住宅省等の関係省庁や地方自治体等が同計画に基づき,具体的な復興アクションプランを策定の上,各種事業を実施している。
    • (ウ)同国では,中部スラウェシ州地震・津波のほか,ロンボク島地震(2018年8月),スンダ海峡津波(2018年12月)等自然災害が相次いでおり,復旧・復興予算を国内予算だけで対応することができないため,同国政府は,災害復旧・復興の知見を有するドナー国,国際機関の知見及び資金を活用することを要望している。
  • イ 我が国の基本政策との関係
     我が国の対インドネシア国別開発協力方針(2017年9月)の重点分野の一つである「均衡ある発展を通じた安全で公正な社会の実現に向けた支援」では,安全で公正な社会に向けた防災対策支援を掲げている。
     また,2018年11月15日に実施された日インドネシア首脳会談において,安倍総理大臣は地震からの復旧・復興や強靱化に協力する旨述べており,災害で被害を受けたインフラをより災害に強い形で復旧する本計画は,同国の開発ニーズ及び我が国の支援方針に合致するとともに,本計画の実施は良好な二国間関係の維持・強化に資することから,外交上の意義も大きい。
     さらに,本計画は,早期の被災地域の経済・社会の復旧・復興に資するものであることから,SDGsゴール9(強靱なインフラ)及びゴール11(包摂的,安全,強靱で持続可能な都市と人間居住の構築)にも貢献すると考えられる。
  • (2)効率性

     過去の自然災害に対する復旧支援事業から,事業実施に当たっては,(1)先方関係機関で構成する進捗管理委員会の立ち上げと定期的な開催,(2)復旧・復興需要に伴う物価の高騰,(3)新たな災害リスクを踏まえた復興支援等に配慮する必要があるとの教訓が得られている。これを踏まえ,本計画では,(1)円滑な事業実施のための実施・モニタリング体制の構築,(2)資材・人件費の高騰を考慮した予備費の確保及びサブ・プロジェクトの決定,(3)「より良い復興(Build Back Better)」のコンセプトに基づき,今後の災害リスクを考慮した上での復興支援を検討する。

    (3)有効性

     本計画の実施によって,事業完了2年後の2023年には,省庁間調整の下で実施された復旧・復興事業数が増加し,被災地域の経済活動が回復するとともに,防災能力の向上による強靱で持続的な経済・社会の発展に寄与することが期待される。なお,定量的効果を把握するための各指標に係る基準値及び目標値については,サブ・プロジェクトが確定した際に設定する予定。

    3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

     要請書,JICAガイドライン,インドネシア国別評価(2018年度,第三者評価),その他JICAより提出された資料。
     本計画に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要借款契約締結後公表されるJICAのプレスリリース別ウィンドウで開く事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
     なお,本計画に関する事後評価は実施機関であるJICAが行う予定。

ODA(政府開発援助)
ODAとは?
広報・イベント
国別・地域別の取組
SDGs・分野別の取組
ODAの政策を知りたい
ODA関連資料
皆様の御意見
政策評価法に基づく事前・事後評価へ戻る