ODA(政府開発援助)

平成28年12月26日

評価年月日:平成28年11月22日
評価責任者:国別開発協力第一課長 原 圭一

1 案件概要

(1)供与国名

ミャンマー連邦共和国

(2)案件名

バゴー橋建設計画

(3)目的・事業内容

 ティラワ経済特別区(SEZ)の開発に伴う交通量の増大が予想されるヤンゴン市と同SEZを含むタンリン地区間を隔てるバゴー川に橋梁を整備することにより,同区間の円滑な交通・物流網の整備・増強を図り,もってティラワSEZへの直接投資の増加及び当国全体の経済発展に寄与するもの。

  • ア 主要事業内容
    • 土木工事
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(据置)期間 調達条件
    310.51億円 年0.01% 40(10)年 一般アンタイド

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

環境影響評価:本計画は「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」に掲げる道路・橋梁セクターのうち,大規模なものに該当せず,環境への望ましくない影響は重大でないと判断され,かつ,同ガイドラインに掲げる影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域に該当しない。また,本計画にかかる環境影響評価(EIA)報告書はミャンマー国内法上,作成が義務付けられていない。
用地取得及び住民移転:10.55ヘクタールの用地取得及び物理的な住民移転37世帯(152人)を含む217人の被影響住民が発生するが,JICAガイドラインに基づき作成された住民移転計画に沿って適切な補償及び用地取得が進められる予定。
外部要因リスク:特段なし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 ミャンマーでは,近年の経済発展や自動車輸入規制の緩和等による車両台数の急増に伴い,都市部を中心に交通渋滞が頻発する等,道路インフラの不足が顕在化している。日・ミャンマーの官民連携の枠組みで開発が進められている,ティラワ経済特別区を含むタンリン地区とヤンゴン市を隔てるバゴー川には,タンリン橋とダゴン橋の二橋が架かっているが,タンリン橋は老朽化に伴う荷重制限により大型トラックの通行が規制されている。また,ダゴン橋はアクセスの不便さから利用率が低く,今後タンリン橋への交通需要の集中は続くと予想されており,今後さらに混雑度は高まると予想されている。2015年9月のティラワSEZ初期開発事業区域の開業に伴い,交通需要の拡大が見込まれる中,交通インフラの未整備は,ティラワSEZへの円滑な交通を妨げ,投資促進のボトルネックとなることが予想される。かかる状況下,ヤンゴン市とタンリン地区間での橋梁建設が不可欠となっている。
我が国の基本政策との関係
 2012年4月に見直した我が国の対ミャンマー経済協力方針においては,「持続的経済成長のために必要なインフラや制度の整備等の支援」を重点分野の一つとしている。本計画は,ティラワSEZへの一層の投資呼び込みのため,交通の要衝であるバゴー川を渡河する橋梁の整備により,貿易の活性化及び海外直接投資の促進を通じてミャンマーの持続的経済成長に寄与するものであり,同方針に合致している。

(2)効率性

 ミャンマー側に特殊橋梁の維持管理経験が少ないことから,本計画では,有償勘定技術支援を通じて,点検・診断等の維持管理に必要なマニュアルを作成し,維持管理能力の向上を支援する予定。

(3)有効性

 本計画の実施により,事業完成2年後の2023年の年平均日交通量は,ヤンゴン市からタンリン地区方面が30,594PCU(乗用車換算台数)/日(2016年実績比+12,387PCU/日),タンリン地区からヤンゴン市方面が30,603PCU/日(同+12,021PCU/日),平均走行速度は18.8キロメートル(同+14.1キロメートル)となる見込みで,円滑な交通・物流網の整備・増強を通じた貿易の活性化や海外直接投資の促進が期待される。また,ミャンマーの経済発展及び国民生活の向上を通じた我が国との二国間関係の強化が期待される。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,「メコン地域のODA案件に関わる日本の取組の評価(第三者評価)」報告書(PDF)別ウィンドウで開く,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く」(2010年4月公布),その他国際協力機構より提出された資料。 案件に関する情報は,交換公文締結後公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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