ODA(政府開発援助)

平成28年10月11日

評価年月日:平成28年10月7日
評価責任者:国別開発協力第二課長 田中 秀治

1 案件概要

(1)供与国名

スリランカ

(2)案件名

「アヌラダプラ県北部上水道整備計画(フェーズ2)」

(3)目的・事業内容

 スリランカ北中部州のアヌラダプラ県北部において,上水道施設を整備するもの。これにより,安全な水の供給及び上水道の普及向上を図り,もって対象地域の公衆衛生の向上及び生活環境の改善を通じた経済成長の促進に寄与するものである。

  • ア 主要事業内容
    • 取水場,浄水場,配水池,高架水槽,電気機械設備整備,送水管整備,配水管(本管)整備
    • 配水管(支管)整備,維持管理機械等
    • コンサルティング・サービス
  • イ 供与条件
    供与限度額 金利 償還(うち据置)期間 調達条件
    231.37億円 1.40% 25(7)年 一般アンタイド

    (注)金利は,一般条件(固定・基準)を適用。コンサルティング・サービス部分は金利0.01%を適用。

(4)環境社会配慮,外部要因リスクなど留意すべき点

EIA(環境影響評価)
 本計画は,「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)に掲げるカテゴリBに該当する。本計画に係るEIA報告書は,スリランカ国内法上作成が義務づけられていない。
用地取得及び住民移転
 本計画では,非自発的住民移転及び用地取得は発生しない。
外部要因リスク:特になし。

2 資金協力案件の評価

(1)必要性

開発ニーズ
 スリランカでは,安全な水へのアクセス率は85.2%に達しているが,上水道普及率は45.0%と低い水準に留まっており,国家上下水道公社の「経営計画」(2016~2020年)では,2020年までに全国で上水道普及率60%を実現する方針が盛り込まれている。北中部州アヌラダプラ県北部においては,上水道が未整備なため住民は水源を主に井戸水に依存しており,本計画対象地域では上水道普及率が26.9%とアヌラダプラ県全域(47.1%)と比較して低い値となっている。
 また,飲料水源である地下水中のフッ素濃度が多くの箇所で水質基準値を超えており,飲料水中の高濃度フッ素が原因で,歯牙フッ素症の重症度を表すコミュニティフッ素症指数が1.41と他地域よりも高く,公衆衛生上問題のある水準である0.6を上回っている。また,北中部州で高い発症率(全人口の5%)を示している慢性腎臓病(CKD)も,飲料水源として地下水を利用していることが原因の一つであるとの見方が現地では強い。
 シリセーナ大統領は,公約としてCKD対策を掲げており,本事業対象地域を含めてCKDが蔓延している地域において,CKD対策に重点的な予算措置を行っている。
 以上から,同地域の水道普及率を向上させること及び水源を地下水源から表流水源へと切り替えることは同国において喫緊の課題である。本計画は,アヌラダプラ県北部の上水道整備を行うことで,安全な水の安定供給に資するだけではなく,住民の健康への被害を未然に防止することを図るものであり,同国政府の開発計画に基づく優先度の高い事業として位置付けられている。
 このため,本計画を実施することは,スリランカ北中部州アヌラダプラ県北部において,上水道施設を整備することにより,安全な水の供給及び上水道の普及向上を図り,もって対象地域の公衆衛生の向上及び生活環境の改善を通じた経済成長の促進に寄与するものであり,スリランカの開発政策との高い整合性を有しており,本計画のニーズは大きい。
我が国の基本政策との関係
 我が国の「対スリランカ国別援助方針」(2012年)では,援助重点分野として(ア)「経済成長の促進」,(イ)「後発開発地域の開発支援」,(ウ)「脆弱性の軽減」を掲げている。本計画は,上水道システムの整備という観点から,(ア)に合致するものである。

(2)効率性

 本計画においては,国家上下水道公社が運営・維持管理を行う予定となっている。同公社は,円借款等で建設された上水道施設を適切に運営しており,十分な実績・経験を有している。また,維持管理費はスリランカ政府予算及び料金収入により賄われる予定であり,本計画は技術面・財務面ともに問題なく運営される予定である。
 加えて,過去の類似案件の教訓から,本計画においては,従来井戸水を利用しており,水道料金を支払う経験がない住民にも給水を行うため,水道料金の支払いに対する理解推進に向けて,実施機関から住民に対する広報・啓発活動等を実施する予定である。

(3)有効性

 本計画の実施により,スリランカ北中部州アヌラダプラ県北部において,上水道施設を整備することにより,安全な水の供給及び上水道の普及向上を図り,もって対象地域の公衆衛生の向上及び生活環境の改善を通じた経済成長の促進に寄与することが期待される。運用・効果指標(いずれも事業完成2年後(2023年)見込み)として,給水人口(99,073/人:2012年実績値は26,589/人),表流水を水源とする給水普及率(70%:2012年実績値は0%),飲用水のフッ素濃度(最大値)(1.0ミリグラム/リットル未満:2012年実績値は1.9ミリグラム/リットル),施設利用率(85%:2012年実績値は0%)等を設定している。

3 事前評価に用いた資料,有識者等の知見の活用

 要請書,スリランカ国別評価報告書国際協力機構環境社会配慮ガイドライン別ウィンドウで開く,その他国際協力機構から提出された資料。
 案件に関する情報は,交換公文締結後に公表される外務省の約束状況に関する資料及び案件概要,借款契約締結後公表される国際協力機構のプレスリリース別ウィンドウで開く及び事業事前評価表別ウィンドウで開くを参照。
 なお,本案件に関する事後評価は実施機関である国際協力機構が行う予定。

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