ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン第472号
外交関係樹立150周年を迎えたペルーにおける開発協力
在ペルー日本国大使館 小金澤 達 二等書記官
ペルーは、南米に位置しており遠く離れた国だと思われる方もいるかもしれませんが、1899年に日本人が南米大陸で初めて移住した国として、ブラジル、アメリカに次いで世界で3番目に多い約20万人の日系人を有しています。また、ペルーは1873年に中南米で初めて日本と外交関係を樹立した国でもあり、今年、外交関係樹立150周年を迎えるなど、日本と長い歴史に基づく友好関係にあります。一方でペルーは、累計ベースで中南米における日本のODAの最大の被供与国でもあります。今回はそんなペルーにおける開発協力をご紹介したいと思います。
95台の救急車をペルー保健省に供与


外交関係樹立150周年を記念する今年1月26日に、ボルアルテ大統領出席のもと、ペルー保健省への救急車95台のうち最終ロットの65台の供与式を行いました。このプログラムは、無償資金協力「経済社会開発計画」の枠組で、新型コロナウイルス感染症により影響を受けた国々に対して公衆衛生及び医療システムの強化のために医療機器を提供するものです。
ペルーは当時、新型コロナウイルス感染症による人口あたりの死者数が世界で最も多く、医療機関における感染者対応能力の確保が喫緊の課題となっていました。供与された救急車はペルーの全国各地に配備され、医療体制の強化に寄与しています。
エクアドルとの国境にかかる新マカラ国際橋の完工


新マカラ国際橋の建設は、ペルー・エクアドル両国の国境紛争が終結し1998年に和平合意が結ばれたことを受け、両国が策定した国境地域の協力と開発を目的とした10カ年計画の中に位置づけられる無償資金協力によるプロジェクトです。ペルーとエクアドルの両国の社会・経済交流の促進、そして国境地域住民の生活向上を目的に、建設後40年以上が経過し老朽していた既存のマカラ橋の下流に新たな橋の建設を支援しました。
今年6月14日には、この新マカラ国際橋のエクアドル側に新たに二国間国境管理センター(CEBAF)が建設されたことにあわせて、ペルーのボルアルテ大統領とエクアドルのラッソ大統領(当時)出席のもと、新マカラ国際橋の完工式が行われました。
外交関係150周年の本年、開発協力を含む様々な行事を通じて日本とペルーの友好協力関係はより強固なものとなりました。来年ペルーは、真の独立を勝ち得たアヤクチョの戦いから200周年であることに加え、APEC議長国となるほか、日本人のペルー移住125周年を迎えます。また、日系ペルー人の日本移住35周年の年でもあります。加えてその翌年にはペルーが参加を表明している大阪・関西万博が日本で開催予定です。これらの機会を通じて、両国の更なる関係強化に向けて取り組んで参ります。