ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン第465号
世界と日本を豊かにするODA(日本への裨益の事例1)

外務省国際協力局政策課
世界はつながっています。資源が少なく食料や原材料を海外からの輸入に頼っている日本にとって、開発途上国を含む国際社会での信頼を高め、協力しあう関係を築くことが重要です。そのための重要なツールとなっているのがODAです。ODAは国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に一層貢献するのと同時に、日本の国益の確保を図ることを目的としています。そうしたODAが日本にも裨益している事例を3回に分けてご紹介します。今回は、「海洋を通じた結びつき」をとりあげます。
海洋を通じた結びつき

引用:日本の海運Shipping Now 2022-2023(公財 日本海事広報会 発行)参考:(PDF)

海洋国家の日本は多くの資源や食料を輸入に頼っていますが、日本の輸出入の内、99.5%を海上輸送が担っています(航空運送0.5%)。例えば、マラッカ・シンガポール海峡は年間1万6,800隻の日本関連船舶やタンカーが航行する物流の要所です。海の安全を守ることは、豊かな国民生活の基本である日本の「衣食住」の安定化に直結しています。
海上法執行能力の向上


海賊や密漁船への対処に対応するODAはシーレーン確保の努力につながっています。日本はODAを活用し、アジアやアフリカ地域のシーレーン沿岸国に対してこれまで約100隻の巡視船・救助船、複数の湾岸監視レーダーの供与、海上保安庁による能力向上支援(海図作成や海賊取締り・海難救助訓練など)を行い、海の監視活動向上に貢献のほか、海賊等の発生件数の減少に貢献しています。
チリのサーモン(技術協力)
日本は、1970年代から約20年間、チリに対してサーモン養殖(放流、飼育、餌料など)の振興にかかる技術協力を実施ました。その結果、かつてはサーモンが一匹も居なかった同国のサーモン養殖産業の発展や雇用促進にも貢献しました。現在、チリは世界第2位のサーモン輸出大国であり、日本も年間サーモン輸入額(令和4年度)2,783億円の57.8%をチリから輸入しており、第1位を占めています。
アフリカのモーリタニア・モロッコ産のタコ
日本は長年モーリタニア、モロッコ両国に対し水産分野全般を網羅した協力(漁業訓練船・機材の供与や技術訓練、沿岸・零細漁業の振興や水揚場整備、水産資源研究など)を行ってきました。その結果、漁業を同国の主要産業に引き上げただけではなく、日本が輸入するタコの約4割をモーリタニアから、2~3割をモロッコから輸入しています。