ODA(政府開発援助)

2023(令和5年)年3月24日発行
令和5年3月24日

JICA草の根技術協力事業から始まった海外連携の取組

(写真1)集合写真 タイでの展示会に共同出展
【写真提供:帯広商工会議所】

帯広商工会議所

 帯広市は、北海道東部に位置する十勝地方の中心で、人口16万人の中核都市です。同市では、基幹産業である食産業を切り口に、地域ブランド推進や産業振興を目指す「フードバレーとかち」(注)を展開しています。その取組の一環として、帯広商工会議所では、2014年からJICA草の根技術協力事業を活用のもと、タイ・マレーシアを対象に、十勝地域の中小企業が有する技術やノウハウを用いた食品の高付加価値化や地域ブランド推進に取り組み、相互交流と相互理解の深化を通じた両国の中小企業によるコラボレーションビジネスの創出など、地域産業の活性化を目指しています。

(注)十勝の強みである安全・安心な農林水産物に付加価値をつけ、十勝のブランド力を活かし、国内外へ販路を拡大していくための経済活動。十勝地方の産学官金による連携のもと、フードバレーとかち推進協議会を構成し、JICA北海道センター(帯広)も参画。

マレーシアでの大福の製造・販売に挑戦

(写真2)お皿にのった大福とお箸 共同開発のハラル大福
【写真提供:帯広商工会議所】

 本事業への参画をきっかけに、マレーシアの企業とのコラボレーションを実現した中小企業の事例を紹介します。和菓子を製造・販売する株式会社とかち製菓は、創業時から人口減少時代を見据えて海外展開を強く意識していたこともあり、本事業を活用のもとマレーシア進出に取り組むことになりました。イスラム教徒が人口の6割以上を占めるマレーシア向けに、豚肉やアルコールなどの禁止されている成分が一切含まれていないこと等を保証するハラル認証を取得した大福を輸出するとともに、現地生産・現地販売のパートナ—企業となるケダ州の菓子メーカーとの提携を実現しています。

タイでの屋台プロジェクトの実施

(写真3)屋台の様子 チェンマイでの屋台プロジェクト
【写真提供:帯広商工会議所】

 タイでは、両国における産業・文化の共通点に着目した地域連携事業を展開しています。十勝最大の食のイベント「とかちマルシェ」でのタイ・チェンマイ県によるブースの出展、帯広の「北の屋台」を屋台文化が根付くタイで再現する「屋台プロジェクト」の実施など、多数の連携事業に取り組んでいます。「屋台プロジェクト」では、帯広のローカルフードである豚丼をはじめ、牛丼、寿司、ラーメン、乳製品を使用したスイーツなどのメニューをタイの食材を用いて調理しています。屋台プロジェクトを出店したチェンマイ最大級のイベントLanna EXPOには、10日間で40万人以上の来場者数が訪れるなど、盛況を博しました。また、さらなる経済交流の発展に向けて、当所創立100周年を機に、タイ工業連盟・チェンマイ支所との連携協定を締結しました。

地域中小企業の海外ビジネスのさらなる促進に向けて

(写真4)笑顔の女性と男性 タイ・マレーシアからの海外人材
【写真提供:帯広商工会議所】

 これまで展開してきた事業を深化・拡大していくため、2022年4月、タイ人とマレーシア人の2名を新たに当所職員として採用しました。この2名の海外人材には、コロナの先を見据えた新たなビジネス展開として、海外とのコラボレーションビジネスや販路開拓、輸出入の拡大、インバウンドの誘客などで活躍してもらいたいと考えています。

(ロゴ画像)フードバレーとかち フードバレーとかちのロゴマーク。
“おいしい十勝を食べる” がコンセプト。
【画像提供:フードバレーとかち推進協議会】
(写真5)十勝平野の様子 広大な十勝平野
【写真提供:帯広商工会議所】

 当所では、現地との双方向のコミュニケーションによる関係構築を土台に、両国間のビジネスチャンス創出に取り組んできました。中小企業が海外展開を実現していくうえで、現地との信頼関係を築くことが重要となります。とりわけ、経済成長著しいASEAN諸国との関係強化の必要性は大きく高まっています。本年、日ASEAN友好協力50周年を迎えることを契機として、日・ASEAN間における相互理解の促進、ひいては新たなビジネスの共創につながることを期待しています。

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