ODA(政府開発援助)
ODAメールマガジン第378号
ODAメールマガジン第378号では,以下2話をお送りいたします。(肩書きは全て当時のものです)
- 第1話:ミクロネシア連邦より【シリーズ「日本と世界の懸け橋 日系社会とODA」第5弾】
「ミクロネシアにおける日本の開発協力の取組」 - 第2話:国際協力局政策課広報班より
「外務省写真展「わたしたちのAction」の展示作品を募集中!」
ミクロネシアにおける日本の開発協力の取組
原稿執筆:在ミクロネシア日本国大使館 織田 耕二 二等書記官
ミクロネシア連邦は,西からヤップ州,チューク州,ポンペイ州,コスラエ州の4州から構成される太平洋の島国で,その人口は約10万人,国土面積は約700平方キロメートル(奄美大島とほぼ同じ大きさ)です。一方,国土を形成する607の島々は東西約3,000キロメートル(日本列島とほぼ同じ長さ)という非常に広大な海域に点在しています。
日本との国交樹立は1988年で,本年(2018年)はちょうど30周年を迎える記念すべき年になります。しかし,それよりも昔,1914年から1945年の30年間にわたり,ミクロネシアが日本の委任統治領であったという歴史的な背景を踏まえると,日本と同国には特別な関係があると言えます。
ミクロネシアでは当時,日本語教育が行われていたことからベントウ,ジドウシャ,ヒャクメーター(短距離走の意味)などの日本語を日常的に耳にする機会が多く,また,同国人口の約2割は日系人と言われており,非常に親日的な国です。
このように日本と特別な関係があるミクロネシアにおいて,地元住民から「昔は日本人と現地住民が共に働き,農業や建築技術などが伝わった。しかし(戦後)日本人がいなくなってから,出来ていたことも出来なくなった。昔,この地(ミクロネシア)で出来ていたことなのに」という話をよく聞きます。この話からも私は,同国が必要とする支援は現地密着型の技術指導であり,それらを通じ共に活動することが効果的な支援に繋がると感じています。
その代表例は青年海外協力隊,シニア海外ボランティアといったJICAによるボランティア活動や,海外漁業協力財団(OFCF)による活動だと思っています。現在同国では18名(2018年7月1日現在)のJICAボランティアが活動しており,その活動分野は教育や医療をはじめ多岐に渡っています。また,OFCFも当地に事務所があり,製氷機や漁船のエンジンをはじめとした水産関連資機材の維持・管理に関する巡回指導事業を行っています。
特にボランティアの皆さんは,配属先に勤務し,現地の人々と顔を合わせ,共に働き,信頼関係を築きつつ活動していますので,現地密着型支援の典型であると感じています。もちろん,日本と特別な関係を有するといっても日本とは異なる文化を持つ国ですので,決して全てが上手くいく訳ではありません。しかし,そんな厳しい状況でこそ日本人らしい粘り強さ,謙虚さによってもたらされる成果があると思います。それこそが日本の支援の強みとして打ち出して行く部分であり,日本の開発協力としてあるべき姿の一つだと思っています。「伝わりにくいこと,理解してもらいにくいことでも,粘り強く,何度でも同じことを言い続けること。諦めたら終わり」というあるボランティアの一言は,私の心に強く残っています。
- 青年海外協力隊の活動風景1(コスラエ州)
- 青年海外協力隊の活動風景2(ポンペイ州)
- OFCF専門家の活動風景(コスラエ州)
(水産関連資機材の維持・管理の巡回指導)
この他にも,日本は同国に対し無償資金協力事業として,草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下,「草の根無償」という)や経済社会開発計画などを中心に実施しています。これら事業を実施する際にもやはり,日本らしい支援とは何かということを意識しています。
草の根無償の一例ですが,当地の道路事情は良くないため,タイヤがパンクすることがよくあります。そのため,救急車やスクールバスなどの供与にあたっては,必要最低限のスペアタイヤを一緒に供与することを心がけています。また,経済社会開発計画によって,パワーショベルやトラックなどの重機を供与する場合も,故障が起きやすいパーツのスペアを一緒に供与するようにしています。これは道路事情によるものだけではなく,同国が地理的に国際市場から離れていること,輸送手段が主として海運に限られることなど,厳しい条件下におかれていることにも起因します。同国には自動車メーカーも建機メーカーも無く,その部品等を製造する工場や販売する代理店もありません。よって,部品交換等が必要な故障が発生した場合は,他国から部品を輸入しなければならず,輸入されるまでにもかなりの期間を要することから,最低限のスペア部品を供与しなければ,一旦故障してしまうと,かなりの期間,供与品を使用出来なくなってしまいます。供与したら終わりではなく,供与後もより長く使用してもらえるようなアフター・ケアを行うことも,日本らしい支援の一つです。出張のたびに供与品の使用状況や故障状況を確認する。問題があれば気軽に電話やメールをしてもらえる人間関係を形成する。これら当たり前のことも,非常に重要な取組です。
- 草の根無償資金協力で供与した
救急車の活用風景(ヤップ州) - 経済社会開発計画で供与した燃料トラック
(チューク州)
現地に根付いた日本らしい開発協力による活動を通して,戦前からの深い関係を有しているアドバンテージを生かしつつ,同国との友好関係を維持・発展させられるよう努めていきたいと思っています。
外務省写真展「わたしたちのAction」の展示作品を募集中!
原稿執筆:国際協力局政策課広報班
9月29日および30日に開かれる「グローバルフェスタJAPAN2018」において,外務省写真展「わたしたちのAction」を開催いたします。
国内外で支援する人,される人,様々な立場の人が「国際協力」のアクターとして輝いている姿やその現場,またそうした人々の眼を通した世界を伝える作品を,ご応募ください!
応募サイトより募集中ですので,皆さま奮ってご応募ください。
ご応募いただきました作品のうち50~100点を展示するとともに,その中から,最優秀賞作品および優秀賞作品を選定し,オリンパス株式会社より豪華な副賞を贈呈いたします!
また,応募サイト上で最も「いいね!」が多かった作品にも副賞を用意しております。
皆様からご応募いただいた作品は応募サイトで見ることができますので,お気に入りの作品に,ぜひ「いいね!」をご投票ください。
(注)副賞の内容は外務省写真展公式ホームページにて確認できます
グローバルフェスタJAPAN2018 外務省写真展作品募集概要
【応募受付】7月6日(金曜日)12時から8月31日(金曜日)17時まで
【いいね!投票期間】9月7日(金曜日)17時まで
【応募専用サイト】外務省写真展「わたしたちのAction」応募サイト
グローバルフェスタJAPAN2018
【日時】9月29日(土曜日),30日(日曜日)10時から17時まで
((注)写真展は期間中終日開催)
【場所】お台場シンボルプロムナード公園(東京都江東区)
【主催】グローバルフェスタJAPAN2018実行委員会
【共催】外務省,独立行政法人国際協力機構(JICA),特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)
最近の開発協力関連トピック
- (1)グローバルフェスタJAPAN2018にボランティア参加して感謝状をもらおう!
9月29日(土曜日),30日(日曜日)にお台場で行われる「グローバルフェスタJAPAN2018」では,ボランティアスタッフを募集しています。
国内最大級の国際協力イベントを,内側から見てみませんか?ボランティア終了後,外務省をはじめとする共催者名義の感謝状が発行されます! - (2)海外における開発協力広報(現地報道機関に対するプレスツアー)
在外公館では,開発協力を通じた日本の国際貢献について現地の方々に理解してもらうための広報をしています。
このたびギニアで,現地プレスを招いて開発協力の現場を視察してもらいました。