ODA(政府開発援助)

ODAメールマガジン第368号

2018年2月22日発行

平成30年3月1日

ODAメールマガジン第368号は,ベトナム社会主義共和国からシリーズ「質の高いインフラ支援」第6弾として「昇龍(タンロン)の国ベトナムの成長を支える日本の質高インフラ」を,ジャパン・プラットフォームから「ジャパン・プラットフォームによる緊急人道支援【第4弾 南スーダンの人の力を生かす】」をお届けします。なお,肩書は全て当時のものです。

  • (画像1)ベトナム社会主義共和国

昇龍(タンロン)の国ベトナムの成長を支える日本の質高インフラ

原稿執筆:在ベトナム日本国大使館 林 雄介 一等書記官

昇龍(タンロン)の国と古くから呼ばれてきたベトナムは,その名の通り,近年めざましい発展を遂げています。

1986年のドイモイ(刷新)政策導入以降,市場経済化を進めてきた結果,平均7%を超える高成長を達成し,2010年代に入り中所得国の仲間入りを果たしました。勤勉な国民性,比較的安価な労働力,世界有数の親日国であるベトナムは,多くの日本企業にとって魅力的な投資先であり,これからも,さらなる成長が見込まれます。

これまで,日本はベトナムにおけるトップドナーとして,「1.成長力強化」「2.脆弱性への対応」「3.ガバナンス強化」を中心に,ベトナムの持続的な成長を支援してきました。

特に,海外の玄関口となる港湾や空港など人やモノの動きを支える交通インフラは,ベトナムの成長にとって必要不可欠な重要なインフラです。数多くのプロジェクトの中から,今回は今日のベトナムの経済成長を支える港湾・空港インフラを中心に,いくつか紹介します。

(1)港湾では,北部のハイフォン港,南部のカイメップ・チーバイ港といった大規模港湾開発をODAで支援しています。土砂の掘削や地盤の改良といった日本が得意とする技術を駆使することにより,地盤の弱い土地が広がるベトナム沿岸部で短期間かつ大規模な開発が可能となり,経済成長に伴い急増する貨物ニーズに対応することが可能となりました。

  • (写真1)整備中のハイフォン港(ラックフェンコンテナターミナル)埋め立て
    整備中のハイフォン港
    (ラックフェンコンテナターミナル)埋め立て

(2)空港では,ハノイのノイバイ空港,ホーチミン市のタンソンニャット空港の国際線ターミナルの建設・運営をODAにより支援してきました。
タンソンニャット空港では,当初の計画以上の成果を実現するだけでなく,環境面や労働者の安全面の配慮等で総合的に優れた事業としてベトナム建設省からも表彰を受けており,当地における建設工事の質の向上にも貢献しました。
ノイバイ空港では,インフラ整備のみならず,給油,手荷物管理,商業施設開発など,空港運営に関しても日本式ノウハウの移転を行ったことで,空港サービスを大幅に改善しました。その結果,英国航空サービスリサーチ会社が発表した「世界の空港ベスト100」2016年版において,「世界で最も改善された空港ナンバー1に選出されました。

  • (写真2)ノイバイ空港第2ターミナル
    ノイバイ空港第2ターミナル
  • (写真3)タンソンニャット空港国際線ターミナルODAのプレート
    タンソンニャット空港
    国際線ターミナルODAのプレート

このように,日本のインフラ技術は,ベトナムのインフラ開発において,「量」のみではなく,「質」の面でも貢献し,ベトナムの経済成長を支えてきました。多くのベトナム国民も日本の支援を目に見える形で実感しており,日本に対するイメージ向上にも貢献しています。引き続き,質の高いインフラを通じて,最高・最良といわれる二国間関係をさらに強化していきたいと思います。

ジャパン・プラットフォームによる緊急人道支援【第4弾 南スーダンの人の力を生かす】

原稿執筆:ジャパン・プラットフォーム助成事業推進部 樋口 博昭

複数年プログラムとしての南スーダン人道支援

南スーダンでは2013年末に起きた武力衝突により,多くの国内避難民,及び周辺国へ逃れた難民が発生しました。南スーダン国内の状況は好転の兆しがなく,これに追い打ちをかけるかのように2016年7月,新たな武力衝突が発生し,国外へ逃れる難民数は増加の一途をたどっています。2017年末の時点で国内避難民・周辺国へ逃れた難民の総数は400万人以上,実に国民の3人に1人が避難生活を強いられている状況です。

  • (写真4)支援物資の配給を求めて列を作る人々【写真提供:JPF】
    支援物資の配給を求めて列を作る人々【写真提供:JPF】

このような中,ジャパン・プラットフォーム(JPF)は2016年6月から「南スーダン支援」として3年間の複数年プログラムを立ち上げました。複数年プログラムの場合,3年後にどのようなインパクトを出すかといった出口戦略を念頭に実施内容を計画し,それを基に毎年の目標値を設定して事業を実施します。一般の企業でも中・長期計画があるように,3年後を見据えた計画を立て,実施するものです。助成金を毎年安定させて事業を確実に継続できることを目指しています。

2017年度には,JPFは「南スーダン支援」にODA資金約12億円を活用。8つの加盟NGOが南スーダン国内,または周辺国であるエチオピア,ケニア,ウガンダにて教育,水・衛生,子供の保護,シェルター建設事業等を実施しました。このような事業を実施する中で念頭に置いていることは,JPF加盟NGOが裨益者(支援を受ける方々)に対して何もかも至れり尽くせりの支援をするのではなく,裨益者自身も活動に参加することです。

具体例として,難民キャンプに家庭用トイレを建設する際,JPF加盟NGOが全部の工程を行うのではなく,トイレの穴は裨益者自身で掘ります。一方でトイレ建設に関連付けて,公衆衛生の知識を広めるため,裨益者の中からボランティアを募り,セミナーを通して基礎知識を身に付けていただきます。そのように学んだ裨益者が,難民キャンプにて自ら公衆衛生活動を行い,普及活動に携わります。

このように裨益者も自ら主体的に支援に取り組んで行動を起こし,公衆衛生の基礎知識の普及や感染症の予防を目指すことで,例えば感染症が発生したとしても,蔓延することを防ぐ術を備えることができます。

これは数多くある活動の一つの例ですが,上述のような地道な活動を通じ,確実な成果が得られるよう,JPF加盟NGOは事業を実施しています。

  • (写真5)家族ごとに使用することができるトイレ【写真提供:ADRA】
    家族ごとに使用することができるトイレ
    【写真提供:ADRA】