ODA(政府開発援助)

ODAメールマガジン第366号

2018年1月24日発行

平成30年1月25日

ODAメールマガジン第366号は,国際協力局国際保健政策室から「「UHCフォーラム2017」開催報告」を,ジャパン・プラットフォームから「ジャパン・プラットフォームによる緊急人道支援 【第3弾 自然災害支援 ネパール地震への対応】」をお届けします。なお,肩書は全て当時のものです。

「UHCフォーラム2017」開催報告

原稿執筆:国際協力局国際保健政策室 吉江 翼 主査

皆さん,「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)(PDF)別ウィンドウで開く」という言葉をご存じでしょうか。

UHCとは,「世界中の全ての人が生涯を通じて必要な時に基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられること」を意味します。国際社会では,2030年までにすべての国でUHCの達成を目指すという目標を掲げ(持続可能な開発目標(SDGs)の目標3),UHCの取組を推進しています。

  • (写真1)ハイレベルオープニングセッションの様子
    ハイレベルオープニングセッション
    【写真提供:内閣広報室】
  • (写真2)ハイレベルオープニングセッションの様子
    ハイレベルオープニングセッション
    【写真提供:UHC Forum 2017】

日本には医療保険制度があり,国が医療費の一部を負担してくれるので,怪我をしたり病気になったりしたら,自己負担できる程度の費用で病院やクリニックに行くことができます。ですが,実は,そうではない国が多数あります。世界の人口の少なくとも半数が,健康を守り増進するために必要不可欠な基礎的サービスにアクセスできず,また,医療費負担の結果,年間1億人近くが極度の貧困に陥っている状況なのです。

そのような状況を改善しようと,国際社会が力を合わせて取り組むのが,UHCです。日本は,国民皆保険制度を始めとする知見を生かし,UHCをジャパンブランドと位置づけ,G7やアフリカ開発会議(TICAD),国連総会等の機会に積極的に取り上げてきました。

そうした中,UHCを更に促進すべく,2017年12月13日及び14日,東京において「UHCフォーラム2017」が外務省,財務省,厚生労働省,世界銀行,世界保健機関(WHO),国連児童基金(UNICEF),UHC2030,国際協力機構(JICA)の共催で開催され,61か国から約600人が参加しました。

このフォーラムには,安倍総理大臣を始め,大統領・保健大臣を始めとする各国の政府高官やグテーレス国連事務総長,キム世界銀行総裁,テドロスWHO事務局長,レークUNICEF事務局長等の国際機関の代表,国際保健の専門家が一堂に会し,国際的なUHC推進に向けて活発な議論が交わされ,2030年までにUHCを達成すべく取組を加速させるためのコミットメントとして「UHC東京宣言」を採択しました。

  • (写真3)ハイレベルオープニングセッションにおいてスピーチするグテーレス国連事務総長
    ハイレベルオープニングセッションにおいて
    スピーチするグテーレス国連事務総長
    【写真提供:UHC Forum 2017】
  • (写真4)フォーラムにおいて議論を行う参加者の様子
    フォーラムにおいて議論を行う参加者
    【写真提供:UHC Forum 2017】

安倍総理大臣は,「誰一人取り残さない」社会の実現というSDGsの理念を実現する上で,UHC推進の「プラットフォーム」を各国において構築・強化することを提言し,UHCの基盤となる水・衛生,栄養などの分野横断的な取組の重要性を強調した上で,各国,各機関のUHCの取組を後押しするため,日本が今後29億米ドル規模の支援を行うことを表明しました。

  • (写真5)ハイレベルオープニングセッションにおいてスピーチする安倍総理
    ハイレベルオープニングセッション
    においてスピーチする安倍総理
    【写真提供:内閣広報室】
  • (写真6)パブリックイベントにおいてスピーチする中根外務副大臣
    パブリックイベントでは
    中根外務副大臣がスピーチ

今後も,日本は各国,関係機関等と協力し,国際社会におけるUHCの取組においてリーダーシップを発揮し,UHC推進に貢献していきます。

ジャパン・プラットフォームによる緊急人道支援 【第3弾 自然災害支援 ネパール地震への対応】

原稿執筆:ジャパン・プラットフォーム 緊急対応部 館野 和之

2015年4月25日土曜日の昼下がりは曇り空でしたが初夏の陽気で,日本は統一地方選挙の真っただ中でした。そんな中でネパール地震は発生しました。

死者約8,900人,被災者およそ800万人,家屋全壊約60万戸の被害を発生させたネパール地震災害に,ジャパン・プラットフォーム(JPF)はODA資金約2億8,900万円で6団体8事業の緊急支援を実施しました。初動期には生活必需品(NFI:Non-Food Item)配布などを行いましたが,その後,復旧・復興を期して仮設家屋建設,ヘルスポスト(医療施設等)の再建,公共水道の応急修理,母子保健サービスの実施,学校仮校舎の建設など,現地コミュニティを支える事業を展開しました。

事業を実施するうえで大切にしてきたことは,現地団体との良好なパートナーシップを維持することと,できる限り住民の声を聴き,コミュニティを巻き込みながら実施することでした。
例えば,ネパール中部のゴルカ郡で公共水道を修理する事業では,山中への資材の運搬やパイプを敷設する時に,村から多くの労働力を提供してもらいました。これが村人の水道設備の復旧に対する参加意識を高め,水道管理委員会が各地域で結成されました。水道管理委員会とは,取水施設や貯水タンクの保守点検や維持管理を行う,コミュニティ内の自主組織です。

  • (写真1)住民とともに貯水タンクの保守点検を行う日本のNGOスタッフ
    住民とともに貯水タンクの保守点検を行う日本のNGOスタッフ
    【写真提供:グッドネーバーズ・ジャパン(JPF加盟NGO)】

コミュニティの水源を復旧することで,飲料水を確保するのみならず,感染症が蔓延する芽を摘み取りました。また,衛生環境を改善し,保健サービスの維持拡大に貢献することができました。さらに,学校の仮校舎を建設し,校舎倒壊による教育活動の停止を防ぐことができました。また,住民の住まいを建設し,安心と安全な場を提供することもできました。

JPFは2000年8月の創設以来,数多くの自然災害に迅速に対応してきました。しかし自然災害の発生は人の力では防ぐことはできません。起こり得る自然災害に対してどのように対応するか,具体的な計画を策定・実施することについてもJPFは真摯に取り組んでいます。

  • (写真2)住民とともに復旧した水道設備
    現地の住民とともに復旧した水道設備
    【写真提供:グッドネーバーズ・ジャパン(JPF加盟NGO)】

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