ODA(政府開発援助)

2016年10月27日発行
平成28年10月28日

ODAメールマガジン第335号は,新シリーズ「周年記念と開発協力」第1弾としてパラグアイ共和国から「パラグアイの発展を支える日系人と経済協力」,国際協力局緊急・人道支援課から「安倍総理大臣の「難民及び移民に関する国連サミット」及び「オバマ米国大統領主催難民サミット」出席」と国際協力局政策課から「平成28年度開発協力特集番組「私が変わればミライが変わる『海を渡ったニッポンのお宝を探せ!』」」をお届けします。

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パラグアイの発展を支える日系人と経済協力

原稿執筆:在パラグアイ日本国大使館 岡本 真実 二等書記官

今から80年前の1936年5月,パラグアイ政府から許可されたアスンシオン東南約130キロに位置する原生林の地に,日本人の試験的な移住が開始されました。日本人移民は勤勉さで知られ,このパラグアイ最初の移住地は,「ラ・コルメナ(「蜜蜂の巣箱」の意)」と名付けられました。その後,チャベス移住地,ラ・パス移住地,アマンバイ移住地,ピラポ移住地,イグアス移住地へと多くの家族が移住し,現在では,パラグアイ全体で約1万人の日系人が住んでいると推定されています。

  • 移住当時の集合写真
  • 開拓当時の入植者

今年,ラ・コルメナに日本人が移住してから80年が経ち,各移住地はもとより,首都アスンシオンでも,日本人移住80周年記念イベントが数多く開催されています。9月9日に開催された「日本人移住80周年記念式典」には,眞子内親王殿下が御臨席されました。式典でのご挨拶は,日系社会とパラグアイ社会双方に向けた敬愛と感謝に満ちた温かいメッセージで,会場全体に強い印象と感動を残されました。眞子内親王殿下のパラグアイ御訪問は,日本でもニュースで数多く取り上げられています。これらの放送を見て,パラグアイを初めて知った方も多いのではないでしょうか。

この記念式典において,カルテス大統領は「現在,日系人が住んでいる移住地は,融合,勤勉,家族の絆,規律の模範となり,繁栄しパラグアイの発展をリードしている。日系人の活躍やパラグアイに対する日本の協力に対して感謝している。パラグアイはこれまでも,そしてこれからも世界中で最も親日的で,日本にとって友好的な国の一つであると確信していただきたい。」と挨拶されました。

挨拶のなかで言及された日系人の活躍は多岐にわたりますが,中でも特筆すべきはパラグアイの基幹産業である農業分野での活動です。

現在,パラグアイは世界第4位の大豆輸出国であり,牛肉,小麦,米及びゴマなどの農産品を大量に輸出する農業国としての地位を確立しています。しかし,パラグアイに初めて大豆を持ち込み,大豆の生産技術として不耕起栽培をパラグアイで初めて成功させ,パラグアイ全土に広く普及させたのは日系人です。この活躍無くして,現在のパラグアイの農業の発展は語れません。

  • ピラポ農協の大型サイロ
  • トマトなどの野菜の食文化を
    普及させたのも日系人

日系人の活躍とともに,パラグアイ政府や国民から高く評価されているのが,日本の経済協力です。日本の経済協力は1954年の技術協力に始まり,1976年から2008年(2004年を除く)まで最大の援助国として,医療・職業訓練・農業技術開発など様々な分野で質の高い経済協力を行ってきました。また,パラグアイは,南米では青年海外協力隊を初めて受け入れた国であり,累計のボランティア派遣人数は1,646名(2016年9月末時点)と,世界でも最大規模となっています。草の根レベルで活動する多くのボランティアの存在が,パラグアイの未来を支えています。

  • 草の根無償で建設した
    小学校の供与式でのダンス
  • JICAボランティアのレスリング指導風景

近年,日本企業のパラグアイ進出が相次いでいますが,良好なビジネス環境のみならず,前述の日系人の活躍,長きにわたる経済協力で蓄積してきた日本人に対する信頼感が企業の進出を後押ししています。カルテス政権発足前は7社であった進出日本企業が,16社(2016年10月現在)まで増加し,これからも増えていくことが予想されます。これら進出日本企業が頼りにしているのが,日本語とスペイン語を巧みに操る日系2世,3世の若者の存在です。未開の大地の開拓者である祖父母や父母の血を受け継ぐ,若者達は,日本企業とともに,パラグアイや近隣諸国の市場を開拓し,パラグアイの未来を切り開いています。

  • アスンシオン日本人会の成人式に出席した若者

安倍総理大臣の「難民及び移民に関する国連サミット」及び「オバマ米国大統領主催難民サミット」出席

原稿執筆:国際協力局緊急・人道支援課

現在,難民をはじめとする避難を余儀なくされた人々が第二次世界大戦後最大となっています。
特に,昨年の夏以降,多くの難民や移民が中東やアフリカから欧州に流入し,難民問題は国際社会が真剣に対応しなければならない喫緊の課題の一つとなっています。

  • 出典:国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

このように,難民や移民による人の移動が国際社会に大きな影響を与えていることを受け,今年9月の国連総会に際し,難民・移民をテーマとした二つのサミットが開催され,日本からは,安倍総理大臣が出席し,日本の難民問題への取組みを発信しました。

まず,9月19日に潘基文国連事務総長の呼びかけで開催された「難民及び移民に関する国連サミット」は,難民と移民に焦点が当てられた世界初のサミットとなり,多くの国連加盟国や機関が参加しました。日本からは安倍総理大臣が出席し,日本は難民への緊急的な人道支援に加えて難民及び受入れコミュニティへの開発支援を並行して実施する「人道支援と開発支援の連携」のアプローチにより難民支援を行ってきていることを紹介し,2016年から3年間で総額28億ドル規模の難民・移民への人道支援,自立支援および受入れ国・コミュニティ支援を行うことを発表しました。

  • 難民及び移民に関する国連サミットで
    スピーチする安倍総理(©UN Photo/Laura Jarriel)

翌20日には,オバマ米国大統領の呼びかけにより,「難民サミット」が開催され,日本を含む約50か国・機関の代表が出席しました。会議では,オバマ大統領が,世界的な難民危機への対応を強化するため,人道支援資金の増額,難民受入れ数の増加及び難民の自立支援を参加国に呼びかけました。
サミットに出席した安倍総理大臣は,G7伊勢志摩サミットでG7の首脳が難民問題について議論したことに触れつつ,日本は,「人間の安全保障」の実現のため,難民等への総額28億ドル規模の支援,新たに立ち上げられた世界銀行のグローバル危機対応プラットフォームへの総額1億ドル規模の協力,紛争の影響を受けた約100万人に対する教育支援・職業訓練等の人材育成,そして「シリア難民及びホストコミュニティ支援チーム」として青年海外協力隊員が,シリア難民の子ども達の支援を行うことを表明しました。

国際機関を通じた支援については,これまで以上に我が国のビジビリティの強化が求められています。また難民の期間が平均17年間にも達するなど人道危機は長期化しており,難民を受け入れるホスト国の開発支援も併せて行っていく必要があります。これらの点に留意しつつ,今後とも効率的・効果的な支援の実施に努めていきたいと思います。

  • オバマ米大統領主催難民サミットの様子
    (写真提供:内閣広報室)
  • オバマ米大統領主催難民サミットで
    スピーチする安倍総理
    (写真提供:内閣広報室)

平成28年度開発協力特集番組「私が変わればミライが変わる『海を渡ったニッポンのお宝を探せ!』」

原稿執筆:国際協力局政策課

  • 番組ロゴ
  • 左から:峰隆太,ホラン千秋,
    中田敦彦,藤森慎吾,井森美幸

世界各地で実施されている日本の開発協力。
支援によって各国に伝わった日本の技術や知恵を,番組では「お宝」と題し,隊長の中田敦彦(オリエンタルラジオ)と副隊長のホラン千秋がご紹介します。

  • 急成長を遂げるエチオピアの経済を支えた日本ならではの支援とは。
  • 40年にも渡る日本の支援によって,完成したインドネシアの「ある場所」とは。
  • モザンビークからやってきた留学生が,見つけたニッポンのお宝とは。

日本の魅力がたっぷり詰まった番組ですので,是非ご覧下さい!

番組概要
 
タイトル
:「私が変わればミライが変わる『海を渡ったニッポンのお宝を探せ!』」
放送日 
:10月30日(日曜日)16時00分~17時15分
放送局
:テレビ東京系列6局ネット
出演者 
:オリエンタルラジオ(中田敦彦・藤森慎吾),ホラン千秋,井森美幸,峰竜太

関連ページ

  • 豪華出演者の皆さん
  • 隊長の中田敦彦と副隊長のホラン千秋
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