ODA(政府開発援助)

2015年9月9日発行
平成27年9月11日

ODAメールマガジン第308号は,ドミニカ共和国からの「不思議な縁」「ドミニカ共和国におけるプライマリーヘルスケアへの協力」をお届けします。

  • ドミニカ共和国

不思議な縁

原稿執筆:在ドミニカ共和国日本国大使館 田村 秀作 二等書記官

日本とドミニカ共和国。
遠く離れた2つの国が「昔からの不思議な縁で結ばれている。」と言うと,どういうことだろうかと疑問に思われるかもしれません。

ドミニカ共和国はアメリカ合衆国のマイアミから飛行機で約2時間半,カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島の東側にあります。
イスパニョーラ島とは「スペインの島」という意味で,1492年にコロンブスが発見し,名前を付けたと言われています。黄金の国「ジパング」(日本)を目指していたコロンブスは,島の北部「シバオ地方」に上陸し,ついに「ジパング」にたどり着いたと勘違いをしました。

歴史的勘違いという不思議な縁で結ばれた両国ですが,現在でも結びつきや共通点がたくさんあります。ドミニカ共和国で登録されている車の約7割は日本車で,街を見渡せば乗用車,トラックなど多くの日本車を見ることが出来ます。

また,食に関しても日本と同じく「米」を食べる習慣があります。
モロと呼ばれる豆ご飯を食べたり,煮豆のスープをご飯に掛けて食べたりします。他にも,ドミニカ共和国出身の野球選手が日本で活躍するなど,親しみがわく点がたくさんあります。

ドミニカ共和国はカリブ海の美しい海と白い砂浜を生かし,観光産業を中心に発達しましたが,島国のため社会的インフラから食料品,資機材に至るまで,ほとんど全てのものを輸入に頼っていることから,コストが高く,一部の富裕層を除いて多くの貧困層が適切な公共サービスを受けられない状況にあります。
このような大きな課題の解決に向けて日本は長年に亘り協力を行ってきており,日本の協力は広く認知され,政府や国民から高い評価を得ています。

日本とドミニカ共和国の歴史は古く,昨年は国交樹立から80周年となりました。様々なイベントや協力を通じて,日本とドミニカ共和国の友好関係が更に強固なものになることが期待されます。

  • みんな大好き 煮豆のスープご飯

ドミニカ共和国におけるプライマリーヘルスケアへの協力

原稿執筆:JICA専門家 松木 敏彦

ドミニカ共和国にはUNAP(スペイン語でプライマリーヘルスケア・ユニットの略語)と呼ばれるプライマリーヘルスケアを提供する施設があります。施設には医師,看護師,保健推進員が勤務し,概ね500世帯,人口2,000人に一つの割合で設置されることになっています。
この制度は,それまでの診療科別の治療サービスへの偏重を改め,施設が対象とするコミュニティの子供からお年寄りまで,男女を問わずケアするという「かかりつけ医」を目指すもので,同時に疾病の予防と健康の増進に,より一層の重点が置かれた制度となっています。

こうした取組は中南米諸国では15年程前から始まっていますが,多くの国は予算や人材の不足,疾病予防の重要性についての認識の不足等により,当初,期待した状況には達していないのが現状で,それはドミニカ共和国も例外ではありません。

こうした中,日本は国際協力機構(JICA)を通じて2004年から5年間,ドミニカ共和国北東部に位置するサマナ県においてプライマリーヘルスケアの実施体制の強化について支援を行い,保健省及び現地の関係者から高い評価を受けました。さらに現在は,そのサマナ県での経験を活用し,2013年から4年間の予定で北東部4県を対象とした「第三保健地域母と子のプライマリーヘルスケアプロジェクト」を実施しています。

実施中のプロジェクトでは,対象4県のUNAPにおける妊婦検診や出産後の母子ケアといった母子保健サービスの充実,コミュニティの現状を正確に把握するための地域診断,住民の疾病予防意識の向上と健康的な生活スタイルの確立を促進するためのヘルスプロモーション(注)の拡充といった課題に取り組んでいます。またUNAPの機能強化とともに,プロジェクトが終了した後も現地の方々のみで活動が続けられるよう研修講師の育成にも力を入れています。

現在,ドミニカ共和国では国をあげて妊産婦死亡と乳幼児死亡の低減に取り組んでおり,日本が行っている支援がそれらに貢献することが期待されています。

(注)ヘルスプロモーション:1986年に世界保健機関(WHO)がオタワ憲章において提唱した健康戦略で,「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし,改善することができるようにするプロセス」と定義されています。

  • 地域の全てのUNAP(131)が参加した「保健情報ボード」コンテストの
    優秀作品表彰式(日本国大使賞授与)
    写真左は淵上隆日本国大使
  • 母子保健研修:妊婦ジャケットを装着しているのはUNAPの看護師さん。
    ピンク色のポロシャツの2人は
    プロジェクトで育成を進めている研修講師
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