ODA(政府開発援助)
東ジャワ州における暴力的な過激主義の脅威とその人間の安全保障への影響への対処
令和元年12月3日
- 2019年8月7日,人間の安全保障基金により,「東ジャワ州における暴力的な過激主義の脅威とその人間の安全保障への影響への対処」プロジェクトに対して約156万米ドルの支援を行うことが決定されました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国の主導により国連に設置されたものです。
- このプロジェクトは,国連薬物犯罪事務所(UNODC),国連開発計画(UNDP)及び国連女性機関(UN-Women)により共同で実施されます。
- インドネシアでは,経済成長に伴い人間開発分野における様々な面で急速に進展が進む一方で,暴力的な過激主義の活動が継続しており,インドネシア警察は2012年以降500件のテロ攻撃を事前に防いでいるものの,最近では女性や子供が加害者としてテロ活動に関与するケースも発生しています。特に,シリア及びイラクでのISISの軍事的敗北後,テロ組織に寛容な歴史を有する東ジャワ州は暴力的な過激主義者が活動する場となっています。同地域において持続可能な開発,包摂的な平和及び公正,人々の尊厳を確保していくためには,人間の安全保障アプローチを通じて暴力的な過激主義の根底にある原因に長期的に対処していくことが重要です。
- 具体的には,2か年の実施期間において,主に東ジャワ州において,下記の支援を行います。
- (1)暴力的過激主義を排除するための村落レベルの啓発活動(寛容性及び相互協力の推進のための議論,同議論に基づくアクションプランの策定及び実施への支援,ユースを対象とするワークショップ開催等)
- (2)インターネットやSNS等の最新技術を通じた暴力的過激主義によるリクルートの防止(国及びコミュニティレベルの協力の推進及びベストプラクティスの共有等)
- (3)暴力的過激主義によるリクルートを防ぐための個人保護能力の強化(警察が個人及びコミュニティと連携しつつ,個人保護能力を向上させるためのワークショップ開催,若者の間の過激主義の浸透を阻止するための教師及び教育機関に対するワークショップ等)
- (4)暴力的過激主義を防ぐための司法システムの強化(収容者の間に過激主義が浸透することを防ぐための管理・矯正システムの向上等)
- (5)脆弱な人々の間の過激主義の悪循環を断ち切るための取組(加害者の子供達及び親族が下宿する組織との協議及び同組織への支援,テロ事件の被害者の人間の安全保障上のニーズ評価,支援を行う市民社会に対するワークショップ等)
- この事業が実施されることにより,インドネシアの東ジャワ州の脆弱な人々に対する人間の安全保障が推進されることが期待されます。