ODA(政府開発援助)
脆弱な難民やホストコミュニティの居住環境の改善と経済的エンパワーメントによる人間の安全保障の推進
平成29年6月12日
- 2016年10月21日,国連人間の安全保障基金により,レバノンを対象国とした「脆弱な難民やホストコミュニティの居住環境の改善と経済的エンパワーメントによる人間の安全保障の推進」プロジェクトに対して約202万米ドルの支援を行うことが決定されました。本基金は,人間の安全保障の推進を目的として,1999年に我が国の主導により国連に設置されたものです。
- このプロジェクトは,国連人間居住計画(UN-HABITAT),国連児童基金(UNICEF),ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN Women)により共同で実施されます。本プロジェクトは,パレスチナ難民,イラク難民,およびシリア難民の大量流入により,貧困率の上昇,経済機会の損失,基礎インフラの欠乏,感染症等の拡大等の経済社会的影響を受けているレバノンの第二の都市であるトリポリにおいて,特に過激派への傾倒が懸念される若者やジェンダーに基づく暴力(GBV)の危険に晒されている女性の保護と能力強化を通じて,難民受入れコミュニティで高まる緊張を緩和し,適切な居住環境を確保することを目的としています。2か年の事業完了後には以下を含む成果が見込まれます。
- (1)対象地域の行政機関,自治体および地元NGOによる脆弱な人々の保護メカニズムおよび能力が強化され,若者と女性が適切に保護サービスを受けられるほか,当事者とコミュニティ全体の過激化防止対策やGBV対策に関する知識が向上する。
- (2)「女性と若者のための職業訓練・紹介センター」が設立され,職業訓練を受けた女性と若者が適切な雇用機会を得て経済的に自立する。
- (3)対象地域において欠如している基礎インフラが修繕され,適切な公共サービスが提供される。なお,インフラの修繕工事やサービスの提供に必要な労働力は,本事業により職業訓練を受けた女性と若者の雇用機会となる。
- この事業への支援が実施されることにより,17歳から24歳までの約2,000人の若者と家計収入を担う約1,500人の女性が経済的自立のための職業訓練およびカウンセリングサービスを受益社会的基礎インフラの改修により,約1万人の住居環境が直接的に改善し,トリポリの難民受入れコミュニティ全体の人間の安全保障が推進されることが期待されます。