ODA(政府開発援助)

令和6年4月15日

外務省地球規模課題総括課

 2024年4月2日、国連本部庁舎信託統治理事会議場において、人間の安全保障に関する国連総会非公式会合が開催されたところ、概要以下のとおり。

  1. 本会合は、2024年1月末に10年ぶりに公表された人間の安全保障に関する第4次国連事務総長報告を受けて、加盟国間で人間の安全保障について議論を深める目的で開催されたもの。フランシス国連総会議長、グテーレス国連事務総長、高須人間の安全保障担当事務総長特別顧問、チンチージャ元コスタリカ大統領(人間の安全保障に関するUNDP特別報告書ハイレベル諮問パネル共同議長)、チャンバスAU上級代表(Silencing the Gunsイニシアティブ担当)、ファティマ国連後発開発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当上級代表のほか、約120か国が参加し、日本を含む40か国・地域が発言した。
  2. フランシス国連総会議長が開会挨拶を行い、加盟国の様々な見解を踏まえながら、人間の安全保障の展望につきオープンに議論したい、同概念に係る議論の再活性化は不安定の根本的原因に対処し、誰もが安全な条件下で生きる観点から重要である旨述べた。また、未来サミット成果文書での人間の安全保障の位置付けは加盟国の判断に委ねるが、人間の安全保障の今後の在り方についてクリエイティブな提案を示すよう各国を促したい旨呼びかけた。
  3. グテーレス国連事務総長からのオープニング・リマークスでは、人間の安全保障のレンズ(視点)は、脅威の把握や平和構築の戦略策定に役立ち、公平性や包摂性に依拠した新たな社会契約や人権の要請にも密接に関係している旨述べた。また、人間の安全保障は人々が恐怖からの自由、欠乏からの自由及び尊厳を確保するために効果的であることを示してきており、SDGs達成への取組を加速させる旨述べると共に、今日の多層的課題への対処において人間の安全保障を活用するよう各国を促したい旨の発言があった。
  4. 続いて行われたパネル討論では、国際的に発信力の高い登壇者(チンチージャ元コスタリカ大統領、チャンバスAU上級代表、ファティマ国連後発開発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当上級代表)がそれぞれの見地から、人間の安全保障が世界各地で有効なフレームワークとして実践されていることを紹介した。
  5. 参加した加盟国からは、国連事務総長報告の公表を歓迎するとともに、人類が複合的な危機への対処を迫られる中で人間の安全保障の重要性が増していると指摘する発言があった。一方で、一部の国からは、人間の安全保障は国際的な合意に裏付けられた明確な定義のない曖昧な概念との指摘もなされた。
  6. 日本からは、山崎国連代表部大使が参加し、国連事務総長報告は国連が人間の安全保障を推進することの強い決意の表れであるとしつつ、報告書で示された具体例は、人間の安全保障の概念が今日の複合的な危機に対して、有効で分野横断的アプローチを与えるものであることを示している旨述べた。また、個人の保護、能力強化及び連帯を通して脆弱な人々の尊厳を確保することにより、人間の安全保障は、持続可能な開発目標(SDGs)や国連憲章に定められる理想、さらには女性・平和・安全アジェンダといった重要な政策枠組みの達成に効果的なアプローチである旨述べた。
  7. 高須人間の安全保障担当事務総長特別顧問は、締めくくりの発言において、人間の安全保障の定義は、2012年の国連総会決議の中で既に示されている共通理解によって、国家のオーナーシップや内政不干渉原則の尊重等については明確になっている旨指摘した。また、事務総長報告で示したように、相互に関係した複合的な課題に対し、人間の安全保障は有効なアプローチであり、人間の安全保障は2030アジェンダの達成にも貢献しうるとともに、未来サミットでの議論にも資すると考える旨述べた。

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