ODA(政府開発援助)
第6回人間の安全保障フレンズグループ会合の開催について
12月6日(現地時間)、ニューヨークにおいて、第6回人間の安全保障フレンズグループ会合が開催されたところ、概要は以下のとおりです(石兼公博国連代表部特命全権大使兼常駐代表が共同議長として出席)。
冒頭、フランシス第78回国連総会議長がスピーチを行い、今日の世界が複合的危機に直面し、脆弱な人々を始めとして直接・間接に人間の尊厳が脅かされている中、持続可能な開発(SDGs)の達成に向けた取組を加速させるという面も含め、人間の安全保障の重要性がかつてなく高まっている旨を強調しました。
これに続き、第一部では、モスタファヴィ国連事務局人間の安全保障ユニット長から、人間の安全保障に関する第四次国連事務総長報告の発出に向けた準備の状況について、加盟国に対するブリーフィングが行われました。また、第二部では、人間の安全保障というアプローチが世界の様々なフィールドにおいてどのようにして実践・適用され、最も脆弱な立場にある人々を始めとする個別の課題に直面した人々の状況改善にどれほど貢献しているかについて、各国現地の事情に詳しいスピーカー、具体的には、パノヴァ国連エジプト常駐調整官、コンセイソン国連開発計画(UNDP)人間開発報告書室長及びリズクUNDPパキスタン常駐代表、ダニエルス国際移住機関(IOM)事務局オペレーション担当次長及びリルジャートIOMニューヨーク事務所長が、人間の安全保障のアプローチを取り入れた具体的なプロジェクトとその効果について、それぞれプレゼンテーションを行いました。それに続き、パネリストと参加国との間で活発な意見交換が行われました。
41か国の参加を得て開催された今次会合では、国連加盟国間での活発な意見交換を通じて、人間の安全保障がどのような付加価値を様々な支援の現場にもたらすことができるのかについて、参加者間での理解が深まったほか、2030年までにSDGsを達成するための取組を加速するための触媒として、人間の安全保障の理念を活用することの有効性が高まっていることが改めて認識されました。更に、参加各国は、人間の安全保障の重要性と未来サミットへの期待について意見交換を行うとともに、人間の安全保障に関する次期国連事務総長報告が人間の安全保障の理念をより一層促進・普及することに役立つものとなることへの期待を表明しました。
- [参考]人間の安全保障フレンズグループ
- 2006年にニューヨークベースの非公式・自由なフォーラムとして人間の安全保障フレンズが結成され、2009年までに全7回の会合を開催。これらの会合を通じた概念普及の結果、人間の安全保障の共通理解が記載された2012年国連総会決議66/290が採択されるに至った。国際社会が新型コロナウイルスからの回復を目指していくに当たり、人間の安全保障の概念に関する議論を再活性化すべきとの認識の下、日本、コスタリカ、セネガルの国連常駐代表を共同議長として人間の安全保障フレンズグループが再結成され、2021年6月に第1回会合、同年12月に第2回会合、2022年3月に第3回会合、同年12月に第4回会合、また2023年4月に第5回会合が開催された。