ODA(政府開発援助)

平成28年1月4日

【日時】2015年2月6日(金曜日)17時00分~19時00分
【場所】外務省 南282会議室

【議事次第】

  1. プロサバンナ事業改善に向けた外務省/JICA側努力の成果
  2. プロサバンナPDの進捗状況
  3. 現地調査報告に基づいて、NGO側より

【配布資料】

外務省・JICA配布資料:
資料1:
議事次第(PDF)別ウィンドウで開く
資料2:
参加者一覧(PDF)別ウィンドウで開く
資料3:
第二回プロサバンナ三カ国民衆会議への出席と発言(PDF)別ウィンドウで開く
資料4:
在モザンビーク日本国大使館 丸橋参事官スピーチ要旨(PDF)別ウィンドウで開く
資料5:
安倍晋三総理のブラジル訪問に係る日伯戦略的グローバルパートナーシップ構築に関する共同声明(プロサバンナ関連部分パラ15抜粋)(PDF)別ウィンドウで開く
資料6:
民間投資に関するジョイントステートメント(ポイント抜粋)(PDF)別ウィンドウで開く
資料7:
Joint Statement on Private Investment within ProSAVANA(英文)(PDF)別ウィンドウで開く
NGO配布資料:
資料8-1:
現地全国キャンペーン「プロサバンナにノー」(原文、和訳)(PDF)別ウィンドウで開く
資料8-2:
プレスリリース(「プロサバンナにノー」起ち上げを受けて)(PDF)別ウィンドウで開く
資料9:
「プロサバンナにノー」・三カ国民衆会議に関する報道一覧(PDF)別ウィンドウで開く
資料10:
モザンビーク農業大臣宛請願書(原文、和文抄訳)(PDF)別ウィンドウで開く
資料11:
JICA理事長宛「マスタープランドラフト公開の申し入れ」(PDF)別ウィンドウで開く
資料12-1:
提言「プロサバンナ事業再考へ向けて」(PDF)別ウィンドウで開く
資料12-2:
現地調査報告「プロサバンナ事業の考察:概要と変遷、そしてNGOからの提言」(PDF)別ウィンドウで開く
資料13:
AgroMoz社土地収奪Verdade紙記事(2014年10月24日)(原文、和訳)(PDF)別ウィンドウで開く
資料14:
ADECRUによるPEMに関する声明(英文)(PDF)別ウィンドウで開く
【参加者】外務省資料2:参加者一覧による
外務省国際協力局2名 JICAアフリカ部・農村開発部8名 NGO19名 リストは別添参照

1 はじめに:司会による確認

 本意見交換会は、プロサバンナ事業に特化し協議するものとして2年前からODA政策協議会のサブ・グループとして実施されている。会議記録は「議事要旨」を作ることについて双方で認識を共有している。

2 議題1 外務省・JICAの報告

(1)外務省より資料3・4を踏まえた報告:

第二回プロサバンナ三カ国民衆会議:駐モザンビーク大使館参事官が出席し、「プロサバンナに置ける日本の役割と責任」パネルで、「プロサバンナ事業の目的は、モザンビークの食料安全保障、農民の生活向上」であり、日本政府は「主役であるモザンビーク政府及びブラジル政府と共に、対話を通じた相互理解を深めつつ、プロジェクトの成功に向けて努力したい」「モザンビークの土地はモザンビークの人のもの、その未来を決めるのはモザンビーク人」と演説。また、JICA所長も、「プロサバンナは小農対象の事業である」と述べた。主催者UNAC(モザンビーク全国農民連合)から「今回初めて日伯両政府関係者が出席し、発言したことを評価する」とのコメントがあった。
日伯二国間共同声明:「両首脳は、ポルトガル圏諸国を対象とした三角協力の進展を歓迎」「包括的かつ持続可能な農業及び地域開発を通してナカラ回廊の住民の生活を向上させるというビジョン」でこの事業を実施することを、首脳レベルで確認した。

(2)JICAより資料5・6を踏まえた報告:

外務省報告は、政策レベルからのメッセージ。JICAは、実施機関として事業をどう進めたいかを明確にすべきだと考え、次の2点を紹介する。
「民間農業投資に関する三カ国実施機関の共同声明」:JICA、ブラジルABC、モザンビーク農業省の合意文書には、「農業生産のための土地の収用を伴ういかなる民間投資も、プロサバンナ事業の枠組みでは、推奨、あるいは、支援されない」、「農業分野の民間投資推進に関する議論は、農業投資を規制・ガイドするための諸制度が実質的に進展した後になって、モザンビーク政府によって調整される」と記載されている。
「農民、住民へ向けた広報、情報発信努力」:モザンビーク政府は、現地市民社会等との対話やセミナーの開催、ウェブサイト等を通じ、十分な情報提供に努めてきたが、一部住民等から情報提供が少ないとの指摘を受け、地元ラジオやパンフレットの配布等を通じた広報活動を昨年10月から開始。今年も、情報提供、透明性等を確保していく観点から、かかる対話や広報の取組を強化する意向。我が国の立場はこの意向を支援。

3 外務省・JICA報告へのNGOからの質問

(1)公開書簡と「プロサバンナにノー キャンペーン」を踏まえた指摘と質問:

2013年5月、モザンビークの23市民団体が、モ・日・伯三カ国の首脳に対し「プロサバンナ事業の緊急停止を求める公開書簡」を出し応答を求め続けているが、依然としてきちんとした回答がないと現地は認識している。公開書簡には「情報や対話の欠如、土地収奪の恐れ、家族経営農業システムの破壊に繋がるとの懸念」が示され、「プロセスを停止し、より包括的な協議の上で新たなプロセスの開始」が要請されていた。
本日の外務省・JICAの説明は、現地の人びとには理解されず伝わっていないと考えられる。
現地では「プロサバンナにノー」というキャンペーンが起ち上っており、かつ「日本政府の返答は貰っていない」と認識。日本政府として回答を示した事実があれば示されたい。

(2)三カ国民衆会議での農民代表の報告を踏まえた質問:

日本のNGOからも3名が参加した。日本大使館・JICA関係者の参加を感謝したい。
しかし、その会議で、現地の3農民代表が登壇し、プロサバンナに関する情報がないこと、情報公開を政府等に求めた際「異義を申立てた者は投獄する」との脅しを受けている状況を語っている。昨年10月29日の調査報告会でも紹介した。外務省・JICAは、これに関する報告を現地から受けているのか、またどのような認識を持っているのかを教えてほしい。

(3)「成果」表明の問題の指摘と説明・資料の要請:

議題1は「成果」とされるが、当然プラス・マイナス両方の「評価」作業が前提にあるべき。現地の受益者はどういう形で参画し、どういう手順で事業が進められて来たのか、その結果、現時点でそれぞれの立場での評価がどうなっているのか、その上で「成果」に繋がってくるはずだが、振り返ると不十分に思える。
出発点である「プロサバンナとは」というところがテーブルに乗っていない。本日のJICAの説明・資料でも、「民間農業投資に関する三カ国実施機関の共同声明」の内容が説明されたが、ではプロサバンナの枠組みは何なのか。これを明文化して出してほしい。

(4)農業投資に関するガイドラインに関する質問:

 資料6の内容自体は歓迎したいが、農業投資に関するガイドライン、諸制度の取組が進展しているのであれば、その点について共有頂きたい。

4 NGOからの質問への外務省・JICAの回答

(1)公開書簡に関する外務省回答とNGOへの要請:

日本政府の立場は、モザンビーク農業大臣の文書で、日本・ブラジル政府と協議していると書いてあるとおり、中身についてはモザンビーク政府と相談・調整済み。
安倍総理からの公開書簡への返答がない理由は、総理の名前ではなく、モザンビーク農業大臣の名前による返書が適切、と政府は判断したから。これは前回説明済みで、「書簡への返答がない」と言われるのは心外。書簡で「緊急停止」が求められているが、政府の立場として緊急停止が必要と考えていない。農民・市民団体の話を伺いながらやることが明確に記載され、それで十分と考える。
このように意見交換会の場で説明しているのであるから、日本のNGOからも、現地農民や市民社会に日本政府の立場を伝えてほしい。

(2)三カ国民衆会議に関するJICA感想:

 参加した結果、非常に勉強になり、農民の声を聞く良い機会になった。そこで提示された問題は、計画策定の中で活かされるようモザンビーク政府に対して働きかけた。

(3)事業関係者による脅迫に関するJICA・外務省の回答:

JICA:プロサバンナ事業で脅しや脅迫を受けたとの報告については、JICAが把握している限り確認されていない。農業普及員や各州のフォーカルポイントに、そのようなことを行う人間はいない。JICAのカウンターパートからそうした報告を受けた事実もない。
外務省:民衆会議に関する公電を確認したが、投獄等の脅しについて報告は入っていない。

(4)事業説明の要請と土地収奪に関するJICA回答:

 目的も含む本事業の説明は、毎回一定程度行われてきたと認識するが、あらためて説明する機会を持ってもよい。ただし、本事業で土地の取得も収奪も行ったことはない。ナカラ回廊地域で土地収奪があるとしても、プロサバンナ事業との直接的因果関係はないと断言できる。

(5)農業投資に関するガイドライン:

 (3月上旬にモザンビーク投資セミナーがJICAとUNIDOの共催で実施されるが、それに向けてプロサバンナで策定中のガイドラインの取組みが進展しているのかについて、)当該投資セミナーに於いて、このようなガイドラインを示して、これに基づいて説明をすることは今のところ想定されていない。

5 外務省・JICAの回答についてのNGO側の指摘

(1)現地での事実確認の手法の問題:

脅しに関し、当日の発言として主催者側の議事録には残っており、本省の方に伝わっていないということ。NGO報告(資料12)にも記載している。
脅しの事実を事業や行政の関係者に聞いたら「ない」というのは当り前。作年8月のNGOによる現地調査では、1名にはJICAが同行、別の1人には現地の農民が同行したが、その結果、見えるものにギャップが生じた。行政からの情報だけを集めているのではなく、聞き取り手法から検討が必要であり、その点指摘してきた。これは今後のプロセスで極めて重要。

(2)事業説明に関する再確認:

ポイントは、PEM、PIが中心的な進行中のプロジェクトであるにも拘らず、明確な説明がないこと。「プロサバンナの枠組」というが、プロサバンナとそれ以外の投資の違いは解りかね、現地も恐らく同様。そういった不十分さや疑念が残っている。
プロサバンナは小農支援と何度も伺った。一方で、民間投資の促進が当初喧伝されていたこともやはり事実である。協議を重ねる中で、小規模農家支援が焦点という話になってきてはいるが、一方で農業投資を促進するという側面もまだ残っている。一度整理して示されたい。

6 認識ギャップに関する議論と本会の位置づけ

(1)司会による中間まとめ:

 この議論には、本意見交換会の本質、つまり認識ギャップを埋めるための努力をどの様に誰がするのかという問題が関わっている。脅しの有無を一例としても、公電には載らないが実際に発言されている。それをどう詰めるのか、丁寧にやっていく必要がある。認識ギャップがあることは、議題1の議論で明らかになったこととして記録しておきたい。

(2)外務省の見解とNGOの議論、司会の提案:

外務省:政府とNGOの立場は異なる。我々日本政府は、モザンビーク政府を相手に外交手段としてODAを使う立場で、外務省は政策を担い、JICAはナカラ回廊開発支援を実施する。NGOはむしろ異議を唱える立場。事業の実施主体は外務省・JICAなので、NGOからの意見をなるべく多く反映させる形で事業を実施するために本会議をするのが正しいあり方。プロサバンナを止めるべきだという人との認識のギャップをゼロまで縮めないと何も進められないなら、事業を止めるしかなくなるが、我々は立場が違うのでそこまでは行かない。本会議の効果的建設的なやり方を考えるのであれば、お互いどの立場でどの認識かをはっきりさせてやるべき。
NGO:立場の違いから出発している問題だとは思わない。長くなるので付言するに留める。
司会:2点指摘。
  • 確かに認識ギャップは完全に埋ることは無いが、市民社会はできるだけギャップを小さくしたいと考えている。それをやっていくのが本意見交換会の場であることを理解頂きたい。
  • 本会意見交換会では、「止める、止めない」を議論してきたのではなく、「プロセスがよく判らないから、事業をちょっと止めてくれ」という話であった。そこはギャップを埋めていける余地があるだろう。
外務省:ギャップは最後まで埋まらないかも知れないが、そのギャップを少しでも縮めていくための意見交換である、ということで理解した。

7 議題2 プロサバンナPDの進捗状況

(1)マスタープランのドラフトゼロに関するJICA説明:

12月3日付JICA理事長宛FAXへの返事も含め回答する。モザンビーク政府は、議論の出発点となる具体的なレポートを示すべきとの要望を現地の市民社会組織からも貰っているため、現地の各ステークホルダーとの議論のベースとなる文書「マスタープランのドラフトゼロ」を作成。これが、そのままマスタープランのドラフトになることは想定していない。
ドラフトゼロ作成プロセス:コンサルタントによる調査の結果とモザンビーク政府との意見交換を踏まえ、コンサルタントが取纏めたものを、モザンビーク政府・ブラジルのABC・JICAの実務者が随時協議をして練り上げた素案。昨年12月4日の日伯モ三カ国実施機関合同の調整会議で、この素案を議論し、その方向性について確認をしてきた。
現在、この方向性を踏まえ、モザンビーク政府内でドラフトゼロの確定に向けた修正作業を行っており、作業途中のため示すことができない。ドラフトゼロがモザンビーク政府内で確定した上で、その後直ちに現地の市民社会などステークホルダーに広く公開して複数回の意見交換を行い、その結果を適切に取り込んで最終化していくとモザンビーク政府は考えている。

(2)JICAの説明に対するNGOの指摘と質問:

ドラフト素案を示す時期、タイムスパンの共有を要請。
別途FAXでも指摘したが、現地では2013年9月にコンセプトノート(以下、CN)が出されてから議論が頓挫しているにも拘らず、「これまでの議論に基づいてドラフト素案を作成」とされていることに違和感を覚える。現地の対話の頓挫状況をどう認識されているのか。今後本当に農民・市民社会が納得の行く形で意見交換と反映がどうなされていくのか全く見えてこない。
調査結果に基づいてドラフト素案を作成とのことだが、現地で議論が頓挫した理由は、元の情報をどう集め、どの情報に基づいて何を理解して事業を立てているかに関する情報を恒常的に要請したが提供されないためだった。今回は、素案の背景の情報も提供されるのか。

(3)JICAの回答:

モザンビーク政府はかなり急いでいると思われるが、具体的なタイムスパンは承知していない。
ドラフトゼロは、色々な会議で詳細な情報を示した上で議論すべきとのステークホルダーからの意見を受けたもの。そのため少しでも早く具体的なドキュメントを示し、同じテーブルに着いて議論をし、対話を進めていきたいという想いから作成している。一部地域で議論がスタックしているのは正にその通りだが、モザンビーク政府は対話に向かうことを考えている。
CNについて様々な意見や批判はあり、さまざまなステークホルダーとの会議で出された意見を、三カ国で取纏めている。民間投資中心から農民中心へトーンが変わってきているとの指摘だが、我々もモザンビーク政府も、そうした声をベースに検討している。これまでの説明と同様、データを纏めて作ったというよりも、さまざまな情報や対話・意見をもとにして作った。

(4)NGOの質問:

NGO:誰が具体的に各国政府の中で関わって、12月4日の協議会迄にどのようなプロセスがあったのか。FGV(ジェトゥリオ・ヴァルガス財団)のプロサバンナの中での役割は何か。
コンサルタントの調査結果が全体を構成していないにしても、その要旨なり、調査結果なり共有してほしい。
ステークホルダー会議の問題として、非常にショートノーティスで、一部にしか周知されておらず、参加者が非常に限られていたことが既に指摘されている。ゼロドラフトが周知された後、各団体内部で話し合われると思うが、どの位の期間をおいて会議を行うのか。会議の前段階のプロセスを、現地の市民社会・農民たちと合意していく必要がある。400万人が関わることであり、どういった形で事前のプロセスに合意していくのか知りたい。

(5)JICAの回答:

マスタープラン作成について、ブラジル側はFGVが関与していたが、今はもう関与していない。FGVの調査結果を一部勘案した上でドラフトゼロの素案を作成した。現在は、モザンビーク政府が中心になり議論しながらドラフトゼロの最終化を実施。
形だけの説明会ではなく対話をきちんとすべきとの指摘は、その通り。常識的に適正な期間をおいた会議の開催は必要だが、JICAは今後のプロセスを十分認識していない。複数回実施し、できるだけ意見を徴収することで、適切・丁寧な対話をしていくのがモザンビーク政府の考え。これは、安倍総理とゲブーザ大統領(当時)の首脳会談でも一致しており、我々もその認識でやっていく。

(6)司会の指摘と要請:

 外務省から認識ギャップをどう埋めていくかという話があった。その点についてこの議論を進める上で大事なことは、事実を事実としてどこまで把握し、そのどこまで公開できるのかを淡々と共有していくこと。JICA説明の「随時」は、本来「いつ・どこで・何回」が説明されるべき。「承知していない」とのことだが事実か。「モザンビーク側は考えているようだが、JICAも外務省も承知していない」のか、あるいは「伝えられているが、言えない」のか。事実を共有していかないと、疑心暗鬼は解消せず、認識ギャップは一向に埋まらない。

8 司会による問題提起を受けた協議

(1)JICAによる補足:

NGOが作成した文書では、モザンビーク政府は巨大で権力を振りかざし、汚職にまみれて「非常に悪」だと読める。しかし、モザンビークで農業政策に関わる人、農業普及員等、我々が普段接するカウンターパートは自国の農業を真剣に考え、自分たちのサービスで農民たちがよくなる方法を考え、一生懸命コンサルタントのドラフトゼロ案を修正している。
JICAとしては、方向性や汲み取ってきた意見が入っているかは確認するが、どのようなものにするのかはモザンビーク政府が考えること。それが間違っていれば指摘する。現地ではクリスマス、夏休みが入り、大統領就任式があった。モザンビーク側は急ぎたいが、彼らが明確な意思を持つところまで行けておらず、フィージブルでもない。JICAは、早くきちんと農民・ステークホルダーの声を出来るだけ聞き、良い物を作っていくためしっかり伴走していく。

(2)NGOからの質問とJICAの回答:

NGO:農業技術者はゼロドラフトを作る段階でコンサルタント等と一緒に色々な調査をしたのではないか。今の段階で入って来たのか。
JICA:農業技術者も一緒にフィールドワークをし、議論してドラフトが出来てきている。それを、農業省のもう少し高いレベルで、農業省の案として対外的に示すものとしてきちんとした案になっているかどうかを議論しているところ。

(3)NGOからの情報提供とJICAの回答、司会まとめ:

NGO:現地から土地問題を扱う省が出来たと聞いた。プロサバンナは農業省が担当で、この「土地省」は関係ないと考えてよいのか。
JICA:土地・環境・農村開発省の関与については現時点ではまだよくわからない。むしろ彼らがどの様にその省庁を整理するのか、我々も見て行かなければいけない。それによってこれからの計画が全然違う方向に行く、経緯を踏まえない、ということがあってはいけないため、そこはしっかり押さえていく。
NGO:「土地省」のトップは、土地収奪を起こしているAgroMoz社のオーナーの一人だと現地から聞いている。そこが関わると、現地で疑心暗鬼が生じると思い質問した。
司会:NGOも具体的な情報を提供できる。そういう形で少しずつ認識を埋めていきたい。

9 議題3 NGO現地調査報告に基づく事前質問に関するやり取り

(1)NGOの背景説明と司会による事前質問表の確認:

NGO:2014年7月~8月にかけて現地調査に行き、提言(資料12)という形でまとめた。プロサバンナ対象地域で土地収奪が行われている現場を見て、農民からも話を聞いた。AgroMoz社の土地収奪に関する現地の記事が資料13。資料14は、現地NGOのADECRUによるプロサバンナPEMに関する声明。これまでNGO側から出された質問を、この意見交換会で整理して答えたいとJICAから伺い、事前質問を送り回答を依頼した。
司会:「第10回意見交換会に向けたNGO質問票と外務省JICA回答」が、事前にNGOから外務省・JICAに投げられているが回答を印刷した資料がない。書面での回答を要請する。
JICA:口頭で伝えるので、メモを取るなどして理解してほしい。
NGO:調査は現地の農民と一緒にやっており、回答を現地と共有するため書面を再要請。

(2)NGOの現地調査に基づく事前質問表への質問項目を含むJICA口頭回答:

【項目1】マスタープラン案件:既に意見交換したので割愛。

【項目2】PI(ナカラ回廊農業開発研究・技術移転能力向上プロジェクト):

「ブラジルEMBRAPAの研究課題が「ナカラ回廊地域での大規模農業の生産システム研究」であると判明。資料と研究成果の共有」:我々は承知せず情報も持っていない。PIはブラジルと一緒に実施。実際に共同で農業生産性に関する検証、施肥等についても試験をしている。
「PIの実施期間は2011-2016年度で、既に最終段階。2014年4月のナンプラ市での「成果発表会」の配布資料の共有」:資料一式を提供する。

【項目3】DIF(プロサバンナ開発イニシアティブ基金):

「DIFの評価結果の共有」:本年6月末を目処に取纏め中。纏まった段階で示す。

【項目4】PEM(ナカラ回廊農業開発コミュニティレベル開発モデル策定プロジェクト)【PEMモデル4】DIFの融資先企業:

「企業aの土地収奪/雇用/契約栽培の問題が判明。JICAのフォローアップ状況(誰にどのような確認を行い、どの結果が得られ、今後どう対応するのか)」:現地に確認を取ったが、この問題が起こっていると我々は認識していない。
「小農組織に種子の契約栽培を行う企業bの問題が判明。下記ウのフォローアップ調査と小農組織との契約書共有を依頼」:NGOの提言書に、「契約規約書が不在」との記述もあり、これも確認した。契約書自体は存在するが、私契約であり我々から示すことは出来ない。
「(ア)契約書記載の買い取り価格、実際の買取り価格とその量、(イ)買取り時に差し引かれた種子の値段、(ウ)収穫時期、買取り/支払い日」:(ア)ゴマについては、契約書に1キロ25メティカイス(MT)、市場価格がこれを超えた場合、市場価格の20%増で買取ると記載。実際の買上げ価格は48~50MT/キロ。契約書より随分高い価格で買取られている。買取総量は約8万2千キロ。(イ)差し引かれた種子の値段は、キロあたり60MT。(ウ)集荷時期は5月~6月、買取りは9月~10月、支払いは10月~11月。
「融資対象先ナンプラ州企業cにプロサバンナ事業の一環と説明せず、契約したことの原因」:実際には3回、2013年12月に1回、2014年2月に2回協議の会を持ち、本事業はプロサバンナの事業だと明確に伝えたことを確認した。

【PEMモデル2】対象:小農アソシエーション:

「モデル2はPDレポート2の「水ポンプ事業」(4-13 QIP Public Sector No.4)と同様のものである点の確認」:農業生産上水の必要性は明白で、灌漑ポンプを入れて野菜栽培を行うと収益性の高い事業になると考えた。アソシエーションのニーズが高いことを確認した上で事業を行った。
「(ア)2アソシエーションに1ポンプのみ貸与で、一方が全く使えない問題の確認、(イ)未使用アソシエーションの返済必要性、(ウ)問題対処法」:あるフォーラムに所属する2つの組合が共同利用するため小型ポンプを供与。一方の組合が重力灌漑で野菜を栽培する方針に転換した結果、一方のみが使用。ポンプ灌漑はコストがかかるため、重力灌漑の優先はよく理解できる。ポンプを使わない組合は返済義務を負わない。
「アソシエーションの要望と異なる資材と提供時期の大幅遅延のため、予定していた作付けが出来ず販売に不安がある点」:アソシエーションは、溜池を水源としたが、そのキャパシティでの作付面積としては広すぎたため、意見交換の結果、ジャガイモ0.25ヘクタール、野菜0.75ヘクタール、占めて1ヘクタールで事業を行うことになった。この意思決定を行うための意見交換に時間を要したのが、提供が遅れた一番の理由。
「ニアッサ州での「評価会議」で対象アソシエーションから事業への不満や不安が繰り返され、他アソシエーションから「こんな事業は要らない」との発言があった。しかし、JICA関係者が総括として「事業は上手くいっていると評価を得た」と纏めた点」:現地の関係者に確認した結果、評価会で作付次期が遅れたことに関する参加者の発言は確かにあった。この会合は主に技術的な課題、活動の教訓を出す性質のもので、「上手く行っているとの評価を得た」という纏め方はしていない。

【項目5】ガバナンス:

 「上記企業dの土地収奪の件に関するJICAの調査依頼により、同社やモザンビーク政府による圧力が現地農民組織・農民・市民社会組織にあった点」:確認したが、圧力をかけているという事実は、全く確認していない。

(3)JICAの回答を受けたNGOの指摘と質問:

【項目4 ウ】企業bの件:現地調査した昨年7月30日に、農民から「4月~5月にトウモロコシの収穫があり、倉庫も無い所に置かれて取りに来てもらえない」と聞いた。調査時JICAは「今週末に取りに来る」といったが、結局9月~10月に引き取られたとの報告を聞いてショックを受けている。これらを含め、現地と情報共有する必要がある。
【項目4 ア】企業dの件:「現地に確認し問題ないと認識」との回答だったが、NGOも複数名が数度にわたり現地へ行き色々な人に話を聞いている。事実確認は、調査手順・主体・手法、事実確認の独立性や中立性、公正さが結果を左右する。これらの確認作業が、どの様な形で行われたのか、なぜ回答の認識に至ったのかを説明願う。
【項目2 イ】に関し、「現地の農民が方針を変えたので使う必要がなくなった」という点、【項目5 ア】圧力の有無の件について、誰にいつ確認したのか。
援助主体のJICAは、アソシエーションに対する資材等の供与や、契約生産等事業の仕組みにどの程度関与しているのか。契約生産は、本来対等な立場で契約する関係があって初めて正当に成立する。しかし、モザンビークの場合、農民は情報や力の面で弱者。その非対称性を解消し、農業生産の発展や所得の向上に結びつけるためには、弱者に対する配慮が契約の中に顕れないと、契約生産の結果は期待できない。配慮の実態を説明されたい。

(4)JICAの回答:

【項目4 ア】JICA関係者、現地事務所、プロジェクト関係者、先方政府、SDAE(農業省内組織)、企業dにも確認した。内戦時に企業dの敷地に農民が住み込んだことは承知しているが、平和裏に解決すべく、恫喝等は一切することなく、意見交換を行っていくと同社から聞いている。これがDIF等の実施に問題を生じさせることはないと認識。
【項目5】政府の圧力に関して、特に現地では先方と密にやり取りしているが、圧力をかけたと言っている関係者は今のところ確認しておらず、その事実はなかったと認識している。
PEMでは、各事業が上手く行くように、技術的な側面支援を行なっている。ただこれは、まだ始めて時間があまり経っておらず、最初から全てがパーフェクトに行くことは恐らくなく、トライ&エラーで次に活かしていくものではないかと考える。

10 司会によるまとめと次回提案

(1)司会による問題提起:

事実的なことの確認をしていくのはとても重要。細かいことだが、結構こうした小さなことから認識ギャップが生まれる。ただ、詳細な事実確認を意見交換会でやると時間なく、可能な範囲で書面で出した上でやりとりしていくのがよい。
意見交換会を久しぶりに開催し、外務省から率直な意見を頂き、どう認識ギャップを埋めていくのか、その方法を含め丁寧に考える時間を持つ必要があると考えた。NGOとJICAが昨年夏に共同調査をして、同じ事実の見方の違いだけでなく、現場にどういう人がいるかによって得られる事実が違うことが明らかになった。それを踏まえると、「これはこうですか」「そのような事実は確認できません」といった本日のやりとりから、1つの事実を両方側から確認できるかどうかを考えていく必要がある。
認識ギャップを埋める方法の1つとして、本意見交換会をきちんとした積み上げでやっていくことがある。今日の議論を、外務省・JICA側はモザンビーク政府や現地のコンサルタントへ報告し、NGOはUNAC等へ連絡する。そして、その結果を、次の意見交換会で報告していくと積み上げができる。もちろん、市民社会側も努力するが、主体的・一義的には、外務省・JICAという開発する側の人たちが努力すべきことである。次回の意見交換会で、外務省・JICAからギャップを埋めてく具体的な提案があればぜひ伺いたい。

(2)外務省:問題意識は共有した。

(3)司会の提案:今回少し宿題が残った感じがあり、来月3月中旬(11か13日)に第11回意見交換会を行うことを提案する。外務省・JICA側で調整いただき、お返事頂きたい。


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