ODA(政府開発援助)
大アビジャン圏都市整備計画策定プロジェクト
原稿執筆 在コートジボワール日本国大使館
コートジボワール最大の都市アビジャン
コートジボワールは,西アフリカに位置する人口約2100万人の国です。2014年サッカー・ワールドカップで日本と予選を戦った国として記憶されている方もいらっしゃるかもしれません。
同国は,1960年に仏から独立し,カカオやコーヒー等の生産・輸出拡大を推進しました。その結果,1960年代から1970年代にかけて年平均8%の経済成長を遂げ,その発展は「イボワール(象牙)の奇跡」と呼ばれ,当時建設された高層ビル,道路等のインフラは今なお現役で使用されています。
しかし,初代大統領の死後,政治が不安定化するとともに,2度の内戦が勃発し,同国経済は冷え込み,インフラ整備も停滞しました。
同国の首都はヤムスクロですが,行政・経済の中心は旧首都であるアビジャンに集中しており,人口は400万人を超えています。しかし,度重なる内戦等の影響により,無秩序な土地利用,生活インフラの絶対的な不足等の現代都市の典型的な問題を抱えています。
2030年を見据えて
「大アビジャン圏都市整備計画策定プロジェクト」は,JICAの対コートジボワール技術協力プロジェクトとして,2013年2月から2015年3月まで実施されました。
本プロジェクトでは,2000年に策定された都市計画を分析・評価し,2030年にあるべき姿として都市マスタープランや都市交通セクターマスタープラン等からなる大アビジャン圏都市計画を策定しました。この成果は同国関係者のみならず,同国の社会経済開発を支援するドナー国,国際機関からも高い評価を得ています。
本年,コートジボワール政府は,大アビジャン圏都市計画を同国の正式な都市計画と位置付けたことから,今後のアビジャンは,同計画に沿って開発されていくことになります。
日本の経験がアフリカの都市問題解決に貢献
本プロジェクトは,JICAが実施した都市計画の研修に参加し,JICAがベトナムのハノイを対象に実施したマスタープラン策定プロジェクトに感銘を受けたコートジボワールの都市計画局長が,是非アビジャンで同様の協力を実施して欲しいと要望したことがきっかけとなりました。
第二次世界大戦後,急激な経済成長や人口増加に伴う都市問題に直面し,解決してきた日本の経験・知見は,アジアだけでなく西アフリカのアビジャンの都市機能回復のために大きく貢献しています。