ODA(政府開発援助)

平成29年4月19日

原稿執筆 在東ティモール日本国大使館

日本のノウハウを伝え,人を育てる

(写真1)東ティモール国立大学工学部 東ティモール国立大学工学部
(写真2)機械学科専門家による技術指導の様子 機械学科専門家による技術指導

 21世紀最初の独立国東ティモール。2002年にインドネシアから独立した東ティモールは,1999年の独立を問う住民投票後の混乱を乗り越え,豊富な資源収入を背景に,国造りを進めてきました。今後,ASEAN加盟を目標に更なる発展を目指しています。
 その一方で,東ティモールにおいてはあらゆる産業分野において人材が不足しており,技能労働者を外国人に頼らざるを得ないのが現状です。そうした「産業人材育成」を手助けしているのが,日本の東ティモール国立大学(UNTL)工学部支援プロジェクトです。

 UNTL工学部への支援は,2001年の同学部のカリキュラム策定をきっかけに始まりました。2003年には施設復旧と機材供与を実施。同時に工学部教官に工学の基礎的な知識を教えたり,ゼミ形式など日本特有の指導方法を伝えることにより教育の質の向上を図る技術協力が開始されました。2016年からは技術協力プロジェクト「東ティモール国立大学工学部能力向上プロジェクトフェーズ2」が行われています(注1)。

第一線で活躍する卒業生

(写真1)セレスティーノ・チームリーダー セレスティーノ・チームリーダー
(写真2)博士号を授与されるモンテイロ博士 博士号を授与されるモンテイロ博士

 「当時は騒乱の直後で機材どころか机や椅子もなく,文字通りゼロからのスタートでしたが,日本政府からの支援のおかげで現在のキャリアの基礎を築くことができました」。そう語るのはUNTL工学部機械工学科の卒業生で現在は国内唯一のエネルギー系国営企業「ティモール・ギャップ」でガス・ビジネス室でチームリーダーを務めるジュリオ・セレスティーノさんです。
 セレスティーノさんは,2001年にUNTL工学部に入学し,日本の協力で作成されたカリキュラムに沿って学び,日本から供与された機材で技術を身につけました。卒業後はインドネシアとオーストラリアの大学で専門性を高め,現在の企業に就職。今後,ティモール海で最も有望な油ガス田の一つとされる「グレーター・サンライズ」ガス田へのパイプライン敷設に関する調査を行うなど,東ティモールの主要産業である石油・天然ガス産業を支えています。

 2001年の支援開始後,セレスティーノさんのように工学部で学び,卒業した学生は1,064人。その内,留学などを経て工学部教官に就任した学生は15人になります。2015年にはカンシオ・モンテイロ現UNTL工学部教官が東ティモール史上初となる工学博士の学位を岐阜大学から授与されました。

 日本は今後も東ティモールの産業の担い手を育成すべく,UNTL工学部への支援を続けていきます。

(注1)UNTLへの日本の支援実績

2001~2003年
東チモール大学工学部設立計画
2006~2010年
東ティモール大学工学部支援プロジェクト
2011~2016年
東ティモール国立大学工学部能力向上プロジェクト
2016年~
東ティモール国立大学工学部能力向上プロジェクトフェーズ2
2016年~
東ティモール国立大学工学部新校舎建設計画

(上記以外にも日本からの長期・短期専門家の派遣や日本への長期研修員の受入れを行っています。)

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