ODA(政府開発援助)

平成27年9月10日

原稿執筆 在パキスタン日本国大使館

 2015年6月,日本の約30年に亘るパキスタン医科学研究所(PIMS)への支援をレビューする会合が,ジャベッド・アクラム副所長(注:国の機関であるPIMSの所長は,フセイン大統領が務める)の出席を得て開催された。冒頭の言葉は,この会合を締めくくるに際して,アクラム副所長から発せられたものである。

機材提供から人材育成まで,地域医療を「変える」ための支援を

 PIMSは,保健状況の悪さと急激な人口増加を背景に,総合医療機関として政府によって1978年に設立された。以来,総合医療サービスを提供する機関として地域医療を支えるとともに,医療従事者を育成するための医学教育・研究の場となっている。

 日本は,このような役割を有するPIMSに対し,設立間もない1980年代から,その得意とする母子保健分野を中心に継続して支援を行ってきた。これまで, PIMSに対し,小児病院,母子保健センター及び看護大学・医療技術養成学校の建設を支援したほか,様々な医療器材の供与,そして日本人専門家の派遣やパキスタン人関係者に対する日本での研修実施など,人材育成にも努めてきた。

 こうした日本の支援により,これまで経済的に手の届かなかった最貧困層にも適切な医療が届けられるようになったとアクラム副所長は言う。また,緊急で運び込まれる一日平均200人もの子どもたちにも,適切な治療を施すことができるようになったとのことだ。

パキスタンと日本の未来に向けて,「日本」が見える支援の大切さ

  日本の支援で建設されたPIMS母子保健センター
  PIMSが日本との友好のシンボルとしたいとしているガジュマルの木

 PIMSには,特に外来診療が行われる午前中には,本当に大勢の患者が訪れている。そして,日本からの支援である建物や機材には,国民及び政府からの支援であることがわかるプレートやステッカーが貼られている。日本大使館員やJICA職員がPIMSを訪問すると,病院職員や患者さんから,「ありがとう。」と,よく声をかけられる。我々が支援をしてきて本当によかったと心から感じる瞬間だ。

 先に,「日本の支援は,パキスタンの公衆保健セクターに大変革をもたらした」とのPIMS副所長の言葉を紹介したが,PIMSでは,この日本の貢献を記念して,研究所内に設立以来植えられているガジュマルの大木を日本との友好のシンボルにしたいと考えているそうだ。

 近い将来,大きく枝を広げるこのガジュマルの大木が,日本とPIMS,日本とパキスタンの友好のシンボルとなるだけではなく,パキスタン全土に適切な医療が行きわたった証のような存在になることを願っている。

  PIMS看護大学・医療技術養成学校に掲げられている,
日本の支援で建設されたことを示すプレート
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