ODA(政府開発援助)
地域住民と支援をつなぐかけ橋に
原稿執筆 在トンガ日本国大使館
様々な濃さの「青」が織りなす海,ヤシの木々,親切な人々。
南太平洋唯一の王国であるトンガは,176の珊瑚の島からなる,人口10万人ほどの国です。
GGP 草の根・人間の安全保障無償資金協力
トンガでは,空港や埠頭など,日本のインフラ事業の実績がたくさんありますが,これらの日本の支援は大規模なものばかりではありません。村落やコミュニティのニーズに正面から取り組む「草の根・人間の安全保障無償協力(GGP)」という支援があります。ここトンガでは,給水施設の整備,学校・幼稚園の建設,改修などを主に手がけています。
今回は,日本が手がけた様々なトンガのGGP事業を紹介します。
24時間水道水が使用可能に
首都から車で30分ほど離れた森林の中に,「フォラハ」という村があります。
この村には給水施設がなく,ディーゼル燃料で給水ポンプを動かし水を汲んでいたため,一日に数回しか水を使えませんでした。
衛生状態の悪化を危惧した村人たちは,ある日,GGPによる給水施設の整備を申請します。
フォラハ村のリピエティ・パフル村長は,その時のことをこのように話します。
「一年前,GGPを通じて給水施設が整備されて以来,フォラハ村は24時間水道水が使用可能になりました。清潔な環境で炊事,洗濯,清掃などができるようになり,病気の予防に役立っています。日本の人々には感謝してもしきれません。」
離島出身の学生も技術を学べるように
首都にあるモンフォート工科専門学校は,自動車整備や建築など,トンガで必要不可欠な技術を学べる数少ない専門学校です。しかしながら,以前は寄宿舎がなかったため,離島の優秀な生徒があまり入学できずにいました。
日本の支援で建設された寄宿舎について,この学校のクルスメシアス・セバスチャン校長はこのように言います。
「日本の支援で建設した寄宿舎のおかげで,離島から入学希望者が増えています。離島出身の学生が職業訓練を受けることができれば,トンガ国内での雇用格差の是正にもつながっていくことでしょう。」
ゴミ収集車で生活環境の改善を
本島より北に275キロメートル進んだ先に,トンガで2番目に人口が多いババウ諸島があります。
かつてのババウ諸島は,ゴミ処理問題が深刻でした。諸島にはゴミ収集車がなく,不法投棄や野焼きによる処理が一般的であったため,ダイオキシン等の発生により環境汚染が進んでいました。
そこで日本は,住民の生活環境を改善するため,ゴミ収集車を供与します。
「家のゴミを毎週ごみ収集車が回収に来てくれてとても助かっています。道路のゴミは減少し,プラスチックが燃えた臭いも感じなくなりました。」そう語るのはババウ諸島レイマトゥア村の女性です。
トンガでは他にも防災への取組み,医療サービスの充実,女性の社会進出といった課題がありますが,日本は引き続き,地域のニーズに沿った細かな支援を行ってまいります。