ODA(政府開発援助)

平成29年7月6日

原稿執筆 在コタキナバル日本国領事事務所

先住民族の村で障害者福祉に取り組む日本人

 ボルネオ島のサラワク州シブ,先住民イバン族が暮らす村落に障害者福祉施設「ムヒバ」はあります。ムヒバはシブ在住の日本人,中澤健氏により2007年に設立され,農村部に居住する障害者へのデイサービスを提供しています。この活動を,日本政府の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」による支援が支えてきました。

日本政府による草の根支援 日の丸を付けた送迎車が運ぶ笑顔

(写真1)供与された車両 供与された車両

 この施設は中澤健氏に賛同する多くの地元住民等の協力により建設されましたが,当時,活動を始めるにはまだ課題がありました。施設利用者の住居は農村部に点在していますが,家庭は総じて貧しくそのほとんどが自家用車を持たないため,自力で施設に来ることができないのです。バスなどの公共交通もありません。
 また,「ムヒバ」の運営協会の活動資金は,助成金や寄付金等によりまかなっているため車両を購入するための余裕はなく,この状況を解決するため,日本政府から利用者送迎のための車両が供与されました。

(写真2)引渡式,伝統衣装で出迎える施設利用者とスタッフ 引渡式,伝統衣装で出迎える施設利用者とスタッフ

 供与品の引渡式には,州福祉局の職員や地元住民,約100名が駆けつけ,皆で盛大に祝福しました。

(写真3)供与車両に日章旗ステッカーを貼付 供与車両に日章旗ステッカーを貼付

 ムヒバ代表と来賓の国会議員からは日本国民に対する感謝の言葉が述べられ,式の最後には,供与車両に日章旗のステッカーが貼られました。供与品の活躍もあり,当初4名だった利用者は年々増加し,今では25名に。今日も日の丸を付けた送迎車が,利用者の笑顔とともにボルネオの大地を走ります。

両国友好の礎として

(写真4)現地紙(星洲日報)でのムヒバ特集記事(上の写真,左から2番目が中澤氏)【出典:星洲日報】 現地紙(星洲日報)でのムヒバ特集記事
(上の写真,左から2番目が中澤氏)
【出典:星洲日報】

 「ムヒバ」は現地語で「ハーモニー」を意味します。この名前のとおり,国,民族を超えた協力の下,施設では様々な個性を持つ人達が互いに助け合い活動しています。サラワク州農村部では障害者福祉が進んでいない中,ムヒバはモデル的な活動として認められ,政府からの支援も始まりました。新聞にも特集が組まれ,中澤健氏は「サラワクで愛の種を植える日本人夫婦」と紹介され,地域における親日感情の醸成にも繋がっています。

(写真5)供与車両に乗り込むムヒバ利用者「日本のみなさん、ありがとう」 供与車両に乗り込むムヒバ利用者
「日本のみなさん、ありがとう」

 2017年,日本とマレーシアは外交関係樹立60周年を迎えましたが,このような正に草の根の取組が,両国の友好関係を国民レベルからより強固なものにしています。

(写真6)供与車両によるムヒバ利用者送迎の様子 供与車両によるムヒバ利用者送迎の様子
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