ODA(政府開発援助)

平成28年12月16日

原稿執筆 在フィジー日本国大使館

フェリーは9つの離島を結ぶライフライン

  ニバンガIII号

 世界で4番目に小さい国と言われ,太平洋のど真ん中に浮かぶ小さな小さな島国ツバル。国内で最も高いところでも海抜3メートルしかない国として知られています。約1万人のツバル人(Tuvaluan)が,首都のあるフナフチ環礁をはじめ南北に長く点在する9つの環礁で平和に暮らしています。資源に乏しく多くの物資を輸入に頼っていますが,空港や大型貨物船用の港湾があるのはフナフチのみで,船が他の島々への物資の輸送や人々の移動の唯一の手段になっています。2015年12月,我が国はツバルに対し,老朽化していたフェリーに替わり新たなフェリー「ニバンガIII」号を無償資金協力により供与しました。

離島へのアクセスは危険がいっぱい!

  ナヌマンガ島の船着き場
(地図データ:Google、画像:DigitalGlobe)

 離島にはいわゆる港はなく,リーフの一部を掘削して作った溝のようなものがあるだけで,大型船はここには入れません。このため,海上で旅客や物資(時には自動車も!)を小船に載せ換えて着岸させる必要があります。しかも,船を守ってくれるものは何もない,大きく揺れる外洋で…。これまで使用していた古いフェリーは,船縁が高く旅客が小船へ乗り移る際にも危険を伴い,さらに物資をつり下げるクレーンも操作性が悪く不安定で,船の転覆事故が起きたこともありました。

人々の安全と快適な船の旅を

  クレーンでの載せ換え作業風景

 新たなニバンガIII号は,船縁を低く設計することにより人々の小船への乗り移りを快適にしています。また,油圧式ジブクレーン(油圧を動力源としてクレーンの腕(ジブ)を上下・回転させるタイプ)を採用したことでスムーズな載せ換え作業が可能となっているほか,安定性・操作性の高い小型の上陸艇を搭載し,より安全に離島へアクセスできるようになりました。船内は日本製の良さが随所に光り,快適な環境となっています。我々大使館員は離島を訪問する機会はなかなかありませんが,このニバンガIII号でたくさんのツバルアンの笑顔に囲まれて旅する日を心待ちにしています。

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