ODA(政府開発援助)

令和5年9月8日

1 SEAHに関する我が国の基本的立場

 開発及び人道支援分野では、近年、性的搾取・虐待及びセクシャルハラスメント(SEAH)の問題への国際的関心が高まっています。我が国としても、援助セクターにおけるSEAHは許容できないものであり、そのためには、被害者の救済と問題発生の予防措置が重要と認識しています。SEAHの問題には、他ドナー、国際機関、国内援助実施機関、市民社会等、国内外の様々なパートナーと連携・協力しながら取り組んでいく必要があり、これらのパートナーとの連携を進めていきます。

2 SEAHに関する国際場裏の動き

 2018年5月のG7ウィスラー開発大臣会合や6月のタイドウォーター会合においてSEAHに関する宣言が採択され、同年10月には以下の「SEAHに関する国際会議」が開催されました。また、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)においても勧告が採択されるなど、主要ドナー国は国連への働きかけを含めた国際的協調を行っています。

(1)SEAHに関する国際会議

【概要】
  • 2018年10月18日、モーダント英国際開発大臣の主催で、SEAHに関する国際会議がロンドンにおいて開かれました。
  • 会議には、各国政府や国際機関、NGOの関係者等500人以上が参加しました。日本からは、外務省、国際協力機構(JICA)、国際協力NGOジャパン・プラットフォーム(JPF)が出席し、本件を重視する姿勢やJICA及び日本のNGOのSEAHへの取組について発表しました。
【成果】
  • 会議は、「Putting People First」のテーマの下、SEAHの予防や対応改善に取り組む様々な団体の代表に加え、SEAHの被害者や告発者自身も参加し、援助の現場でのSEAH被害の実態、予防やより良い被害者支援のための課題、必要なアクション等について、意見を共有しました。
  • また、日本を含む主要ドナーは、四つの柱(ア 被害者及び告発者への支援、説明責任の向上、報告の強化、不処罰問題への取組、イ 強力なリーダーシップ、組織的な説明責任、より良い人事プロセスを通じた文化的変化の促進、ウ 最低基準の採用・透明性、エ 組織的な能力の強化)の下、22項目からなるコミットメント(英語(PDF)別ウィンドウで開く和訳(PDF)別ウィンドウで開く)を発表し、日本を含む22の国、省庁及び機関が署名しました。我が国は、このコミットメントを実現するための取組を、多様な関係者と協力しつつ、推進していきます。
  • なお、英国国際開発省(DFID)は、主要ドナー以外の援助団体・国際機関等にも同様のコミットメントを発表するよう働きかけ、国連機関、英国のNGO、国際開発金融機関、民間セクター等がそれぞれコミットメントを発表しました。
【コミットメント実施状況】
  • 国際会議開催から1周年となる2019年10月、英国は、コミットメントに賛同したドナーや国連機関、英国のNGO、国際開発金融機関、民間セクター等による取組の進捗状況を報告書(英語)別ウィンドウで開くに取りまとめ、英国国際開発省ホームページで公表しました。2020年10月には、2回目の進捗報告書(英語)別ウィンドウで開くが作成、公表されています。

(2)OECD・DACにおける勧告の採択(英語)別ウィンドウで開く

【概要】
  • 上記(1)の動きと並行して、2019年7月12日、DACにおいて「開発協力と人道支援における性的搾取・虐待(SEA)・セクシャルハラスメント(SH)の撲滅に関するDAC勧告-防止・対応に関する主要な柱(OECD DAC Recommendation on Ending Sexual Exploitation, Abuse, and Harassment in Development Co-operation and Humanitarian Assistance: Key Pillars of Prevention and Responses)」が採択されました。
  • 同勧告は、6つの柱(ア 政策や行動規範の策定、組織文化の変化促進、イ 被害者中心の対応、支援メカニズムの設置、ウ 組織的な通報・対応体制の整備、エ 研修・啓発、オ 国際的な調整・協働体制の確保、カ モニタリング・評価・報告メカニズムの整備)から構成されており、実施状況についてDAC開発協力相互審査等の既存メカニズムを通じてモニタリングが行われ、勧告の合意後5年以内、以降10年毎に報告が行われることとされています。

(3)SEAHへの更なる対応を求める国連事務総長宛てドナー共同書簡への署名参加

【概要】
  • 2021年12月には、国連諸機関におけるSEAHの予防や対応の一層の取組を求める国連事務総長宛の共同書簡が、英国を中心とする有志国により発出され、日本(林外務大臣)を含む28か国が署名しました。
  • 本件は、国連諸機関に対して開発協力におけるSEAHに関する短期、中期、長期の優先課題を示すとともに、更なる取組や、有志国と国連側とのシニアレベルの対話を求める国連事務総長宛の共同書簡について、英国の外務・英連邦・開発省(FCDO)より、主要ドナーを中心に広く各国に署名参加が呼びかけられたことを受けたものです。

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