ODA(政府開発援助)
第53回経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)ハイレベル会合
11月14日から15日まで、経済協力開発機構(OECD)において、第53回OECD開発援助委員会(DAC)ハイレベル会合が開催された。スタールDAC議長の下、開発協力を担当する各国の閣僚や高官等が出席し、我が国からは遠藤外務省国際協力局長が出席した。また、最終日にはコミュニケが採択された。
セッション1 DACの発展するパートナーシップ及び政治的アウトリーチ
開発を取り巻く国際環境が大きく変化する中、政府、開発協力機関、市民社会及びその他の様々な主体との戦略的な対話や包括的なパートナーシップの重要性について議論が行われた。
我が国からは、本年のG7広島サミットにおいて、グローバル・サウスへの関与を特に重視し、招待国と共に、食料、開発、保健、気候変動・エネルギー、環境といった国際社会が直面する諸課題について議論し、G7を超えた幅広いパートナーが協力してこれらの課題に取り組んでいくことを確認することができたことを紹介した。
また、本年改定した開発協力大綱に触れ、開発協力は、地政学的分断の時代において、国際社会の平和と安定、繁栄に貢献し、より多くの国との間で信頼関係を構築していくことを通じて、我々の国益の増進に繋がるものとして、ODAの戦略的活用の重要性について発言した。さらに、同大綱において、新しい時代の「人間の安全保障」を基本方針として、民間企業や市民社会など様々な主体との「連帯」を柱としたほか、途上国とともに社会的価値を作り出す「共創」の考え方を打ち出した旨等を発言した。
セッション2 SDGs、パリ協定及び生物多様性枠組への資金の動員と整合
SDGs等のグローバルアジェンダの実現に向けて、気候変動・環境問題への多様なソースからの資金の動員の他、危機に対応する短期的・緊急支援と、貧困や不平等に対応する中・長期支援とのあり方等に関する議論が行われた。
我が国からは、途上国の債務の持続可能性の回復が不可欠で、そのため、透明かつ公正で、国際ルール・スタンダードに基づいた開発協力・金融が一層重要である旨等を言及すると共に、改訂した開発協力大綱を踏まえ、従来の官民連携の取組に加え、スタートアップや中小企業を含め、民間企業を巻き込み途上国の開発課題解決を目指すために、ODAを触媒として民間資金動員に活用する意向である旨説明した。
また、日本は、従来より、人間の安全保障の考えに基づき、短期的な人道支援と中・長期的な開発支援の一貫性の重要性を指摘し、人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)のアプローチを推進してきた旨紹介した上で、日本は、本年12月のグローバル難民フォーラムの共同議長国であり、HDPネクサスに関するマルチステークホルダー・プレッジを形成し、多様なステークホルダーの参加を呼びかけている旨等を発言した。
セッション3 ロシアによるウクライナ侵略やその他の地政学的課題による開発援助への影響


ウクライナ支援における膨大な復興費用への対応には、ODAを含む公的支援のみならず、民間資金の動員を促進する必要があるとの観点から議論が行われると共に、ドナー間連携やウクライナのオーナーシップの重要性等が強調された。
我が国からは、これらの問題については、本年のG7広島サミットでも議論されており、来年2月には二国間の「日ウクライナ経済復興推進会議」を開催する予定であると紹介した上で、ODAを戦略的に活用し、民間セクターと連携していけるようにすることが重要である旨発言した。また、ウクライナ復興プロセスにおける「女性、平和、安全保障(WPS:Women, Peace and Security)」の重要性についても発言した。
