ODA(政府開発援助)
第50回経済協力開発機構(OECD)・開発援助委員会(DAC)ハイレベル会合
2月18日から19日までパリのOECDにおいて,第50回経済協力開発機構(OECD)・開発援助委員会(DAC)ハイレベル会合が開催され,最終日に以下の要素を含むコミュニケが採択された。同会合には,グリアOECD事務総長,エリアソン国連事務次長のほか,開発協力を担当する各国の高官が,また我が国から牛尾外務省国際協力局参事官が出席した。
1 2030アジェンダと開発協力の役割
2030アジェンダ他を受け,開発課題の解決のために,OECD,DACの強みをどのように発揮していくかについて議論が行われ,OECDと国連が緊密に連携していくことを確認し,効果的な開発協力のためのグローバル・パートナーシップ(GPEDC)(OECD/DACとUNDPが事務局)を活用すべきこと等について認識が共有された。また,開発協力を巡る状況が変化する中で,DACの中核的な強みである統計やピアレビューを活かしつつ,その在り方を検討していくべきことについても議論が行われた。
2 今後の開発資金
(1)民間に対する開発資金のODA計上
開発資金の増大や開発主体の多様化を踏まえ,途上国の開発に貢献する公的資金及び民間資金を途上国に動員し,それらの資金を効果的に活用することが必要との認識を共有し,ODA実績の測定方法の改善や,ODA以外の開発に資する資金を幅広く統計として計上する方策について議論が行われた。
その結果,民間に対する開発資金のODA計上に関して,資金の手段別に評価する方式(手段別アプローチ)と政府から開発金融機関への資金をODAとして計上する方式(機関アプローチ)の併用,及びODA統計としての信頼性を担保しつつ,それぞれの方式における係数の比較可能性を維持することを定めた諸原則に合意し,具体的な測定手法を確立していくこととなった。
(2)平和と安全に関するODA計上
開発,人権,平和と安全は不可分かつ相関するものであるという観点から,軍や警察が関連する支援,暴力的過激主義対策,及び軍人に対する開発関連の訓練におけるODA計上の適格性を明確化することについて合意された。
(3)持続可能な開発のための公的総資金(TOSSD: Total Official Support for Sustainable Development)
2030アジェンダやアジス・アベバ行動計画を受けて,持続可能な開発に資する公的資金を幅広く捕捉するための測定方法とモニタリング手法に関する提案を今後作成することが合意された。
3 難民危機に対する開発協力の役割
難民・移民に対する人道支援と,難民を生じる要因となっている問題解決のためにどのように効果的に開発協力を活用するか,またこの問題への対処として支出されたODAをどのように捕捉するかについて議論された。難民危機に対応するためのODAの効果を高めること,またODA適格の国内難民費用の報告のあり方を改善するため,明確で透明なプロセスを作ることに合意した。