ODA(政府開発援助)
政策評価法に基づく事前評価書
令和6年10月24日
評価年月日:令和4年8月4日
評価責任者:国別開発協力第三課長 西野 修一
1 案件名
1-1 供与国名
タンザニア連合共和国(以下「タンザニア」という。)
1-2 案件名
ドドマ市内環状道路建設計画
1-3 目的・事業内容
本計画は、首都ドドマ市において内環状道路の新設(約3.1キロメートル)及び既存道路の拡幅(約3.4キロメートル)を行うことにより、同市内の交通流の円滑化及び住環境の改善を図り、もって同国の物流円滑化及び経済・社会開発を支えるインフラ開発に寄与するもの。
供与限度額は40.70億円。
1-4 環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
本計画は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月制定)におけるカテゴリはBであり、道路セクターのうち大規模なものに該当せず、環境への望ましくない影響は重大ではないと判断され、かつ、影響を及ぼしやすい特性及び影響を受けやすい地域のいずれにも該当しない。
2 無償資金協力の必要性
2-1 必要性
- (1)タンザニア(一人当たり国民総所得(GNI)1,080ドル)は、OECD開発援助委員会(DAC)の援助受取国リスト上、後発開発途上国に分類される。
- (2)同国では、最大の経済都市ダルエスサラームにあるダルエスサラーム港から首都ドドマを通過し、ルワンダ、ブルンジ等の内陸国に続く国際回廊(中央回廊)が国土の東西を横断している。同回廊は同国内の都市間交通需要の大部分を占めており、同国政府は同回廊開発を優先事業に位置付けている。
- (3)同国政府は経済都市ダルエスサラームから憲法上の首都ドドマ市へ政府機能移転を急速に進めており、同市への大幅な人口増加が見込まれているが、同市の開発は遅れており道路整備が十分でない。現在、同市を通過する大型車両が市内中心部に集中しており、大型車による排気、騒音、振動等により住環境が悪化している。今後10年で同市内中心部を通過する交通量は2019年時点の約15,500台/日から2倍に増加することが予測されており、大型車交通を市内中心部から迂回させ、円滑で安全な交通流を確保する内環状道路の整備により、大気汚染・騒音等による住環境の悪化を防ぐことが急務となっている。
- (4)このような状況の下、同国政府は同市に内環状道路を整備する計画を立て、同国の戦略的行動計画「第二次5か年計画(FY2015/2016~FY2020/2021)」の中で不可欠かつ優先度の高い事業に位置づけている。同国政府は自ら内環状道路の一部区間を整備したほか、欧州連合(EU)が北部の一部区間の道路拡幅を支援した。本計画にて新設する2車線道路は、整備済み区間と連結されて内環状道路を完成するものであり、同国での道路整備支援実績を持つ我が国に対してマグフリ前大統領から協力要請があったことも考慮すると、本計画を支援することは外交的意義が大きい。
- (5)我が国の対タンザニア国別開発協力方針においては、経済・社会開発を支えるインフラ開発を重点分野の一つとして掲げており、ドドマ市の基礎インフラ強化を目的とした本計画は同方針に合致するものであり、また、持続可能な開発目標(SDGs)ゴール9(強靱なインフラ)にも貢献することから、本計画を実施する必要性は高い。
- (6)さらに、本計画は、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、我が国が表明した連結性強化に向けた質の高いインフラ投資に対する支援にも貢献するものであり、本計画を実施する必要性は高い。
2-2 効率性
タンザニア政府の要請を踏まえつつ、新設する道路を4車線から2車線へ変更する等、必要かつ適切な規模としたほか、現地調査により支援対象の絞り込みを実施し、コスト縮減を図った。
2-3 有効性
本事業の実施により、2019年の実績値を基準値として、事業完成3年後の目標値と比較すると、主に以下の成果が期待される。
- (1)定量的効果:ドドマ市中心部へ流入する大型車両台数(台/日)が6割に減る(14,459から8,675)。また、既存2車線道路の4車線への道路拡幅区間における旅客数(万人/年)及び貨物量(万トン/年)が1.8倍(旅客数1,120から2,110、貨物量421から792)に増加する。
- (2)定性的効果:大型車両迂回により、ドドマ市中心の騒音・振動・排気の低減を通じた住環境改善や、同国内の都市間交通円滑化を通じた輸送コスト低減が期待される。
3 事前評価に用いた資料及び有識者等の知見の活用等
- (1)タンザニア政府からの要請書
- (2)協力準備調査報告書(JICAを通じて入手可能)
- (3)タンザニア国別評価報告書(平成28年度第三者評価)